「絹谷幸二 生命の軌跡」を見る

d0001004_15215312.jpg 一昨日(01月14日)「東京藝術大学大学美術館」で展覧会「絹谷幸二 生命の軌跡」を見た。
 絹谷幸二さんの藝大退官を記念した展覧会です。
 初期から近作まで50点もの作品がドーンと展示されていました。
 なんと無料ですから、芸大はさすがに太っ腹ですね。
 会場にはいると、原色をふんだんに使った華やかな大型作品がこれでもかこれでもかと並んでいます。
 絵画作品だけでなく立体作品も会場の中央にドーンと設置してあり、まさに絹谷ワールド一色に染まっていました。
 良い意味でも悪い意味でも色彩の乱舞、あるいは饗宴といった会場でした。
 ただ、これらの作品にひたっていると、なぜか、少々頭がクラクラしてきました。
 描かれている対象は極めて古典的なのですが、何故かけばけばしく、せわしげな現代そのものの世界に投げ込まれてしまった感覚になってしまいました。
 絹谷さんといえば最年少で安井賞を受賞からはじまり、多くの国内賞を受賞、オリンピックのポスターを担当したり、そして日本の画家の最高ステータスである芸大教授を長年勤めるという、これ以上ない経歴を歩んできた人ですね。
 そういった経歴も含めて、なにか、日本の歩みの表層部分を象徴している存在にも思えてきたから不思議なもんです。
 作品が最もしっくりくるのはモダーンで大規模な公共施設なのかなぁ、なんて思えてきました。
 ただ救いは、奥のコーナーひっそり並べられた、高校生頃に祖母を描いた作品や芸大の卒業制作の自画像、その他の若書きの作品たちでした。
 どちらかといえば暗めのトーンの作品たちですが、掃きだめに鶴ともいうべき清新な感じに感銘を受けました。
 絹谷さんの最も良質な部分は、こちらに表現されている何かであるのだと思います。
 こういった資質があるからこそ、商業主義と権威主義のただ中にあっても泳ぎ続けることができたのかもしれません。

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by daisenhougen | 2010-01-16 06:56 | 鑑賞記-展覧会
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