「Alternative Humanities 新たなる精神のかたち:ヤン・ファーブル×舟越桂」を見る

d0001004_8204412.jpg 先日(05月01日)「金沢21世紀美術館」で展覧会「Alternative Humanities 新たなる精神のかたち:ヤン・ファーブル×舟越桂」を見た。
 ようやく念願かなったはじめての「金沢21世紀美術館」はヤン・ファーブルと舟越桂という日欧を代表する造形アーチストを対比的に比較してみせる野心的な試みでした。
 こんなバリバリの現代アーチストによる展示にもかかわらず、チケット売り場には行列ができていました。ゴールデンウィーク中で、観光地のど真ん中にあることを差し引いたって、現代アートも企画次第ではじゅうぶん集客できることを証明しているような光景でした。
 この展示は2008年にルーブル美術館で開催されたヤン・ファーブル展をルーブル美術館との共同企画で日本に持って来た企画のようです(ルーブル美術館との共同企画を金沢に持ってくるだけでも凄いですね)。
 しかもただ単に引越企画ではなく、日本側のアーチストとして舟越桂をあわせて展示することによって東西のアーチストによる共演に仕立て直した新企画となっていました。
 さらにさらに単にふたりの現代アーチストの作品を並べるだけでなく、舟越桂の作品には狩野芳崖、河鍋暁斎の観音図などとの対比、ヤン・ファーブルの作品にはフランドルの宗教絵画などの古典的名画が対比されるといった凝った作りとなっていました。
 展示方法も工夫が凝らされていて、幾つにも区切られた部屋を利用することにより、ヤン・ファーブルと舟越桂それぞれの単独作品で満たされた世界にじっくり触れることができると同時に、交互に展示された部屋を順番に訪れることによって、ふたりの作品世界の違いと同質性が見比べられる展示となってました。
 展示方法の素晴らしさという点では、いまのところ今年のベストワンだと思いました。

d0001004_821382.jpg 一方の主役のヤン・ファーブルさんはベルギー出身の造形アーチストですが、造形作品だけでなく演劇の演出など多方面で活躍している方ですね。
 そうそう、あの昆虫記でおなじみのファーブルの曾孫だそうです。
 だからというわけでもないんでしょうが、昆虫をモチーフにした作品もたくさん並んでいました。しかもとびっきりリアルですから、かなり刺激が強い作品もありましたね。
 それ以外にも今回の展示では表現手法が多岐にわたっていて、ヤン・ファーブルさんの多芸さがよくあらわれていました。
 作品世界としてはかなり強い毒を表面に発しながら、それだけではなく、内には深い何ものかが在るのではないかと考え込ませる感じの作品でした。
 これほどまとまってヤン・ファーブルさんの作品を拝見するのははじめてでしたが、いっぱい刺激を受けました。今後も追っかけていきたいアーチストとなりました。

 もう一方の日本代表、舟越桂さんは現代を代表する木彫彫刻の第一人者ですね。わたしの大好きなアーチストの一人であり、いろんな機会に拝見しています。まとまった展示だけでも2003年に「東京都現代美術館」で開催された「舟越桂展」や2008年には「東京都庭園美術館」での「舟越桂 夏の邸宅」展と2度拝見していますので、そういった意味では今回は見慣れた作品達でした。
 ただ、展示方法もドローイングとの集合展示等々工夫を凝らした空間となっており、舟越ワールドが引き立つ展示でした。

 何はともあれ、はるばる金沢を訪れて見る価値は充分ある展示でした。

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by daisenhougen | 2010-05-08 06:00 | 鑑賞記-展覧会
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