「図録 藤田嗣治展」(NHK他)を読んだ。
冒頭の尾崎正明「藤田嗣治について」で藤田の画業を駆け足でなぞってくれています。蔵屋美香「皮膚を切り裂く-藤田嗣治のふたつのモチーフ」では「皮膚」と「切り裂く」といったキーワードで藤田の絵画を少し専門的に論じています。巻末には宮田順一「藤田嗣治の地塗りー遺された画布とボード」という科学的分析論文が収められています。後は作品目録、展覧会記録、参考文献です。 そして肝心の「図版」は展覧会と同じ3つの章にわけて年代順に収録されています。それぞれの章の冒頭には年表も付いていて便利です。一部の作品には短い作品解説も付いています。 何度も何度もめくって見ています。展覧会の感動を追体験することができました。最初のフランスの時期も、日本に戻った時期も、再度フランスに渡った晩年も、それぞれ大きく画風を変えながらも、そこには藤田嗣治の表現の核みたいなものが一本しっかり通っていますね。 小品はこの図版で現物を見た感激が充分甦りますが、大作は全く駄目ですね。あれほど衝撃を受けた戦争画も、この図版では何だかわかりませんね。もう少し絵の迫力が伝わる工夫が欲しいですね(どうすれば伝わるかわかりませんが・・・)。でも、やっぱり、ちゃんとした画集じゃないと無理なんでしょうかね(講談社版の画集欲しいですが、値段がねぇ)。 それよりも、この時期しか見ることができないんですから、展覧会にもう一度行くのが先決ですね。
by daisenhougen
| 2006-04-06 12:56
| 読書-展覧会図録
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