宮元健次「神社の系譜 なぜそこにあるか」(光文社新書)を読んだ。
著者の宮元健次(1962年-)さんは美術研究専攻で大同工業大学の先生のようです。 目次を写しておきます。第1章 怨霊の神々、第2章 王権の神々、第3章 大和朝廷と東西線、第4章 氏族の守護神、第5章 人を神として祀った社。 神社の立地は「自然暦」という春分・秋分や冬至・夏至時の日没・日の出の位置に建てられており、それぞれ関連するものと交差する位置にあるといった論点から論じられています。そして日本最古といわれる鹿島神宮から春分・秋分の日の出入の線を引くと諏訪神宮、出雲の国府、更に新羅の都だった慶州にまで至るとの記述はスリリングでした。非常に面白い視点です。 ただ著者の論点整理がすこし曖昧であり、記述がバラエティにとんでいる分突っ込んだ記述が不足しています。ちょっと素人歴史家のような表現が気にはなりました。 神社をめぐる軽いエッセーにするか、「自然暦」中心にもっと論点を絞った厳密な議論の展開にするか、どちらかに絞った方が良かったのではないでしょうか。 でも、今後神社を訪れるときには参照したい本ではあります。掲載された神社名を写しておきます。 神田神社(東京)、上・下御霊神社(京都)、北野天満宮(京都)、大神神社(奈良)、吉備津神社(岡山)、住吉大社(大阪)、熊野本宮大社(和歌山)、鹿島神宮(茨城)、出雲大社(島根)、伊勢神宮(三重)、日吉大社(滋賀)、春日大社(奈良)厳島神社(広島)、鶴岡八幡宮(鎌倉)、日光東照宮(栃木)、豊国神社(大阪)、明治神宮(東京)、靖国神社(東京)。
by daisenhougen
| 2006-06-11 06:31
| 読書-詩歌小説評論他
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