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相澤正彦「土佐光信(新潮日本美術文庫2)」を読む

 相澤正彦「土佐光信(新潮日本美術文庫2)」(新潮社)を読んだ。
 新潮日本美術文庫の2巻目です。不勉強な小生に土佐光信(1434?-1525?)について、初めて読む本です。
 作品解説では32作品を解説しています。土佐光信だけでなく広く土佐派の作品が解説してあります。ただ小さい画面とあんまり的確でない解説からでしょうか、光信作品の良さがあんまり伝わってきませんでした。ちょっと残念でした。
 評伝は「土佐光信―乱世期の宮廷画家 」といった題名で、光信が絵所預になったのが応仁の乱の火ぶたが切られた矢先であったこと、足利政権と北朝に終始、忠誠を尽くすことで、その地位を握り続けたことなどが強調されています。それと同時に宗祇などの連歌師との関わりも強調されています。
 もちろん、そういったことも重要でしょうが、画家としての土佐光信が全く見えてきませんね。きちんと画家としての位置づけや魅力を語ってほしかったですね。はたして、この著者は土佐光信の絵が好きなんでしょうか。ちょっと疑問ですね。著者の相澤正彦(1954-)さんは神奈川県立歴史博物館の学芸員とのことです。

by daisenhougen | 2006-07-16 06:11 | 読書-詩歌小説評論他
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