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東直子「長崎くんの指」を読む

 東直子「長崎くんの指」(マガジンハウス)を読んだ。
 東直子さんの短歌はけっこう好きです。「春原さんのリコーダー」「青卵」などの歌集を読んで記憶があります。今回、彼女の初小説集ということで一読してみました。
 表題を写しておきます。「長崎くんの指」、「バタフライガーデン」、「アマレット」、「道ばたさん」、「横穴式」、「長崎くんの今」、「夕暮れのひなたの国」。
 最初の6つの短編は、郊外の不思議な遊園地「コキリコ・ピクニックランド」を舞台にした連作短編です。最後の「夕暮れのひなたの国」はあとがきに代えての一編で先の6つの短編とは直接は関係ない設定です。
 処女作ながらかなり完成度の高い作品ですね。さすがに現代短歌の世界で表現を確立しているだけあります。奇妙で不思議な世界をうまく描き出していますね。
 ただ、最初からこんな巧い小説書いてはいけませんね。そして何より最近の売れ筋のトレンドを取り入れすぎている気もしてしまいます(変な編集者のアドバイスでなければいいんですがね)。
 小生の好みから言えば、最後の「夕暮れのひなたの国」のような作品を追求してほしい気がします。東直子さんの個性がうまく出ているのではないでしょうか。

by daisenhougen | 2006-08-25 06:35 | 読書-詩歌小説評論他
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