桜井啓子「シーア派―台頭するイスラーム少数派」(中公新書)を読んだ。今まさに旬な話題にあわせたタイムリーな出版ですね。しかもハウツー本ではなさそうなのに惹かれました、
目次を写しておきます。「序章 台頭するシーア派」、「第1章 シーア派の成立」、「第2章 政治権力とシーア派」、「第3章 近代国家の成立とシーア派―20世紀」、「第4章 イラン・イスラーム革命と「革命の輸出」」、「第5章 ポスト・ホメイニーと多極化」、「終章 シーア派の行方」。 著者の桜井啓子(1959-)さんはイラン現代史、比較社会学専攻のイスラム研究家で早稲田大学の教授とのことです。 「イスラーム教の2大宗派のひとつだが、信者は全体の1割に過ぎないシーア派。イラン、イラク、レバノンなどでは多数を占め、テロリズムの温床とさえ見られている彼らの実態を、その起源やシステムから解明する一冊」とのことです。 今、話題のシーア派について一通りの理解を得ることが出来ました。シーア派の成立やスンナ派との教義上の違いといった歴史的なところから、ホメイニー革命が起こった要因やその評価までコンパクトに説明してあります。 さらに、宗教指導者が政治権力者であることの教義上の矛盾まで指摘してあり、参考になりました。そしてシーア派といってもけっして一枚岩ではなく、革命の輸出に対するゆりもどしの動きまである、との多面的な分析も参考になりました。 イスラームについての基礎知識が不足しているので、ちょっと解りにくい点もありました。もう少しイスラム関連の本を読む必要性を感じるこの頃です。
by daisenhougen
| 2006-11-16 05:54
| 読書-詩歌小説評論他
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