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ガルシア=マルケス「わが悲しき娼婦たちの思い出」を読む

 ガルシア=マルケス「わが悲しき娼婦たちの思い出」(新潮社)を読んだ。
 マルケス全小説の最初の1巻です。ガルシア=マルケスが2004年に発表した作品で、彼の最も新しい小説で、日本では初めて翻訳・出版されるとのことです。
 マルケスの作品は、今では焼酎の名前の方が有名になった「百年の孤独」ぐらいしか読んでいませんでしたが、川端康成の「眠れる美女」に想を得たとのことと、「満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしようと考えた」の書き出しに惹かれてしまいましたね。
 最初は、まさしく川端風の老人小説で始まりました。処女の娘の裸を眺めて、横で眠るだけの夜を過ごすのですからね。
 でも、展開は全く違ってきます。なんと90歳にして恋をしてしまうのです。しかも初恋とは。最後は娘と心を通わせるに至るとは。
 川端の枯淡の境地とは正反対ですね。なんと若々しい精神なんでしょう。マルケスさんだって、この主人公とそんなに変わらない年齢なのに、こういった若々しい小説を書いているんですね。脱帽です。
 惜しいのは、少々、短かったことぐらいですね。虚実取り混ぜた小説世界をモットモット堪能したかったですね。
 なんとなく、ガルシア=マルケスの全小説読んでみたい気になってしまいました。

by daisenhougen | 2006-12-12 07:06 | 読書-詩歌小説評論他
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