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吉本隆明「思想のアンソロジー」を読む

吉本隆明「思想のアンソロジー」を読む_d0001004_7444532.jpg 吉本隆明「思想のアンソロジー」を読んだ。
 筑摩書房、2007/01/25初版第1刷 1,995円、四六判、284頁。
 目次を写しておきます。
 大江匡房「傀儡子記」、大江匡房「遊女記」、「おもろさうし」、片歌(「記」歌謡)、祝詞「六月晦大祓」「大殿祭」、千石イエス、藤田まこと、天草方言、藤原定家「毎月抄」、釈正徹「草根集」、世阿弥「風媒花伝」、池坊専応「専応口伝」、瑞龍鉄眼「鉄眼禅師仮字法語」、南方宗啓「南方録 覚書」、本居宣長「源氏物語玉の小櫛」、頼山陽「黄葉亭の記」、「蕪村書簡集」、福沢諭吉「痩我慢の説」、平塚らいてう「元祖女性は太陽であった」、感性の思想1、感性の思想2、川端康成「美しい日本の私」、保田与重郎「日本の橋」、坂口安吾「堕落論」、南方熊楠「トーテムと命名」、折口信夫「妣が国へ・常世へ」、柳田国男「海上の道」、小林秀雄「信ずることと知ること」、聖徳太子「憲法十七条」、「遷都平城詔」、吉備真備「乞骸骨表」、宇多天皇「寛平御遺誡」、三善清行「意見十二箇条」、九条師輔「九条右丞相遺誡」、「武家家法」、「御成敗式目」、「建武式目」、「早雲寺殿廿一箇条」、「毛利元就書状」、「一遍上人語録」「消息法語」、「一遍上人語録」「請願偈文」、「一遍上人語録」「時衆制誡」、唯円編「歎異抄」、顕性房「一言芳談」、明恵上人「夢記」、高弁「一向専修宗選択集の中において邪を摧く輪」、法然「一念義停止起請文」、親鸞「教行信証」、貞慶解脱上人「興福寺奏状」、安藤昌益「良演哲論」、佐藤信淵「経済要略下」、吉田松陰「東北遊日記」、木戸孝充「内政充実・地租軽減に関する建言書」、岡倉天心「茶の書」、夏目漱石「文学論」序、森鴎外「ルーソーガー少時ノ病ヲ診ス」、石川啄木「時代閉塞の現状」、辻潤「浮浪漫語」、内村鑑三「戦時に於ける非戦主義者の態度」、河上肇「日本独特の国家主義」、チェンバレン「狂信的愛国主義」、与謝野晶子「粘土自像」、徳冨健次郎「謀叛論」、亀井勝一郎「日月明し」、鈴木大拙「日本的霊性」、出口王仁三郎「弥勒の世に就いて」、中山みき「おふでさき」。
 あとがきによれば「詩のアンソロジーに馴染んでいるので、それになぞらえて思想のアンソロジーを作ってみたいとおもった」。 「わたし自身の心にかかっている古代から近代までの思想に関与している記述を勝手気ままに択んで、気ままな解説や注をつけてそれを批評や批判に代えたかった」とのことです。
 取り上げられているのは、吉本さんファンにとっては、おなじみの著作たちですね。こういった風に並べてあると、吉本さんの思考の痕跡を辿ることができます。そして吉本思想の偏り、嗜好も明確に現れていますね。吉本思想のまさに源泉でしょうね。
 大半が、そうそうたる大思想家の著作からのアンソロジーですが、ちょっと毛色の変わった引用もありますね。ひじょうに興味深かったです。
 藤田まことの「恥ずかしながら一生芸人です」をあげて、「わたしも自前の言葉を色紙に頼まれたら、一度は、恥ずかしながら、生涯物書きですという模倣をさしてもらおうとおもった。誰にとっても生涯の職業は恥ずかしいものだ。何故なら、他の何にもなれなかったから、そうなってしまって米塩の資を得ているからだ」なんては泣かせる吉本節ですね。
 又、天草方言から「螺噛む(にしがむ)」をあげていました。「子供のときの表情を母から言われた天草方言」だそうですが、年をとればとるほど、天草人としての自分を意識しているようです。
 吉本さんも、対談本やインタビュー本でない、こういった本を出すまでに回復しているようですね。まだまだがんばって欲しいです。

by daisenhougen | 2007-02-19 07:44 | 読書-詩歌小説評論他
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