「中村宏・図画事件1953-2007」を見る

d0001004_17214778.jpg 昨日(2月18日)「東京都現代美術館」で展覧会「中村宏・図画事件1953-2007」を見た。
 中村宏(1932年-)さんて誰だっけ。ちょっと気になっていました。何となく見たことがありそうでしたが、思い出せませんでした。
 でも、会場のイラストや装幀のコーナーに行って、思い出しました。そうです、書籍の装幀ではずいぶんと目にしていましたね。ロラン・バルトの「神話作用」なんてはわたしも持ってます(大学に入ったばかりの頃、古本で買ったんですね)。
 セーラー服姿の一つ目少女の作品も、一度糸口が見つかれば思い出しました。間違いなく、その昔、見たことありますね(現物ではないかもしれませんが)。
 かつては一世を風靡したんですね。いわゆるアングラ系の時代ですね。そういった芸術家や文化人(?)、演劇人、そして出版などが一定の力を持っていた頃ですね。
 わたしはその下の年代なので、直接的には触れなかったのですが、少しはその残り香ぐらいは嗅いだ気がします。
 ある意味では、現代アートを何十年も前に先取りしていて、その表現をソフトケートしたのがその後の表現の歴史であると言えなくもないですね。
 でも、現在では、あんまりうけそうではありません。作品の含んでいる毒が強すぎますね。すっかり軟弱になってしまって、咀嚼できないかもしれません。だからなんでしょうか、見に来ている人がほとんどいませんでした(残念なことです・・・)。
 「本展は、そのような中村作品を包括的に捉え、油彩画約100点に、装丁・挿画・イラストレーションや資料など約200点を加えた総数300点を通して、制作の全貌を明らかにするものです」というだけあって。中村さんの画業の全貌を示してくれていますね。
 左翼系のリアリズム絵画から出発して、アングラ系の表現に転身し一定の表現を掴んだが、その後は方向性を失ったまま、といった軌跡が見て取れますね。
 中村さんの作品が70年代以降インパクトを失ったのは、時代の最先端から一気に時代に追い抜かれて、取り残されてしまったんからなんでしょうか。あるいは本人が、成熟を拒否し続けた結果なんでしょうか。いろいろ考えさせられた展示でした。
 

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by daisenhougen | 2007-02-25 07:19 | 鑑賞記-展覧会
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