成田龍一「大正デモクラシー(シリーズ日本近現代史4)」を読んだ。
岩波書店(岩波新書)、2007年4月20日、819円、新書判、272頁 目次を写しておきます。はじめに――帝国とデモクラシーのあいだ、第1章 民本主義と都市民衆(日比谷焼打ち事件と雑業層、旦那衆の住民運動、第一次護憲運動と大正政変、民本主義の主張、「新しい女性」の登場)、第2章 第一次世界大戦と社会の変容(韓国併合、第一次世界大戦開戦、都市社会と農村社会、シベリア出兵の顛末)、第3章 米騒動・政党政治・改造の運動(一九一八年夏の米騒動、政党内閣の誕生、「改造」の諸潮流、無産運動と国粋運動、反差別意識の胎動)、第4章 植民地の光景(植民地へのまなざし、三・一運動と五・四運動、植民地統治論の射程、ワシントン体制)、第5章 モダニズムの社会空間(関東大震災、「主婦」と「職業婦人」、「常民」とは誰か、都市空間の文化経験、普通選挙法と治安維持法)、第6章 恐慌下の既成政党と無産勢力(歴史の裂け目、既成政党と無産政党、緊縮・統帥権干犯・恐慌、恐慌下の社会運動)、おわりに――「満州事変」前後、あとがき、参考文献、略年表、索引。 著者の成田龍一(1951-)さんは、日本近現代史専攻の日本女子大学教授とのことです。 今回の巻は大正デモクラシーということで、1905年の日比谷焼打ち事件から1931年の満州事変前夜に至るまでの25年間が対象です。 植民地支配が本格化し、その植民地における人権無視がまかり通る中で、民本主義、社会主義、国粋主義の3つの思想がせめぎあった時代として描いています。 今までの巻ほど極端に事実を極小化や極大化はしていないです。けっこうバランス感覚はとれた記述のように思われました。歴史家たるもの、事実は事実として記述する態度は失ってほしくないですからね。 いよいよこのシリーズも戦争前夜まできましたね。
by daisenhougen
| 2007-05-10 06:39
| 読書-詩歌小説評論他
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