栗田勇「良寛」(春秋社)を読む

良寛
栗田 勇 / 春秋社
 栗田勇「良寛」(春秋社)を読んだ。彼の著作としては以前に「良寛入門」(祥伝社ノンブック)を読んだが、まったく印象にのこらなかった。この時は入門書だからこんなものかと思っていたが、今回もこれだけの大部の著作であっても駄目なものは駄目だと言わざる得ない。緊迫感のないぬるい著作の感はぬぐえない。良寛論のそうそうたる著作群の前では全く影が薄いと言わざる得ないと思う。
 まず著者は思いつきで適当な(好い加減な?)連想でいろんな人物を結びつけているが、小生にはその必然性がまったくでデタラメとしか思えない。たとえばヴェルレーヌとの対比が一番の例だが、その他もこの本全体に充ち満ちている。
 また、父親以南の死の要因を良寛に結びつける珍説に至ってはあきれて論ずるに値しないと思う。
 又、引用する良寛の詩文も全く新鮮みが無く、ほぼ入門書レベルを超えるものではなく、その解釈はよくもこんな陳腐な解釈が続くもんだと呆れてしまう。こんな思いで、イライラしながら読んだのは中野孝次の良寛論以来。
 つくずく良寛を論ずるのは難しいと思った。誰でも論じたがるが、説得力を持って論ずるのは本当に難しく、普通の文学者ではほとんど討ち死にしてしまう対象に思えた。
 ところで小生の良寛論のベスト3は唐木順三「良寛(日本詩人選)」、水上勉「蓑笠の人」、吉本隆明「良寛」です。
 最後に口直しに良寛の詩を写しておきます。
  生涯、身を立つるに懶く
  騰騰、天真に任す。
  嚢中、三升の米
  炉辺、一束の薪。
  誰か問わん、迷語の跡
  何ぞ知らん、名利の塵。
  夜雨、草庵の裏
  双脚、等間に伸ばす。

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by daisenhougen | 2005-05-21 06:39 | 読書-詩歌小説評論他
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