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松木武彦「列島創世記(全集 日本の歴史1)」を読む

松木武彦「列島創世記(全集 日本の歴史1)」を読む_d0001004_8253556.jpg 松木武彦「列島創世記(全集 日本の歴史1)」を読んだ。
 小学館、2007年11月09日初版1刷、1,995円、A5版、377頁。
 目次を写しておきます。第1章 森と草原の狩人―旧石器時代、第2章 海と森の一万年―縄文時代前半、第3章 西へ東へ―縄文時代後半、第4章 崇める人、戦う人―弥生時代前半、第5章 海を越えた交流―弥生時代後半、第6章 石と土の造形―古墳時代。
 著者の松木武彦(1961-)さんは日本考古学専攻の岡山大学文学部准教授とのことです。
 昨年から読み始めていましたが、読み終えたのは年を越してからになってしまいました。年明けの休日は絶好の読書期間です。せっせと読まなくては。なんせ年間200冊が目標ですからね。
 さて「全集 日本の歴史」第一巻は、旧石器時代から縄文時代、弥生時代、古墳時代までの四万年の日本列島の歴史を対象です。
 まぁ、四万年を377頁で描くんですから、いくら手がかりが少ないといっても、たいへんさは良くわかります。
 中でも、日本列島には約4万年前から1500年前までの間に寒冷化していく時期が2回あり、この気候変動が歴史を動かした最大の要因であり、人口の変動と定着・流動に大きな影響を与えたとの指摘は大いに納得させられました。
 また、日本列島の社会を周辺地域との交流との関連からとらえ、日本の枠組みを流動的に捉えていることも納得ですね。
 更に、著者がもちいた方法はヒューマン・サイエンス(認知考古学)なる最近流行の手法のようです。
 でもこの手法は、この本の叙述だけではちょっと説得力が不足しています。残された断片的な土器などを都合よく並べて、見てきたように推測して、科学と称している気がしないでもないですね。もう少し緻密な論証が必要な気がしました。
 ともかくも、全体としては、平易にコンパクトにまとめてあり、なおかつ大胆に描いていて好感が持てた著作でした。

 さて、この小学館版の「全集 日本の歴史」ですが、小学館の創立85周年企画とのことです。
 版形も大きく、文字も大きく、図版も多数掲載されていて、読みやすい作りです。全16巻の完結が2009年3月とのことですから、振り落とされないようについて行きたいですね。 全巻の表題を写しておきます。
 1 列島創世記、2 日本の原像、3 律令国家と万葉びと、4 揺れ動く貴族社会、5 躍動する中世、6 京・鎌倉 ふたつの王権、7 走る悪党、蜂起する土民、8 戦国の活力、9 「鎖国」という外交、10 徳川の国家デザイン、11 徳川社会のゆらぎ、12 開国への道、13 文明国をめざして、14 「いのち」と帝国日本、15 戦争と戦後をいきる、16 豊かさへの渇望。

by daisenhougen | 2008-01-03 23:24 | 読書-詩歌小説評論他
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