映画「ラスト、コーション」を見る

d0001004_1754812.jpg 昨日(02月11日)「TOHOシネマズ」で映画「ラスト、コーション」を見た。
 2007年、アメリカ=中国=台湾=香港、158分、原題:Lust,Caution/色・戒。
 監督:アン・リー李安、原作:アイリーン・チャン張愛玲、出演:トニー・レオン梁朝偉、タン・ウェイTang Way湯唯、ワン・リーホン、ジョアン・チェン、トゥオ・ツォンホァ他。
 まず映画館に入ってビックリ、ほぼ満席状態でした。いくらヴェネチア国際映画祭で金獅子賞を取ったと言ってもこんな状態とは知りませんでした。
 わたし的にはアン・リー監督作品はアカデミー賞を受賞した「ブロークバック・マウンテン」が題材的に入り込めなかったことから、そんなに期待していませんでした。
 でもこの作品ですっかり評価が変わりました。というか自分の不明を恥じる気持ちですね。たぶん、もう一度同じ作品をキチンと見れば評価が一変するかもしれません。

d0001004_1772437.jpg さて、この作品、ストーリー的には日本占領下の上海を舞台に、日本軍に協力している特務機関長と、彼を色仕掛けで籠絡しようとする抗日運動の工作員の学生がいつしかお互い惹かれゆくといったところです。
 ナチス占領下オランダで同じような題材の「ブラックブック」を連想させます。でも、こちらのラストはもっと悲劇的ですし、映画の出来も数段上ですね。
 表面から見れば間抜けな特務機関長が綺麗さに惑わされてスパイなのを見抜けなかったのかいと言いたくなるように見えます。でも、決してそうではないですね。たぶん特務機関長はスパイと知りつつこの女に惹かれていくんですね。もちろん女の方も極悪」非道の売国奴としりつつ惹かれていくんですから同じですね。
 緊迫した戦争前夜の社会情勢の中に、刹那的な悦楽に浸ることでしか確かめることができない男と女の悲劇的な愛みたいなものがテーマなんですかね。

d0001004_1792447.jpg かなり長尺な作品ですが、緊張感に満ちていて、一気にラストまで連れて行かれます。至るところに微妙な伏線が張り巡らされていて、気を抜いて見ることができません。たぶん今回見ただけでは大事な伏線をかなり見落としている気もします(たぶん見る度に新たな発見がありそうな作品です)。
 タイトルのラスト、コーションですが、ラストはLustで欲情といった意味で、コーションはCautionで戒めの意味とのことです、さらに中国語で指戒は指輪の意味で特務機関長が女工作員に6カラットの指輪を贈るシーンにも繋がっているようです。
 セックスシーンも話題のようです。まるで本番かと思わせるシーンもありますが、当然ぼかしが入っていました(全部で六箇所だそうです、中国では大幅カットだそうですから少しはマシなんでしょうね)。ただ、このシーンも死と殺戮と隣り合わせの中で惹かれ合う二人を描くのには不可欠なのは理解できます。

d0001004_17101360.jpg そして何といってもヒロインのタン・ウェイが素晴らしいです。可憐な美しさと妖艶さを併せ持っています。大胆なセックスシーンを披露していますが、それだけでなく悲しげではかなげな微妙な表情などもしっかり演じていました。今後ブレークするのは間違いないでしょうね。
 すっかりファンになってしまいました。
 でもやっぱり何といってもアン・リー監督の作品力です。心に深く突き刺さる映画でした。
 昨年はあんまり衝撃を与える作品に出会わなかったような気がしていましたが、今年はのっけからこんな素晴らしい作品にであえました。

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by daisenhougen | 2008-02-12 17:19 | 鑑賞記-映画
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