宮下誠「ゲルニカ ピカソが描いた不安と予感」を読む

d0001004_1056391.jpg 宮下誠「ゲルニカ ピカソが描いた不安と予感」を読んだ。
 宮下さんといえばは「20世紀絵画」という素晴らしい著作に感銘を受けましたので、早速読んでみました。
 今回はピカソの作品「ゲルニカ」だけに絞って多面的に読み解く一著です。
 こういった試みでは以前、岡田温司さんの「『ヴィーナスの誕生』視覚文化への招待」を読んで感銘をうけました。ボッティチェッリの作品がテーマでしたね。
 ピカソの「ゲルニカ」がナチスによる無差別爆撃に抗議して書かれたといった経緯については、今年の初めにTV番組「美の巨人たち」でけっこう詳しく扱ってました。その程度の予備知識でした。
 この著作ではもちろんのことながら作品の登場人物一つ一つを詳しく読み解いています。この部分だけでも、絵を見る時に漫然とザーッと眺めるだけでは駄目なんだと反省させられますね。 更に、製作過程の写真から丁寧にその描き直しを再現したり、博学な美術史の知識を生かして美術史の中から読み解いたり、最新の美術理論を駆使した読みまで示してくれています。
 一枚の絵画からここまで読み込めるんだという手本みたいな本です。
 この絵の来日は望めないでしょうが、ピカソ展は今年予定されているようなので、期待したいですね。

 光文社(光文社新書)、2008年01月20日初版1刷、893円、新書判、225頁。
 目次を写しておきます。第1章 神話的メッセージ、第2章 制作過程、第3章 美術史の中の『ゲルニカ』、第4章 オリジナリティと多層性、第5章 呪術的な力―歴史画として読む、第6章 ピカソの予感―「負」の戦争画。

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by daisenhougen | 2008-02-25 19:55 | 読書-詩歌小説評論他
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