網野徹哉「インカとスペイン 帝国の交錯(興亡の世界史12)」を読んだ。
このシリーズも半ば過ぎてきて刊行も遅れ気味になってきてますね。まぁ、おかげで追い立てられることなく読むことができます。 さて、この巻は今まで読んできたこのシリーズの中でも最良のひとつに入るような出来だと思います。 世界史の中ではどちらかといえば片隅に追いやられているスペインとインカを取り上げていますが、単なる征服者と被征服者といった単純な図式ではなく、複雑な諸相を見事に描く切っていました。 スペインにおける改宗ユダヤ人の存在や、スペイン支配下に生き残ったインカ帝国の末裔たちなど、歴史を複眼的・重層的に見直す視点をたくさん提供してくれていますね。 まさしく目から鱗の素晴らしい読書体験でした。 著者の網野徹哉(1960-)さんはアンデス社会史・ラテンアメリカ史専攻で東京大学准教授とのことです。 目次:第1章 インカ王国の生成、第2章 古代帝国の成熟と崩壊、第3章 中世スペインに共生する文化、第4章 排除の思想 異端審問と帝国、第5章 交錯する植民地社会、第6章 世界帝国に生きた人々、第7章 帝国の内なる敵 ユダヤ人とインディオ、第8章 女たちのアンデス史、第9章 インカへの欲望、第10章 インカとスペインの訣別。 講談社、2008年05月19日第1刷、2,415円、四六変型、398頁。
by daisenhougen
| 2008-06-24 06:41
| 読書-詩歌小説評論他
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