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山際素男「チベット問題」を読む

山際素男「チベット問題」を読む_d0001004_8502168.jpg 山際素男「チベット問題 ダライ・ラマ十四世と亡命者の証言」を読んだ。
 慌て者のわたくしは、新刊だと思って買ってしまったのですが、実際は今回のチベット問題に合わせて、1994年三一書房より刊行された「チベットのこころ」を改題し、新書版で復刊されたようです。
 ダライ・ラマ十四世との五日間にわたる単独インタビュー、亡命チベット人の証言集、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所の季刊誌「チベット通信」からの抜粋といった内容です。
 ちょっとまとまりに欠けていますが、チベット問題を多面的に紹介するといった思いで作られたんでしょうね。
 先日読んだばかりのペマ・ギャルポ「中国が隠し続けるチベットの真実 仏教文化とチベット民族が消滅する日」と内容から構成までかなり似ていますね(その時の感想はこちら)。
 でも、原著が刊行された1994年から14年も経過しているのに、事態は全く改善されていないんですね。いや、むしろモンゴル人はますます追い込まれているようです。
 今も続いている中国共産党によるモンゴル民族抹殺政策のひどい実体を、日本人に知らせた先駆的な著作なのかもしれません。
 インタビュー時のダライ・ラマ十四世はまだまだ若々しさすら感じられますが、14年の年月は確実に多くのものを奪っていっているようです。

 著者の山際素男(1929-さんはノンフィクション作家、インド文化研究家、翻訳家とのことです。チベット関連の著作が多いようです。
 目次:第1章 ダライ・ラマ法王とともに、第2章 亡命チベット人の証言、第3章 『チベット通信』より。
 光文社(光文社新書)、2008年06月20日初版1刷、798円、新書版、240頁。

by daisenhougen | 2008-07-07 06:49 | 読書-詩歌小説評論他
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