「モスクワ市近代美術館所蔵 青春のロシア・アヴァンギャルド」を見る

d0001004_14335312.jpg 昨日(07月12日)「Bunkamuraザ・ミュージアム」で展覧会「モスクワ市近代美術館所蔵 青春のロシア・アヴァンギャルド シャガールからマレーヴィチまで」を見た。
 わたしにとってロシア絵画はほとんど未知の領域でしたが、昨年の「国立ロシア美術館展 ロシア絵画の神髄」で18世紀後半から20世紀の初頭にかけてのロシア絵画の素晴らしさに開眼しました(その時の感想はこちらこちら)。
 今回の展覧会はその直後の時期に当たっていますから、期待していた展覧会です。
 ロシア革命前後の沸き立つような熱気に満ちた時期のロシア・アヴァンギャルドの作品たちです。
 「1999年に開館したモスクワ市近代美術館は、20世紀前半に花開いた“ロシア・アヴァンギャルド”の中心的な役割を果たした画家たちの作品を所蔵する美術館」で、「本展は同館が所蔵する、ロシア時代のマルク・シャガールからナターリヤ・ゴンチャローヴァ、ニコ・ピロスマニ、そしてカジミール・マレーヴィチ等の作品により、西洋との影響関係を保ちつつも、独自の前衛芸術を形成し、発展させた20世紀ロシア美術の流れを展観します。マレーヴィチ、ピロスマニ各10点をはじめ、全30作家による70作品が集結。モスクワ市近代美術館の所蔵作品をまとめて紹介する、日本で初めての展覧会となります」とのことです。
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 「Ⅰ-1 西洋の影響とネオ・プリミティヴ」、「Ⅰ-2 見出された画家ピロスマニ」、「Ⅱ マレーヴィチと抽象の展開」、「Ⅲ 1920年代以降の絵画」といった区分で展示されていました。
 最初は、ワシーリー・カンディンスキーの具象画からスタートです。まぁ、何のことない作品ですが、なんてったってカンディンスキーの具象画ですからね。展覧会に引きこむ仕掛けとしては上々ですね。
 この後は初めて聞く作家たちがずーっと並んでいます。
 でも、決して退屈することはありません。いずれの作品も沸き立つ時代の流れの中で、果敢に新たな表現に挑戦した熱気が伝わるきます。
 まさしくロシア絵画の青春の時期だったのかもしれません。
 でも作品の横に紹介されていた作家紹介にロシア革命後の運命が記されていましたが、若々しい作品の横に書いてある後半生に暗澹たる気持ちにさせられました。

 ロシア時代のマルク・シャガールが数点展示してあったのは、シャガール好きには有り難かったですね。
 
 でも、なんといってもこの展覧会中心はニコ・ピロスマニとカジミール・マレーヴィチです。いずれも10点もの作品が展示されていました。
 まずニコ・ピロスマニ(1862-1918)はグルジア出身で、正規の美術教育を受けたことがない素人画家です。
 まさしく「素朴」そのものの作品であり、民衆を主役にといったこの時代に持ち上げられたのが頷けます。
 素朴でほほえみを誘うような作品たちです。
 最近、再評価されているのもわかる気がします。

 カジミール・マレーヴィチ(1878-1935)はロシア・アヴァンギャルドを代表する画家で、わたしも立体的な人物像は見たことがあります。一目見たら忘れられない人物表現ですね。
 今回の展示では更に抽象度が進んだ作品も展示してあり、マレーヴィチの作品の変遷を追うことが出来る良い展示でした。
 そして最後に彼の自画像と妻の肖像画が展示してありました。
 まさに衝撃的な作品です。スターリン政権下で抽象画が弾圧され、表現の自由を失った後で、印象派風の具象画しか表現するすべを持てないことが示されています。
 もはやロシア・アヴァンギャルドが死んでしまったこと、否、芸術そのものが存続を許されなくなったことを象徴する作品でした。

 最後に文中挙げた以外の出品作家名を写しておきます。
 ナターリヤ・ゴンチャローヴァ、ダヴィード・ブルリューク、ジャン・プーニ、エル・リシツキー、ミハイル・ラリオーノフ、ダヴィード・シュテレンベルグ、オリガ・ロザノヴァ、イヴァン・クリューン、アレクサンドル・アルキペンコ、イリヤ・マシコーフ、イヴァン・マリューティン、リュボーフィ・ポポーヴァ、ボリス・グリゴーリエフ、アリスタルフ・レントゥーロフ、ピョートル・コンチャローフスキー、ボリス・アニスフェリド、アレクサンドラ・エクステル、アレクサンドル・ヴェスニーン、ヴラディーミル・イズデープスキー、ヴラディーミル・タトリン、ヴラディーミル・ステンベルグ、ヴラディーミル・ドミートリエフ、ヴラディーミル・バラーノフ=ロシネー、ヴァシーリー・シュハーエフ、エドゥアルト・クリームメル、パーヴェル・フィローノフ。

 図録買ったので、読んでから感想続けます。

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by daisenhougen | 2008-07-13 07:10 | 鑑賞記-展覧会
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