「狩野芳崖 悲母観音への軌跡」を見る

d0001004_15365143.jpg 昨日(08月31日)「東京藝術大学大学美術館」で展覧会「狩野芳崖 悲母観音への軌跡」を見た。
 狩野芳崖(1828~1888)といえば狩野派の絵師から転身をはかり、フェノロサ、岡倉天心らとともに西洋画の影響を受けつつ近代日本画への変換をとげた画家ですね。
 有名な割にはなかなかまとまって作品に触れることができませんでしたが、今回は生誕180年、没後120年にあたることから、「晩年の日本画革新時代の作品だけではなく、 郷里で修業を積んだ幼少時代からの作品を網羅、《悲母観音》制作に至る芳崖の画業を追い、 今再び《悲母観音》の魅力に迫」るとのことです。
 こちらの展示は「国立西洋美術館」の喧噪から一転して、ひっそりとしていました。近代日本画の祖の久々の回顧展なのに残念です。
 でも、そのおかげでじっくり、独占的に拝見できましたね。
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 展示は地下のフロアーで「芳崖の画業Ⅰ 下関と江戸・東京」、「芳崖の画業Ⅱ フェノロサとともに」、「模本 芳崖芸術の基礎」、「《悲母観音》へ」、「《悲母観音》の周辺」といった区分で展示してありました。
 まず「芳崖の画業Ⅰ 下関と江戸・東京」ですが、こちらは芳崖が10歳の時の模本から12歳の時の「孔丘尊像」、14歳の時の「馬関真景図巻」といった初期の習作からスタートです。驚くほど巧いですね。そして狩野派の絵師として、江戸末期から明治初期までの作品が並んでします。壮年期の作品も充実しています。半端な技量じゃないですね。
 次の「芳崖の画業Ⅱ フェノロサとともに」では旧来の狩野派の絵師から近代日本画への転身の軌跡が展示してあります。伝統的な日本画と西洋画が正面から対峙し、融合していくさまが示されています。凄いですね、時代が個人の作品に表現されているんですね。
 この中ではさすがに晩年の「不動明王」や「大鷲」は迫力満点ですね。
 「模本 芳崖芸術の基礎」では芳崖の11点ほどの模写作品が展示してありました。雪舟の「四季山水図」まで模写してるんですから、ビックリです。
 そして今回の展示のメイン「《悲母観音》へ」です。
 「悲母観音」が展示室の真ん中にドーンと展示してあります。そしてその周りに数々の下図が展示してありました。「悲母観音」を理解するのを助けてもらえますね。
 その他にも「フリーア美術館」に所蔵されている、ほぼ同じ画題の「観音」の複製印刷も展示してありました。見分けつかないぐらい精巧な印刷でした。
 「悲母観音」は昨年この美術館で開催された「天心展」でも拝見しましたが、存在感は抜群の作品ですね。
 作品の前に椅子も準備してありましたので、近くで細部を眺めた後で、座らせてもらって全体をじっくり拝見させてもらいました。
 「《悲母観音》の周辺」は芳崖の《悲母観音》の影響で描かれた作品が展示してありました。こっちはチョット余分な展示だったかもしれません。
 
 狩野芳崖の全貌にふれることのできる充実した展示でした。特に今回初めて拝見することができたフェノロサ以前の作品達は興味深かったですね。
 
 図録買ったので、読んでから感想続けます。

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by daisenhougen | 2008-09-01 07:00 | 鑑賞記-展覧会
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