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丸山茂徳「科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている」を読む

丸山茂徳「科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている」を読む_d0001004_8404346.jpg 丸山茂徳「科学者の9割は地球温暖化CO2犯人説はウソだと知っている」を読んだ。
 丸山さんの著作はかなり前になりますが、岩波新書の「生命と地球の歴史」を読んだことがあります。大きな視野で数十億年にわたる歴史を描いてあったように記憶しています。
 その丸山さんが環境問題を論じているということで、さっそく読んでみました。
 まずこの題名ですが。シンポジウムで参加した科学者に対してアンケートをとった結果、地球は温暖化していると答えたのは10%にすぎなかったことを暴露することからこの題名を付けたとのことです。
 もちろん驚きの結果ですが、寒冷化しているとの回答が20%であり、残りの70%はわからないとのことですから、ちょっと極端すぎる題名の様な気もします。
 学者さんの間でも良くわかんないといったところが正直なところなんでしょうね。
 著者の主張は、もちろん地球は断じて温暖化してはいないし、CO2によって温暖化することはない。むしろ地球は寒冷化しているので、そちらのほうが大問題である、といったところです。
 それを東京工業大学の研究チームのデータで証明しようとしています。
 そして2008年から寒冷化に転じたので、温暖化しているか、寒冷化に向かっているかは、まもなく事実が証明すると、自信たっぷり主張しています。
 もちろん、わたしにはどちらの説が正しいかを判定することはできません。
 ただ、温暖化温暖化の大合唱や環境問題に対するヒステリックな主張に対する反論としては面白いと思いました。役所やマスコミによる環境至上主義のキャンペーンには飽き飽きしてますからね。
 きっちりとしたデータで冷静に論ずることをドンドンおこなってほしいです。
 でも、面白く読めたのは、この地球寒冷化論を主張する第1章だけでした。

 第2章に入ると、主張する内容は一気にレベルダウンししまいます。
 素人丸出しの文明論や歴史観が披瀝され、アメリカ礼賛が延々と展開され、ついには人類滅亡論に近い主張みたいなものまでが飛び出してきます。
 思わず笑っちゃいました。著者が真剣なだけに始末悪いですね。
 地球温暖化で一般市民をを脅かすやり方が気に入らないんですが、この地球寒冷化論もおんなじやり方で脅かしてます。
 学者さんは自分の専門領域をきちん追求してこそ存在価値があるんです。学者としての禁欲的姿勢を失った主張は滑稽です。
 2章以降の文章読んでいると、1章の専門的な主張すら信じられなくなります。これでは温暖化論の政治的な駆け引きと同じですよ。

 素人談義の文明論はともかくとして、この寒冷化論は目から鱗的な主張です。うさんくさいCO2による温暖化説よりはよっぽどマシだと思えます。
 素人文明論の本が書く暇があったら、もっともっと緻密な論証を積み重ねてほしいですね。

 著者の丸山茂徳(1949-)さんは地質学者で専攻は地球惑星科学。東京工業大学理学部教授とのことです。
 目次:1章 「地球温暖化」CO2犯人説のウソと「寒冷化」の予兆、2章 2020年『成長の限界』と人類の危機、3章 人口減少時代の日本の政策、終章 人類のバブルが崩壊する。  宝島社 (宝島社新書)、2008年09月15日第21刷(2008年08月23日第1刷)、680円、新書版、191頁。

by daisenhougen | 2008-09-07 07:39 | 読書-詩歌小説評論他
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