水本邦彦「徳川の国家デザイン(全集 日本の歴史 第10巻)」を読んだ。
この巻の対象期間は1568年前後から1680年頃までの安土桃山から江戸時代前期です。 「織田信長・豊臣秀吉・徳川家康によって着手され、徳川家光の時代に完成をみた統一国家」とし、「徳川日本」と呼ぶことにしようとし、その特色を「身分制と石高制で国内を編成し、非キリシタンと国家管理外交で外枠を囲う徳川国家」としています。 さらにその後、「職能意識に支えられた身分ごとの活動が活発に進み、身分社会が発展し充実してい」き、「社会活動の深化・専門化に対応して、差別・選別意識を増幅させながら諸身分の細分化も始まる」と、この時代を総括しています。 権力の動きはほんのサラッとした記述ですませ、都市空間や農村の生活、更には宿場や街道といった社会生活を描き出すことで、この時代を浮かび上がらせようとしているようです。 多くの資料に分け入りながら描き出された、この時代の生活の実相のディテールが興味深かったです。 けっこう刺激に富んだ著作だったと思います。 このシリーズの好調さは持続中ですね。 著者の水本邦彦(1946-)さんは日本近世史専攻で京都府立大学教授。 目次:はじめに 徳川の日本人、第1章 京都と天下人、第2章 首都と城下町の建設、第3章 村づくりの諸相、第4章 神国日本と「国民」、第5章 農と自然の風景、第6章 内国のネットワーク、第7章 徳川の「自治」と「権力」。 小学館、2008年9月30日初版1刷、2,520円、A5版、362頁。
by daisenhougen
| 2008-10-11 08:32
| 読書-詩歌小説評論他
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