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伊知地国夫「Focus in the Dark 科学写真を撮る」を読む

伊知地国夫「Focus in the Dark 科学写真を撮る」を読む_d0001004_19401355.jpg 伊知地国夫「Focus in the Dark 科学写真を撮る」を読んだ。
 写真の世界も奥が深いですねぇ。
 わたしたちが普通に撮っているスナップ写真からアート系のプロ写真ぐらいまではなんとなくイメージできるのですが、科学写真なんてジャンルがあるんですね。
 そういえば、最近、街の写真店が閉店する最大の要因は、建築の現場写真や企業からの依頼される開発関連写真が激減したことだと聞いたことがありますが、写真の世界というのも幅が広いようですね。
 さて、この科学写真ですが、メチャクチャ面白い世界です。
 表紙はミルクの滴が傘状になった瞬間をとらえた写真のようですが、日常にありふれているものでも、拡大したり、時間を止めたり、光のあて方を変えることによって全く様相が変わり、美的瞬間が出現することがあることがわかります。
 この著作では様々な実例で、そういった美的瞬間の出現の様子を綺麗な写真とともに、その撮影方法までも紹介してくれてます。
 科学写真への誘いといった内容です。
 綺麗な写真を眺めていると、ついつい自分も挑戦しようかなぁといった気にさせられます。
 でも、冷静にその撮影方法を読んでみると、なかなか一筋縄ではいかないのがわかります。微妙なところが記述されていないんですね。もう少し実践的なテクニックも含めて撮影方法をもう少し詳しく紹介して欲しかった気もします。
 まぁ、綺麗な写真世界として眺めるだけでも愉しい本であることは確かでした。
 
 著者の伊知地国夫(1950-)さん科学写真家で顕微鏡、瞬間、光学などを中心に、自然科学現象の撮影を行っているかたのようです。
 目次:セッケン膜の干渉色模様、蚊取り線香の煙、CDの干渉色模様、ペンライトの揺れる軌跡、水風船の破裂、プリズムとレンズによる光の分散、丸い炎、ハイビスカスのおしべ、赤インクの結晶、ヤリイカの発光、水面に張った薄氷、変形菌モジホコリ、半球状のシャボン玉、ライターの火花、色水のミルククラウン、ビタミンCの結晶、ミルクの傘、ダイコンの葉柄の断面、液晶テレビの画素、リーフ写真、コンパクトデジカメで Focus in the Dark!
 岩波書店、2008年12月5日第1刷、1,995円、B5判変型、48頁。

by daisenhougen | 2009-02-06 06:40 | 読書-詩歌小説評論他
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