高木由臣「寿命論」を読んだ。
寿命論というから人間の寿命についてのあれこれの本かと思いきや、そうではありません。もっともっと高尚な著作ですね。 なんといっても著者はゾウリムシの研究者さんですから。 かなり専門性の高い著作で、わたしのような文系の読者にはかなりハードルが高かったです。 おぼろげにわかったのは、こういったことのようです。 「地球上には原核生物と真核生物がいて、前者には寿命というものが存在せず、後者には寿命をもつものともたないものとがいる。本書は「寿命をもたない」原核生物からいかにして「寿命をもつ」真核生物へ進化したかを論じたものである。」 更には「寿命とは抑制系の進化であり」、「生には死が内包されている」としています。 そしてその進化の要因をゲノムサイズの巨大化に求めています。 わたしにその内容の当否を判断することはできませんが、なかなか刺激的な内容でした。 そして、クローン技術やiPS技術についても、「生物の進化は細胞のもっている可能性を100%発揮させないように抑制をかけてきた歴史なのだ」として、「暴走」を助長させる野放図な技術進歩に警告を発しているのも、考えさせられる指摘でした。 著者の高木由臣(1941-)さんは発生遺伝学、細胞生物学専攻の奈良女子大学名誉教授とのことです。 目次:第1章 寿命にはさまざまな形がある、第2章 寿命と遺伝子の関係を探る、第3章 「寿命の法則」を考える、第4章 寿命の進化をたどる、終章 寿命から「生命」を考える、 日本放送出版協会(NHKブックス)、2009年1月30日第1刷、1,019円、四六版、251頁。
by daisenhougen
| 2009-04-14 07:55
| 読書-詩歌小説評論他
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