李元淳ほか「若者に伝えたい韓国の歴史」を読んだ。
韓国旅行の前に歴史の知識も少々仕入れておこうと、書店でなるだけ簡単そうで写真が多く収録されているのを探していたら、ピッタリの本にであいました。 内容もよく確認しないで買ってしまいました。 でも、読み始めてビックリです。 いわゆる教科書問題に対する韓国政府の「2003年度日本歴史教科書対策および韓国を正しく知らせる事業」の一環の出版物だったんですね。 内容としてはかなりバイアスのかかっています。 古代において高度な文明をほこる韓国が文明の遅れた日本にいかに多くの影響を与えたか、近代においては日本がいかに韓国を蹂躙したか。 これだけしか記述されていません、といってもいいぐらいです。 もちろん韓国の歴史をうたっているので、他の項目も極めて簡略に触れてはいますが、ほとんどおざなりな記述でした。 重層的な歴史をこんなシンプルに切り取られると、ちょっと待ってよと言いたくなってしまいます。 もちろん戦前に日本のおこなった韓国併合は最も恥ずべき愚行であり、忘れることはできません。 であるからこそ、「若者に伝えたい」という韓国の歴史をこういった手法ではうまく伝わらない気がします。 まぁ、いずこも政府であっても、国家が関与した歴史書にはろくなものができないってことかもしれません。 著者は李元淳、鄭在貞、徐毅植。訳者は君島和彦、国分麻里、手塚崇。 目次:はじめの言葉―韓国と韓国人、第1部 韓国の歴史と文化(第1編 文明の発生と国家の登場、第2編 いくつかの国から統一国家へ(第1章 新羅、高句麗、百済、加耶、第2章 統一新羅と渤海)、第3編 統一国家の発展と伝統文化(第1章 高麗の発展、第2章 朝鮮の成立と発展)、第4編 世界との出会いと近代社会(第1章 近代化の試練と主権守護運動、第2章 日本の支配政策と民族解放運動)、第5編 南北分断と大韓民国の発展)、第2部 韓国と日本の文化交流、終わりに-未来世代に願う交流の姿勢、翻訳者あとがき。 明石書店、2008年09月20日第4刷(2004年11月20日初版第1刷)、1,890円、23×19cm、183頁。
by daisenhougen
| 2009-04-24 07:41
| 読書-詩歌小説評論他
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