酒井忠康「早世の天才画家」を読んだ。
副題が「日本近代洋画の十二人」というように、大正・昭和期活躍した12名の洋画家が論じられています。 萬鉄五郎、岸田劉生、中村彝、小出楢重、村山槐多、関根正二、前田寛治、佐伯祐三、古賀春江、三岸好太郎、靉光、松本竣介。 日本洋画界のビックネームばかりですね。 何とその共通点は早世したことですから驚きです。 そしてその早世はけっして偶然ではなく、近代化の奔流で必然的なことととらえています。 非常に興味深い視点でピックアップしています。 深く追求していけば、かなりのことが言えそうなくくりかもしれません。 ただ、この著作はかなり長い期間にわたって書かれた文章をまとめた形であり、更にはその時々の求めに対応しているために、この主題をキッチリ追求しているわけではありません。 どちらかといえば、個々の画家についての論文集でしたね。 一部書き下ろしを加えたりしているようでしたが、もう少しこのテーマを深く論じて欲しかった気もします。 著者の酒井忠康(1941-)さんは世田谷美術館長とのことです。 目次:まえがき、一 雲のある自画像―萬鉄五郎、二 写実の森のなかで―岸田劉生、三 運命の画家―中村彝、四 心象の回路―小出楢重、五 宿命の十字路―村山槐多、六 幻視の画家―関根正二、七 造形の思索者―前田寛治、八 半開きの戸口―佐伯祐三、九 抒情詩圏の画家―古賀春江、十 透明な響きを―三岸好太郎、十一 呪術師の部屋―靉光、十二 暗い歩道に立つ―松本竣介、あとがき、初出一覧、収録作品制作年・所蔵元一覧。 中央公論社(中公新書)、2009年04月25日発行、987円、新書版、356頁。
by daisenhougen
| 2009-05-29 07:03
| 読書-詩歌小説評論他
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