「週刊 国宝の美03 建築1 平安時代の阿弥陀堂建築」を読んだ。第3号は建築です。 平安時代の阿弥陀堂の代表として平等院鳳凰堂、中尊寺金色堂、浄瑠璃寺本堂が特集されていました。 さすがに創刊のはじめの方の号は極めつきの作品(建物)がそろい踏みですね。 未来の国宝候補に取り上げられている、宮城県最古の木造建築「高蔵寺阿弥陀堂」はぜひ訪れてみたいですね。 目次:特集平等院鳳凰堂、極楽浄土の世界が鳳凰堂にどう表されたか(溝口正人)、国宝を深く知る「浄土庭園」に込められた意味(仲 隆裕)、中尊寺金色堂、光かがやく堂は墓廟とすべく建立された(溝口正人)、国宝にまつわる人々奥州藤原氏(藤原清衡・基衡・秀衡・泰衡)、北方の地に根差したアイデンティティー(斉藤利男)、浄瑠璃寺本堂(九体寺本堂)、阿弥陀仏を九体ならべたのはなぜか(溝口正人)、国宝探訪個人の祈りの場としての阿弥陀堂、国宝の見方[建築1]阿弥陀堂の構造と変遷(溝口正人)、もっと見たい国宝ギャラリー(富貴寺大堂/鶴林寺太子堂/願成寺阿弥陀堂(白水阿弥陀堂)/法界寺阿弥陀堂/金蓮寺弥陀堂/大宝寺本堂)、国宝を見にゆく(平等院/中尊寺/浄瑠璃寺)、21世紀の新国宝(3)(青井阿蘇神社ほか)、私のイチオシ! 未来の国宝高蔵寺阿弥陀堂(溝口正人)、私と国宝(3) (平山郁夫)。 朝日新聞出版、2009年09月06日発行、580円、A4変形版、40頁。 「週刊 国宝の美02 絵画1 江戸時代の絵画」を読んだ。第2号は江戸絵画です。 風神雷神図、紅白梅図、雪松図を江戸絵画の極めつきとして特集していました。 特別付録として「国宝所蔵先別 地図」が付いていました。個人蔵を除く全国宝の所在別一覧です。こちらは結構重宝しそうです。 目次:特集俵屋宗達風神雷神図、謎に満ちた風神雷神図と宗達(安村敏信)、国宝を深く知る 現代に息づく琳派デザイン(安村敏信)、尾形光琳紅白梅図、光琳が仕掛けた巧妙な罠(安村敏信)、国宝にまつわる人々尾形乾山、光琳の弟に生まれて(安村敏信)、円山応挙雪松図、応挙が創出した究極の写生(安村敏信)、国宝を深く知る幽霊図の元祖としての応挙(安村敏信)、国宝の見方[絵画1]琳派 私淑の系譜(安村敏信)、もっと見たい国宝ギャラリー(浦上玉堂 凍雲篩雪図/池大雅 山水人物図、楼閣山水図/池大雅 十便図、与謝蕪村 十宜図/渡辺崋山 鷹見泉石像)、国宝探訪年表で見る江戸絵画の世界、国宝を見にゆく(建仁寺/MOA美術館/三井記念美術館)、21世紀の新国宝(2)(齊年寺 雪舟・慧可断臂図ほか)、私のイチオシ! 未来の国宝白隠 達磨像(安村敏信)、私と国宝(2)(平山郁夫)。 朝日新聞出版、2009年08月30日発行、580円、A4変形版、40頁。 「週刊 国宝の美01 彫刻1 天平の脱活乾漆像」を読んだ。またまた週間本に手を出してしまいました。 現在、「週刊 西洋絵画の巨匠」と「週刊 世界の美術館」の2シリーズを買い続けています。なんとか西洋絵画シリーズは追いつきそうですが、美術館シリーズは積み上がるばかりです。 そんな中で3シリーズの併走はきついなんて思って躊躇していましたが、結局は手を出してしまいました。 このシリーズは国宝を網羅的に紹介するのではなさそうです。 50号の制約の中で人気のありそうな国宝を選んで紹介するようで、21世紀になって新たに指定された国宝は全部紹介するとのことです。 さて創刊号は阿修羅像、不空羂索観音立像、梵天・帝釈天立像の天平仏像のそろい踏みでした。 美しい写真とコンパクトな解説は短い時間で愉しむには充分でした。 わたしとしては、未来の国宝が注目記事のような気がしました。 創刊号特別付録として「国宝鑑賞の手引」が付いていました。 目次:刊行のことば(山本勉)、特集興福寺阿修羅像(八部衆立像)、天平の精神が凝縮された阿修羅の美(稲本泰生)、八部衆、古代の人々は阿修羅の眼差しに何を見たか(稲本泰生)、国宝にまつわる人々光明皇后 西金堂の諸像にこめた母への思い(稲本泰生)、東大寺法華堂不空羂索観音立像、脱活乾漆像の頂点に立つ大作(川瀬由照)、国宝を深く知る法華堂の成り立ちを探る(高橋照彦)、東大寺法華堂梵天・帝釈天立像、古代インドの最高神に由来する像容(稲本泰生)、国宝探訪天平彫刻 三つの技法、彫刻の技法脱活乾漆造り、国宝の見方[彫刻1]仏像、四つの世界(田中夕子)、もっと見たい国宝ギャラリー(興福寺十大弟子立像/東大寺法華堂 四天王立像、金剛力士立像)、国宝を見にゆく(興福寺国宝館/東大寺法華堂)、21世紀の新国宝(1)(中尊寺堂内諸像及天蓋ほか)、私のイチオシ! 未来の国宝東大寺伎楽面(稲本泰生)、私と国宝(1)(平山郁夫)。 朝日新聞出版、2009年08月23日発行、400円、A4変形版、48頁。 藤生京子「吉本隆明のDNA」を読んだ。吉本さんについて論じた本としては、6月に鹿島茂さんの「吉本隆明1968」を読んだばかりです。この本が素晴らしかったので、ついつい関連本としてこちらにも手を伸ばしてみました。 こちらの著作は新聞記者の藤生京子さんが6名の著名人にインタビューして、その内容を著名人の仕事と絡ませてまとめましたといった作りです。 その著名人は姜尚中、上野千鶴子、宮台真司、茂木健一郎、中沢新一、糸井重里の各氏です。 現在の吉本さんにかなり距離をおいている人から、積極的にその影響を語る人までかなりバラエティにとんだ人選です。 なにか有名人だったら誰でもよかったのではと疑ってしまいました・・・。 吉本隆明のDNAなんて名前倒れでしたね。 更には著者自身が吉本さんにまったく思い入れがないようですから、読んでいて熱さがまったく伝わってきませんでした。 お仕事でせっせと吉本さんを勉強したので、器用にまとめてみましたといったところでしょうかね。 中沢新一さんが吉本隆明論を執筆中というのを知ったことが唯一の収穫だったかもしれません。 著者の藤生京子(1965年-)さんは朝日新聞社の記者とのことです。 目次:まえがき、姜尚中「世界の本質をつかむ、根っからの詩人」、上野千鶴子「空前絶後。根底的にものを考える人」、宮台真司「実存主義者の倫理」、茂木健一郎「どきっとするような本質」、中沢新一「最も強力な、日本語をもちいて思考した人」、糸井重里「態度への共感」、吉本隆明略年譜、あとがき。 朝日新聞出版、2009年07月30日第1刷、1,995円、四六版、299頁。 小田部雄次「皇族―天皇家の近現代史」を読んだ。明治以降の近現代史には歴代の天皇は欠かせない存在です。 ですから、この時代を扱った歴史書を読めば、それぞれの天皇の行動の記述や考え方の考察が必ずと言っていいほど含まれています。 でも、その天皇をとりまく最も近しい存在である「皇族」については、天皇の行動に直接関係すること以外はあまり触れられていませんね。 この著作はその「皇族」を正面から扱ってくれています。 新書といいながら500頁に迫らんとする大著です。 近世皇族として伏見宮系皇族が何百年も前に別れた系統の末裔であることから始まり、それぞれの皇族の成立から廃絶までのドラマを網羅的に扱っています。 詳細な系統図から婚姻関係、更には外遊の記録や皇族の金銭状況まで記述されています。 まさしく皇族について知ろうと思ったら、この著作にあたれば糸口ぐらいは見つかりますといった作りになってます。 血脈を唯一のよりどころとする天皇制がいかに脆弱な基盤の上に立っているか、そしてその血脈を維持するためにその範囲を含めて時代毎に多くの軌道修正をしてきたことが良くわかりました。 著者の小田部雄次(1952年-)さんは日本近現代史専攻で静岡福祉大学教授。 目次:はじめに、序章 十一宮家の皇籍離脱-伏見宮系皇族の解体、第一章 近代皇族の誕生、第二章 法制化される皇族-男系・傍系・配偶者、第三章 謳歌と翳り-近代国家の成立期、第四章 昭和天皇の登場-軍国主義の跫音、第五章 戦争の時代、第六章 皇籍離脱と新憲法、第七章 天皇・皇族の戦後、終章 これからの皇族、あとがき、主要参考文献。 中央公論新社(中公新書)、2009年06月25日発行、1,029円、新書版、472頁。 四方田犬彦「音楽のアマチュア」を読んだ。四方田さんの守備範囲の広さにはいつも驚かされているのですが、今度はなんと音楽にまで触手を伸ばしてきましたね。 2005年11月から2009年03月まで「一冊の本」に連載されたとのことで、abc順に39項目が取り上げられています。 取り上げられているのは、クラシックはもちろん、ジャズ、ロック、民族音楽、そして現代音楽と何でもござれといったとこです。 そしてその音楽愛好の起源たるや、かなりの部分が高校時代というんだから、四方田さんの早熟ぶりは凄いですね(もちろん膨大な読書や映画も同時にこなしているようですしね)。 アマチュアなどと謙遜した位置を強調していますが、実際はかなりヘビーな論述が展開されています。音楽論といっても思想的な味付けがキーとなっています。このあたりはやっぱり四方田さんらしいですね。 これだけ幅広い音楽を取り上げてはいるのですが、不思議にこの音楽を聴いてみたいという気にはなりませんでした。このあたりがアマチュアなんでしょうか・・・。 目次:音楽の希有について、アリ・アクバル・ハーン、「アリラン」、アルバート・アイラー、ヨハン・セバスティアン・バッハ、ビートルズ、ジェフ・ベック、バルトーク・ベーラ、ジョルジ・ベン、ルチアーノ・ベリオ、ジョン・ケージ、ジョン・コルトレーン、キューバ、マイルス・ディヴィス、ボブ・ディラン、クツィ・エルゲネ、モートン・フェルドマン、ブリジット・フォンテーヌ、ガムラン、フィリップ・グラス、グレン・グールド、ジミ・ヘンドリックス、ロバート・ジョンソン、ウム・クルスーム、カラオケと替え歌、河内音頭、オリヴィエ・メシアン、モロッコ、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、ザ・ピーナッツ、ローリング・ストーンズ、ロマ、ニーノ・ロータ、アーノルド・シェーンベルク、高橋悠治、ジョゼッペ・ヴェルディ、リヒャルト・ワーグナー、ヤニス・クセナキス、フランク・ザッパ。 朝日新聞、2009年07月30日第1刷、2,415円、四六版、376頁。 傳田光洋「賢い皮膚─思考する最大の〈臓器〉」を読んだ。現代科学の最前線を生き生きと伝えてくれる素晴らしい著作に出会えました。 しかもなんと皮膚学の最前線です。 皮膚は全て合わせると3kgにもなり、肝臓や脳よりも大きな最大の臓器であるといった事から始まり、皮膚は脳と同じ機能を持っているといった最新の研究成果までが開陳されています。 かなり専門的な記述が続きますが、ところどころに化粧会社の研究員ならではのおもしろトピックもはさんであるので、わたしみたいな文系人間にも読み通すことができました。 科学者の探求プロセスも生き生きと伝えてくれてますし、皮膚に関する蘊蓄も仕込むことができた愉しい読書でした。 著者の傳田光洋(1960年-)さんは分子工学専攻で資生堂研究所主任研究員とのことです。 目次:はじめに、第1章 皮膚の様々な様相、第2章 表皮と角層、第3章 皮膚は自律している、第4章 皮膚が感じる、第5章 身体と皮膚、第6章 情報処理システム、あとがき、参考文献。 筑摩書房(ちくま新書)、2009年07月10日第1刷、756円、新書版、213頁。 酒井忠康「早世の天才画家」を読んだ。副題が「日本近代洋画の十二人」というように、大正・昭和期活躍した12名の洋画家が論じられています。 萬鉄五郎、岸田劉生、中村彝、小出楢重、村山槐多、関根正二、前田寛治、佐伯祐三、古賀春江、三岸好太郎、靉光、松本竣介。 日本洋画界のビックネームばかりですね。 何とその共通点は早世したことですから驚きです。 そしてその早世はけっして偶然ではなく、近代化の奔流で必然的なことととらえています。 非常に興味深い視点でピックアップしています。 深く追求していけば、かなりのことが言えそうなくくりかもしれません。 ただ、この著作はかなり長い期間にわたって書かれた文章をまとめた形であり、更にはその時々の求めに対応しているために、この主題をキッチリ追求しているわけではありません。 どちらかといえば、個々の画家についての論文集でしたね。 一部書き下ろしを加えたりしているようでしたが、もう少しこのテーマを深く論じて欲しかった気もします。 著者の酒井忠康(1941-)さんは世田谷美術館長とのことです。 目次:まえがき、一 雲のある自画像―萬鉄五郎、二 写実の森のなかで―岸田劉生、三 運命の画家―中村彝、四 心象の回路―小出楢重、五 宿命の十字路―村山槐多、六 幻視の画家―関根正二、七 造形の思索者―前田寛治、八 半開きの戸口―佐伯祐三、九 抒情詩圏の画家―古賀春江、十 透明な響きを―三岸好太郎、十一 呪術師の部屋―靉光、十二 暗い歩道に立つ―松本竣介、あとがき、初出一覧、収録作品制作年・所蔵元一覧。 中央公論社(中公新書)、2009年04月25日発行、987円、新書版、356頁。 魯迅「故郷/阿Q正伝」を読んだ。今月の古典再読は魯迅(1881-1936)です。 藤井省三さんの新訳ということですので、この機会に読んでみることにしました。 魯迅の作品を読んだのは、もはや数十年の遙か昔ですから、初読と一緒かもしれませんね。 今回の文庫では「吶喊」と「朝花夕拾」から16編が選ばれています。ただ収録順が変則的で「吶喊」の作品が前後に分割されていました(何でこんな編集にするのでしょうか)。 さて作品ですが、王朝崩壊による近代化の奔流の中で生きる知識人と庶民の姿が鮮やかに切り取られています。 古き時代に対する愛惜と断罪の揺れる思いが伝わってきます。 作品としては「阿Q正伝」と「狂人日記」のインパクトは飛び抜けていましたね。 まぁ、魯迅の場合は中国語における口語表現の導入といった側面があるので、翻訳文ではそのあたりについてはまったくお手上げです。 そのあたりを差し引いたとしても、古典的風格を帯びた作品達でした。 訳者は藤井省三(1952-)さん。 目次:訳者まえがき、吶喊より「孔乙孔(コンイーチー)」、「薬」、「小さな出来事」、「故郷」、「阿Q正伝」、「端午の節季」、「あひるの喜劇」、朝花夕拾より「お長と『山海経(せんがいきょう)』」、「百草園から三味書屋へ」、「父の病」、「追憶断片」、「藤野先生」、「范愛農(ファンアイノン)」、付録――吶喊より「自序」、「兎と猫」、「狂人日記」、解説 藤井省三、年譜、訳者あとがき。 光文社(光文社古典新訳文庫)、2009年04月20日初版第1刷、800円、文庫版、341頁。 宮永美知代「美女の骨格」を読んだ。美術解剖学なる学問分野があるんですね。その「超」入門書ということですから、門外漢としては読まないわけにはいけませんね。 美術解剖学とは人体の解剖学的構造を学び、芸術制作に活かそうという学問のようです。 日本における創始者が森鴎外とはチョット驚きでした。 ただ、内容的にはチョットとりとめがない感じでした。柔らかめの新書ということを意識しすぎたのかもしれませんね。 例えば、残された頭蓋骨から生きていた当時の顔をかなり正確に再現できるといったトピックも、これだけ簡略化した説明ではあんまり説得力がありませんでしたね 縄文系と弥生系の代表がそれぞれ宮崎あおいと藤原紀香といったことも、かなり興味深い話題ですが、その根拠がさっぱりわかりません。これじゃぁ、チョット困ってしまいますね。 おそらくそれぞれに対して深い考察と裏付けがあると想像するのですが、もう少しキッチリ書いて欲しかったですね。 美術解剖学の入門書としてあんまり欲張ったテーマを羅列したために、かえって読者に魅力が伝わらなかった気がします。 著者の宮永美知代(1957-)さんは美術解剖学を専攻で東京芸術大学美術学部助教とのことで す。。 目次:はじめに 骨が美を語る「美術解剖学」、第1章 美しさの秘密は“骨”にあった、第2章 絵画は骨格で読み解くと面白い、第3章 「美人画」が教えてくれる美の変遷、第4章 “美女の境界線”はどこにある? 青春出版社(青春新書)、2009年5月15日第1刷、977円、新書版、197頁。 < 前のページ次のページ >
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