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「アファナシエフ ピアノ・リサイタル」を聴く

d0001004_10295431.jpg 昨日(10月30日)「浜離宮朝日ホール」で「ヴァレリー・アファナシエフ ピアノ・リサイタル」「シューベルト・プログラム2」を聴いた。
 初めて訪れたホールです。小生にとってはチョット交通の便が悪いです(大江戸線利用する人には良いんでしょうが)。でもホール自体はこぢんまりして好感が持てました。今回は2列目の真ん中あたりの席でした。ピアノの音が弱音はくっきりと音の消えるところまで、強音は体に響くように聞こえました。
 4月にアファナシエフが東京シティ・フィルを指揮するのを初めて聴くことができました(もちろん大感動でした)。そして今回は待望のピアノソロです。
 演奏曲目は全てシューベルトの曲でピアノ・ソナタイ短調D.784、ピアノ・ソナタ イ長調D.664、ピアノ・ソナタイ短調D.845。
 1回目とあわせて全てイ調の曲で統一してありました。アファナシエフらしいプログラムです(1回目は所用で聴けずにチケット無駄にしました、残念)。
 弾き始めから緊張感にみちた演奏でした。おなじみの極めて遅いテンポと極めて長い間合いをとりながら進行し、いつの間にか全ての違和感を消し去り、アファナシエフの音楽世界の中にグングンと引き込まれてしまいました。最後までこの緊張感が持続していました。素晴らしい限りの演奏でした。
 演奏終了後は、頭をチョコンと下げるだけで、さっさと引き上げてしまうアファナシエフ流でした。延々と拍手の嵐のお作法の終了の仕方よりは、よっぽど簡潔で気持ちがイイですね。
 会場では先日の東京シティ・フィルのライブ演奏(「悲愴」他」のCDが販売されていたので買いました。これを聴くのも楽しみです。

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by daisenhougen | 2005-10-31 10:29 | 鑑賞記-コンサート

「再興院展90回の歩み展」を見る

d0001004_10195728.jpg 昨日(10月30日)「日本橋三越」で展覧会「再興院展90回の歩み展」を見た。
 いつもの事ながら非常に混んでいる(最終日だから尚更なのかもしれないですが・・・)。そして圧倒的に年配女性に占領されていました。
 今回は新館のいつものスペースばかりでなく、本館の一部も使って3会場で結構大々的に展示してありました。三越さん得意の院展関連の展示なので力が入っているようですね。同人97名による120点の展示とのことです。
 本当にきら星のごとくに素晴らしい日本画家の作品が並んでいますね。横山大観の「秋色」屏風から始まり前田青頓、小林古径、奥村土牛、小倉遊亀、片岡球子などなどの大作が並んでおり、すばらしいいかぎりです。
 西洋絵画の怒濤のような流入の中で、あがき、苦しみ、変容していった様が痛々しいほど伝わってきます。そしてそこから静謐な日本画の世界が確立されていますね。戦後のある時期ぐらいまでは日本画の黄金期かも知れません。
 でも第3会場あたりの最近の院展作品となると事情は変わってきます。どの作品も素晴らしい技法を縦横無尽に駆使しているもかかわらず、作品の与える印象は空虚さを増しているのはいったい何なんでしょう。大会社や公共施設、宗教法人に展示するのにふさわしい、装飾性に重点を置いた作品ばかりですね。院展系の作品はどれもが工芸作品になってしまったようです。残念です。

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by daisenhougen | 2005-10-31 10:20 | 鑑賞記-展覧会

富澤慶秀「だから歌舞伎はおもしろい」を読む

 富澤慶秀「だから歌舞伎はおもしろい」(祥伝社新書)を読んだ。
 著者は東京新聞の元芸能記者で、配置転換で中年になってから演劇担当の記者になって、ついには歌舞伎通になった人のようです。中年になっても歌舞伎は楽しめますよといった内容ですね。
 以下、目次は「何でだろう――素人(しろうと)記者の素朴な疑問」、「四百年の知恵――ただならぬ奥行きの世界」、「古今独歩の歌舞伎空間」、「歌舞伎を支える女性と子供」、「喜びも哀しみも――血と肉の音色(ねいろ)」、「お楽しみ――観劇の合間に」。 どれも新聞や雑誌でよく見られる切り口のような文章です(どっちかと言えばスポーツ新聞系かも)。簡潔に内容を要約し、雑学的話題を付加してまとめる方法で書かれています。読んでいるときはフンフンと読んでいるけれど、読み終わると忘れてしまう類ですね。軽い読み物としては良いかもしれません。
 中では歌舞伎座の筋書きに毎月掲載されている浮世絵の作者「鳥居清光」さんについては面白かったです。初めて知りました。
 あんまり歌舞伎全体の奥行きとか面白さといった、お勉強の成果から得た視点ではなく、新聞記者にしか知り得ない人間的な情報のみに絞った方がよかったのかも知れませんね。

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by daisenhougen | 2005-10-31 10:16 | 読書-詩歌小説評論他

メガネを買う

d0001004_10125297.jpg 眼鏡専門店「パリーミキ」でメガネを買った。
 先日、つまずいた拍子に(年ですねぇ)、メガネがはずれてしまい、レンズが道路に直撃、大きなヒビが入ってしまいました。
 小生は強度の近視でメガネなしには満足に生活できないのです。顔を洗うときと寝るとき以外はほとんどいつもメガネを着用しています。当座は古いメガネで代用していましたが(もちろんスペアーは必須ですので、単身赴任でも寓居に準備してありました)、自宅に戻った機会に買いました。
 検眼の結果は、更に近視が進んでいるとのこと。普通は小生ぐらいの年になると、近視の進行は止まるらしいのですが、まだ進行しているようです(まだ若いのでしょうか)。
 小生みたいに強度の近視の場合は、圧縮レンズにするしかなく、レンズだけの交換でも41,790円の出費となりました。本当に高価ですね。でも圧縮レンズが開発されたおかげで、強度の近視が目立たなくなったのだから、文句は言えません。
 いままでより、ちょっぴり見えるようになりました。オペラ鑑賞の時の字幕が見えやすくなるのが楽しみです。

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by daisenhougen | 2005-10-30 10:12 | 買い物

川上弘美「此処彼処」を読む

 川上弘美「此処彼処」(日本経済新聞社)を読んだ
 日本経済新聞に昨年1年間連載された場所に関するエッセイ集。連載当時は小生も楽しみにして読んでいました。やっと単行本としての刊行です。
 連載時には軽いエッセイとしての印象でしたが、まとめて読んでみるとかなり密度の濃い文章でした。
 「あとがき」によると、いままで「場所についての言及を、いつも、避けてきた」が、「一年間、様々な場所について書いた。具体的な場所の名を示す、ということは、つまり、私個人のことをはっきりと書くことなのだということを、この仕事によって教わった。そしてまた、私個人のことを書いたつもりでも、結局何も書けていないのだ、ということも」と記しています。
 彼女のアメリカ体験や新婚旅行についてなど、具体的地名とともに、けっこう具体的に書いていますね。
 そして「何冊か本を上梓してきましたが、こんなに必死の形相で書いた文章は、もしかしたら初めてかもしれません」と書いてあるように、彼女の息遣いが感じられる文章です。 川上弘美さんも、又、大きく変わりつつあるのかもしれません。小説の新作が楽しみです。

 今回続けて読んだ、小生の大好きな3人(村上春樹、沢木耕太郞、川上弘美)が、それぞれ違った意味ですが、いずれも大きな転換点にいる感じを持ちました。

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by daisenhougen | 2005-10-28 10:07 | 読書-詩歌小説評論他

沢木耕太郎「凍」を読む

 沢木耕太郎「凍」(新潮社)を読んだ。
 山野井泰史、妙子夫妻がギャチュンカンという7,952mの山に挑んだ登山の様子を描いたノンフィクション作品で「新潮」に「百の谷、雪の峰」という題で一括掲載された。
 山岳登山に関心を持っている人には有名な話のようですが、小生は全く守備範囲外なので初めて聞く話です。そして著者の術中にはまり、当然のことながら感動させられてしまいました。登山てのは凄いんですね。究極のスポーツなのかも知れませんね。
 全く門外漢の小生みたいな読者にも登山の壮絶さを的確に伝えて、感動させてしまう沢木さんの文章力は素晴らしいですね。素人にもわかるように記述された予備知識の解説や、2人が登山に至る経緯、そして中心となる登山の描写どれもが的確で緻密で全く隙がありません。それでいて難解さを全く感じさせないのはお見事です。現代における日本語散文表現のお手本みたいな作品かも知れません。
 以前は、沢木さんの意志みたいなものが文章に顔を出していましたが、今回の作品では客観的な描写に徹しています。このあたりは沢木さんも変わりつつあるんでしょうか。
 でもやっぱり沢木さんには熱い意志を込めた表現であってほいしいですね。客観的な描写だけではちょっともの足らない気もします。
 そして、無名の人を積極的に描いて欲しいですね。最近はメジャー系の人を描く機会が多い気がしますが(もちろん父親を描いた作品は別ですが)。

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by daisenhougen | 2005-10-24 10:04 | 読書-詩歌小説評論他

村上春樹「東京奇譚集」を読む

 村上春樹「東京奇譚集」(新潮社)を読んだ。
 「偶然の旅人」、「ハナレイ・ベイ」、「どこであれそれが見つかりそうな場所で」、「日々移動する腎臓のかたちをした石」、「品川猿」の5編からなる短編小説集。5篇のうち、前の4篇は「新潮」に2005年3月号~6月号に掲載したものでを、もう1編は書き下ろし。
 例にとって例のごとき村上ワールドの小説世界です。静かで淡々とした世界の中から、チョットしたきっかけでゆがんだ奇妙な世界が出現、そして又、元の世界に戻る(だけどそれは元の世界ではなくなっている)といった定番ストーリーです。後はこの歪んだ世界のバリエーションを如何に紡ぎ出すかといった小説手法ですね。
 この村上ワールドにはまってしまうと癖になってしまいます。時にはデビュー作からなんら変わっていないんじゃないかなどと思いながら、ほぼ全作品を読んできてしまいました。麻薬的魅力があるんですね。
 でもやっぱり最大の魅力は文章(文体)の魅力です。非常な平易な日本語表現でこれほど的確に現代の心象風景を静謐に表現しているのは村上春樹さんが一番です。素晴らしい限りです。
 ただ今回の作品群は少し、現実というか具体性というようなものが、少し浸食している気もしました。村上さんも変わりつつあるのかもしれません。

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by daisenhougen | 2005-10-23 10:01 | 読書-詩歌小説評論他

映画「ルパン」を見る

d0001004_100341.jpg 昨日(10月21日)「シネチッタ」で映画「ルパン」を見た。
 2004年、フランス、監督:ジャン=ポール・サロメ、出演:ロマン・デュリス、クリスティン・トーマス・スコット、エヴァ・グリーン、パスカル・グレゴリー。
 先月から今月にかけては忙しくて映画を見る時間が取れなかった。今回、久しぶりに映画館に来て、何を見るか迷ったが、エヴァ・グリーンが出演しているのでこの「ルパン」を見ることにした。
 おなじみのモーリス・ルブランの小説で世紀の大怪盗アルセーヌ・ルパンの映画化ということで、頭を空っぽにして楽しめるのではと期待しましたが、結果は退屈でした。
 監督は「スパイダーマン」や「バットマン・ビギンズ」などのハリウッド映画の影響を受けているようで、盛りだくさんな内容を派手なアクションを交えて描いています。でも全く、足下にも及びませんね。同じやりかたでハリウッド映画娯楽大作と勝負してはいけません。
 もっと緻密にとか、濃厚にとか何でも良いんですが、ハリウッド映画と対極を目指さないといけません。大金をつぎ込んで、一流の俳優や制作陣を集めて、今ヒットしている映画やエンターテイメントのイイトコ取りして作り上げるのはハリウッド映画が一枚も二枚も上手なんですから。
 そして、決定的にダメだったのが、女性を美しく撮れないことですね。ベルナルド・ベルトルッチ監督の「ドリーマーズ」であれだけ美しくデビューしたエヴァ・グリーンが全く平凡な女性にしか見えないなんて。監督としてはこの点だけでも失格ですね。

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by daisenhougen | 2005-10-22 09:58 | 鑑賞記-映画

高山一彦「ジャンヌ・ダルク」を読む

 高山一彦「ジャンヌ・ダルク―歴史を生き続ける「聖女」」(岩波新書)を読んだ。
 ジャンヌ・ダルク(1412-1431)を歴史の中でどのように捉えられてきたかの視点から描いたもの。著者は日本のフランス史、とりわけジャンヌ・ダルク研究の第一人者のようです。
 小生のジャンヌ・ダルクに関する知識はTVで放映された時に見リュック・ベッソン監督の映画「ジャンヌ・ダルク」によるものだけです(この映画はミラ・ジョヴォヴィッチ見たさで見たのですが)。
 でもこの映画のおかげでジャンヌ・ダルクが「オルレアンの乙女」とも呼ばれ、フランスの国民的英雄であり、カトリック教会からは聖女として称えられていて、百年戦争の際にオルレアン解放に貢献し、シャルル7世をランスで戴冠させ、フランスの勝利に寄与。その後、コンピエーニュの戦いで捕虜となり、宗教裁判で魔女と断罪され、火刑になったといった知識は持つことができました。
 今回は、そんな縁があって本書を手に取りました。「史実と伝説」「同時代人が描くジャンヌ像」「後世の人々が描いたさまざまなジャンヌ」「処刑裁判記録に現れたジャンヌ像」「ジャンヌ列聖とジャンヌをめぐる論争」「歴史を生き続ける「聖女」」といった内容です。
 まさしく実証歴史学者だけあって、さまざまな歴史資料をもちいて、慎重にジャンヌ像を描き出しています。歴史学者の面目躍如です。こういった本を読んでから映画を見たかったですね。

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by daisenhougen | 2005-10-20 09:22 | 読書-詩歌小説評論他

守屋省吾「オペラ中毒記」を読む

 守屋省吾「オペラ中毒記」(朝日新聞社)を読んだ。
 著者は中世王朝文学が専門の大学の先生のようで、趣味でオペラにのめりこんで、このような本をものにしたようです。
 毎年のようにウィーン、ミュンヘン、ニューヨークなどのオペラ劇場巡りをしているようで、オペラ三昧の生活みたいです。羨ましい限りですね。
 内容的には有名オペラの内容を紹介しながら、自分の思いを書くⅠ部と歌手についてのⅡ部に別れている。けっこう気配りの効いた構成です。
 でも、せっかく素人が書くオペラ中毒記なんですから、粗筋なんて無理に書いて欲しくなかったです。もっと独断と自分の好みを前面に出してほしかったです。
 でもワーグナー嫌い、新演出嫌いで歌手ではグルベローヴァとパヴァロッティが好きぐらいは伝わってきました。
 一番おもしろかったのは、Intermissionとして書かれた部分でした。この部分だけで一冊の本にしてくれた方が良かったかも。海外のオペラ観戦の顛末のディテールなどをもっと詳しく書いて欲しかったです。例えばウィーン国立歌劇場には全ての席に字幕用の液晶ディスプレーが装備されているなんてのは初めて知りました。羨ましいですね。日本でも是非導入して欲しいですね。

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by daisenhougen | 2005-10-19 09:17 | 読書-詩歌小説評論他