<   2007年 07月 ( 44 )   > この月の画像一覧

「図録 美術の遊びとこころ「旅」」を読む

d0001004_12194764.jpg 「図録 美術の遊びとこころ「旅」」を読んだ。
 発行:三井文庫 三井記念美術館、2007年7月第1刷、295*210、72頁。
 清水実「解説-美術の中に「旅」を見る」といった学芸員による解説と図版と作品解説といったシンプルな構成です。
 ただ残念な点が少々。
 展示62点の内33点しか図版が収録されていません。これでは展覧会図録としての大事な役割である「資料価値」を放棄しているようなもんですね。
 もちろん価格との兼ね合いもあるでしょうが、もう少しなんとかなんなかったんでしょうか。せっかく素晴らしい展覧会だったんですから・・・。

[PR]
by daisenhougen | 2007-07-31 07:19 | 読書-展覧会図録

映画「夕凪の街 桜の国」を見る

d0001004_21453010.jpgd0001004_21455931.jpg
 昨日(07月29日)「109シネマズ」で映画「夕凪の街 桜の国」を見た。
 2007年、日本、アートポート。
 監督・脚本:佐々部清、原作:こうの史代、出演:田中麗奈、麻生久美子、吉沢悠、中越典子、伊崎充則、金井勇太、藤村志保、堺正章ほか。
 こうの史代の漫画を映画化したとのことです。
 原爆投下から13年後の広島で人を愛することに臆病になりながら、原爆症で亡くなってしまう女性を描いた「夕凪の街」。
 50年後の現在、その死んだ女性の弟と娘(姪)が広島を向かい、姪の少女時代とからませながら進行する「桜の国」。
 二つの物語は結局、一つの物語となり、原爆投下から始まる63年の物語となっています。
 まず「夕凪の街」。原爆に悲惨さを表現するのに原爆地獄絵みたいなのを使っているのは、ちょっと興ざめでしたが、後はうまく描かれていました。特に麻生久美子が好演していました。原爆を描いた映画と言えば「父と暮らせば」の宮沢りえの好演が忘れられませんが、麻生久美子の演技も良かったですね。戦後の質素なそしてひっそりとした生活感がうまくでていました。
 後編の「桜の国」ではテンポ良くストーリーが展開して、観客をうまく運んでくれますね。こちらも現代っ子がだんだん過去に向き合っていく様を田中麗奈な好演していました。
 満席状態の劇場内ではすすり泣く声があちこちから聞こえていました。さすがに年配の人が多かったですが、若い人もちらほらいたのは心強かったですね。
 主演の二人以外も藤村志保、中越典子といった女優陣の演技が光る映画でした。やっぱり過去の記憶の伝承といった役割は女性にはかないませんね。どうしても男は脇役になってしまいますね。
 原爆記念日を前にしたこの時期にふさわしい佳作でしたね。

[PR]
by daisenhougen | 2007-07-30 07:44 | 鑑賞記-映画

「シャガール展」を見る

d0001004_1404419.jpg 昨日(07月29日)「千葉市美術館」で展覧会「シャガール展」を見た。
 会期最終日に滑り込みで見てきました。
 今回の展示は、どちらかと言えばリトグラフなどが中心の展示と聞いていたので、なかなか千葉まで足を伸ばすのをためらっていました。
 でも、いろんな展覧会に展示されている割には、シャガール(1887-1985)の作品ををまとめて拝見する機会なんてめったにないんですから、無理してかけつけました。
 先日拝見したばかりのキスリングとはエコール・ド・パリつながりですね。
 「本展覧会は、国内外の名品により、初期から晩年にいたるシャガールの画業を跡づけます。最初期の貴重な作品《村の祭り》や代表作《軽業師》など油彩画24点を含む、約180点から構成されます。恋人たちや新婚カップルなど、シャガールが得意とした愛をテーマとする作品も数多く展示されます」とのことです。
 こちらの美術館は千葉市の中央区役所の建物ですから、1階部分は参議院選選挙の投票所になっていました。選挙もせずに美術館巡りなんて罰当たりですね。
 さて展示の方ですが、やっぱりリトグラフなどの展示が多かったですね。特に「わが生涯」、「聖書」、「ダフニスとクロエ」、「出エジプト記」、「サーカス」といった連作が目に付きました。
 でもやっぱりシャガールと言えば幻想あふれる色彩を味わいたいですね。そういった意味ではパンフレットでも使われた「枝」や「青い恋人たち」、「軽業師」、「ふたり」、「緑、赤、青の恋人たち」などの油絵はやっぱり素晴らしかったですね。贅沢な色彩の饗宴を堪能しました。
 大半が国内美術館の所蔵作のようですから、かなりの良品が日本にコレクションされているんですね。日本人のシャガール好きがわかります。

 同時に「寄贈作品による 近代日本画展-楠原コレクション・島コレクションを中心に-」も一緒に開催されていました。
 出品作家は寺崎広業、中村岳陵、小野竹喬、池田遙邨、田中以知庵、川合玉堂、児玉希望、小倉遊亀、東山魁夷、関主税ほかとのことです。
 表題通りの内容でしたが、主力作と言うよりも小品の展示が多かったですね。美術館のコレクション形成はやっぱり個人の寄贈だよりなんでしょぅね。

 次回は「若冲とその時代」ですから、またもや千葉まで足を伸ばさなくてはなりませんね。

[PR]
by daisenhougen | 2007-07-30 07:00 | 鑑賞記-展覧会

ブログ投稿1,000回

 この投稿(2007年7月29日)でブログのアップ件数が1,000回件となります。
 よく続きましたね。自分を褒めてやりたい気分です。2005年3月11日の第1回から始まって870日目です。
 月別の投稿件数を写しておきます。
 2005年03月 13件、2005年04月 35件、2005年05月 35件、2005年06月 23件、2005年07月 18件、2005年08月 30件、2005年09月 36件、2005年10月 27件、2005年11月 35件、2005年12月 22件。
 2006年01月 21件、2006年02月 25件、2006年03月 44件、2006年04月 46件、2006年05月 41件、2006年06月 26件、2006年07月 42件、2006年08月 32件、2006年09月 43件、2006年10月 39件、2006年11月 33件、2006年12月 52件。
 2007年01月 43件、2007年02月 38件、2007年03月 35件、2007年04月 36件、2007年05月 54件、2007年06月 35件、2007年07月(29日まで) 41件。
 結構ばらついているもんですね。
 さてさて、こんな形態のブログいつまで続くんでしょうか。
 単身生活のマンネリ防止に始めましたが、まさか2,000件目にも単身生活なんてならないようにしたいですね。

[PR]
by daisenhougen | 2007-07-29 06:58 | その他

雑誌「Pen(ペン)2007/07/01号No.201」を拾い読み

d0001004_12583025.jpg 雑誌「Pen(ペン)2007/07/01号No.201」を拾い読みした。この号の特集は「日常をアートに変えた写真家 アンリ・カルティエ=ブレッソン」です。
 発売された当時、書店に並んでるのを横目で見ていましたが、買う気にななれませんでした。でも「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」展を見て、是非ほしくなってバックナンバーを買い求めました。
 「カルティエ=ブレッソンと激動の20世紀」「稀代の写真家、その知られざる素顔」で大体のカルティエ=ブレッソンの人となりがわかりますね。
 この特集の中心は「ロベール・デルピールが選ぶ、珠玉の20点」です。代表作が掲載されています。
 更に「各界の7人が語る、「私の好きな作品。」(荒木経惟、中島英樹、山口さよこ、宇野亞喜良、石川直樹、若木信吾、小嶋康嗣)にも代表作が掲載されています。
 これらの掲載されている約30点作品でほぼアンリ・カルティエ=ブレッソン代表作が網羅されている感じでしょうね。
 「決定的瞬間を捉えた、ライカとの関係」、「もっと深く知るための、本&DVD」、「最後は、とっておきのエピソードで」なども興味深かったです。
 会期は8月12日までですが、もう一度「アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌」展を見ておきたいですね。

[PR]
by daisenhougen | 2007-07-28 06:57 | 雑誌など

「キスリング展」を見る

d0001004_12544553.jpg 昨日(07月26日)「そごう美術館」で展覧会「キスリング展 モンパルナス‐その青春と哀愁」を見た。
 モイーズ・キスリング(1891-1953)の作品はいろんな展覧会で拝見するんですが(特に、エコール・ド・パリなんていえば欠かせませんね)、なかなかまとめて展示される機会はありませんでした。
 今回、「日本においてはおよそ15年ぶりとなる本格的な回顧展となる本展覧会では、プティ・パレ美術館(スイス・ジュネーヴ)のコレクションを中心として、国内所蔵の作品なども加えた油彩画60点あまりを公開します。キスリング独特の濃密な表現を堪能していただけることでしょう」ですから、さっそく行ってきました。
 展示は「1891~1915 パリへ そして戦争へ」、「1915~1925年 モンパルナスの寵児として」、「南フランスとパリを行き来して」、「1941~1593年 アメリカへ そして帰国」といった具合にほぼ年代順に並んでました。
 初期のセザンヌの影響の色濃い作品から、同時代のキュビズムなどの影響下の作品、そしてこれぞキスリングと言った独自の画風を確立した作品と画風の移り変わりもハッキリわかります。すばらしいコレクションですね。
 「オランダ娘(1922)」「赤いセーターと青いスカーフを纏ったモンパルナスのキキ」、「オランダ娘(1928)」、「スウェーデンの少女イングリッド」、「女優エディット・メラの肖像」、「女優アルレッテイの裸像」などなど女性を描いた傑作揃いでした。憂いをおびた表情と鮮やかな色彩が素晴らしいです。、
 女性像以外にも「魚(ブイヤベース)」「花束」「ミモザの花束」のような静物画も素晴らしかったです。わたしには新しい発見でした。
 
 図録買ったので、読んでから感想続けます。

[PR]
by daisenhougen | 2007-07-27 06:54 | 鑑賞記-展覧会

山岡光治「地図に訊け!」を読む

d0001004_1165615.jpg 山岡光治「地図に訊け!」を読んだ。
 筑摩書房(ちくま新書)、2007年6月10日1刷、735円、新書版、221頁。
 目次は次の通り。第1章 地図の楽しみ、第2章 地図作りの、なぜ、第3章 地図表現の秘密、第4章 地図情報は正確か、第5章 地図作りの現場から、第6章 地図にはアイデアがいっぱい。
 著者の山岡光治(1945-)さんは元国土地理院中部地方測量部長とのことで、その経歴をいかして、地図作りの歴史から最近のトピックまで、地図に関するいろんな知識を詰め込んだ本です。
 伊能忠敬か始まった日本の地図作りがら、近代化とともに陸軍測量部が担当し、全国に三角点を設置し、全国地図を作った苦労話や歴史が興味深かったですね。
 ただ、いろんなトピックに触れて、盛りだくさんの内容を詰め込んだためか、説明不足の部分が多かった気がします。
 是非とも、今度は3冊ぐらいに別けて続編を出版してほしいですね。例えば、近代の地図作成の歴史の本、最近の地図作成方法の本、地図で愉しむためのハウツー本なんてのはどうでしょう。
 地図好きには、とっても愉しめる本でした。

[PR]
by daisenhougen | 2007-07-26 07:06 | 読書-詩歌小説評論他

映画「魔笛」を見る

d0001004_10411826.jpg 昨日(07月24日)「109シネマズ」で映画「魔笛」を見た。
 THE MAGIC FLUTE、2006年、イギリス、ショウゲート。
 監督・脚本:ケネス・ブラナー、指揮:ジェームズ・コンロン、演奏:ヨーロッパ室内管弦楽団、出演・歌唱:ジョセフ・カイザー、エイミー・カーソン、ルネ・バーベ、リューボフ・ペドロヴァ、ベンジャミン・デイ・デイビスほか。
 おなじみモーツァルトのオペラの映画化です。結構いろんなところで紹介されていたので、期待して見ました。
 でも、見終わった感想としては、あんまり感心しない作品でしたね。
 序曲の演奏とともに始まり、映像的には近代の戦闘シーンから始まりました(第一次世界大戦だそうです)。
 そして、歌の部分に入ってビックリしました。なんと英語で歌われているんです。モーツァルトのオペラが英語ってのは強烈に違和感がありますねぇ。最後までここは引っかかりました(いくら英米帝国全盛と言っても、音楽文化の改変はいけませんよ)。
 物語・映像的にはもっとひどくて、もはやパロディそのものといった感じで、モーツァルトの音楽とは全くフィットしていません。全く意味不明の映像となっていました。
 そもそもオペラ「魔笛」自体がかなり荒唐無稽な内容なんですが、その荒唐無稽さを更に拡大してしまった印象でした。
 もちろんこの作品を古典的な枠組みのままで映像化する意味はまったくないのですから、いろんなアプローチを期待しています。でも、この映画ではことごとく失敗しているとしかおもえませんでした。
 もしかするとこの作品の持っているわかりにくさを、現代風に置き換えるときに、英米流のわかりやすさ優先したために、薄っぺらな作品になった気もします(英語化も含めて)。

[PR]
by daisenhougen | 2007-07-25 07:40 | 鑑賞記-映画

「森村泰昌―美の教室、静聴せよ」展を見る

d0001004_9454476.jpg 昨日(07月23日)「横浜美術館」で展覧会「森村泰昌―美の教室、静聴せよ」展を見た。
 森村さんの作品をまとめて拝見する機会は今までありませんでした。先日、「「美しい」ってなんだろう?―美術のすすめ」を読んですっかり見直してしまいました。
 ということで、さっそく訪ねてみました。
 こちらの展示も本と同じで学校の授業形式です。
 最初にホームルームということで、学校の教室風の場所でビデオによる森村さんのオリエンテーションを受けます。
 無償で借りられる音声ガイドに従って6つの展示コーナーをめぐるといった趣向です。
 フェルメール・ルーム、ゴッホ・ルーム、レンブラント・ルーム、モナリザ・ルーム、フリーダ・ルーム、ゴヤ・ルーム、ミシマ・ルームといった内容で、森村さんの美術史シリーズの作品がびっちり展示してありました。
 初めて、たっぷりと森村ワールドに浸かりました。そして結構面白い試みではありますね。もはや芸術はパロディとしてしか存続し得ないと言っているようにも思えます。
 
 最後に、卒業試験まで用意してあり、提出すると、もれなく缶バッチがもらえました。
 
 常設展示でも、森村さんの「神とのたわむれ」といった作品が4点展示されていました。クラナッハの「キリストの磔刑」のパロディのようですが、わたくし的にはこちらが一番インパクトがある作品でした。パロディもここまでやるとアッパレと言いたくなりますね。

 図録買いましたので、読んでから感想続けます。

[PR]
by daisenhougen | 2007-07-24 07:45 | 鑑賞記-展覧会

歌舞伎「十二夜」を見る

d0001004_15285316.jpg 昨日(07月23日)「歌舞伎座」で七月大歌舞伎「NINAGAWA十二夜」を見た。
 本当に久しぶりの歌舞伎観劇です。前回が2005年12月ですから、もう1年半以上もごぶさただったんですね。2005年は歌舞伎に熱中して15回も見に行ったのですがね・・・。
 そしてその演目は2005年7月の初演の時に拝見した「NINAGAWA十二夜」の再演です。この作品の再演と言ったら見ないわけにはいかないですね。
 配役は斯波主膳之助/獅子丸実は琵琶姫…尾上菊之助、織笛姫…中村時蔵、右大弁安藤英竹…中村翫雀、大篠左大臣…中村錦之助、麻阿…市川亀治郎、役人頭嵯應覚兵衛…坂東亀三郎、従者久利男…尾上松也、海斗鳰兵衛…河原崎権十郎、従者幡太…坂東秀調、比叡庵五郎…市川團蔵、舟長磯右衛門…市川段四郎、左大弁洞院鐘道…市川左團次、丸尾坊太夫/捨助…尾上菊五郎といったメンバーで初演と変わらないようです。
 客席全体が鏡に映るといった衝撃のオープニングは2度目でも新鮮さは失われていませんでした。そして美しい桜の下にチェンバロ演奏と子供の合唱といった夢の中のような舞台から進行するのも同じです。獅子丸から琵琶姫への早変わりの素晴らしさetc。
 シェイクスピアの喜劇をこれほどまで歌舞伎化する技量は素晴らしいもんです。あらためて感心しました。もはや歌舞伎の重要な演目として定着したようなもんですね。
 初演の時は安い席で、遠方からやっと見たのですが、今回は1階の席でしたので、菊之助の美しい顔も存分に拝見でき、倒錯の美をたっぷり堪能させてもらいました。
 久々に歌舞伎の世界を愉しむことができました。やっぱり歌舞伎って良いですね。年内にもう一度ぐらいは足を運びたいですね。

[PR]
by daisenhougen | 2007-07-24 07:28 | 鑑賞記-伝統芸能他