<   2007年 11月 ( 46 )   > この月の画像一覧

加島祥造・帯津良一「静けさに帰る」を読む

d0001004_4285275.jpg 加島祥造・帯津良一「静けさに帰る」を読んだ。
 風雲舎、2007年11月15日初刷、1,575円、四六版、197頁。
 目次を写しておきます。1 西洋から東洋へ、2 歳をとってわかってきたこと、3 大いなる循環、4 共存して生きる、5 命のエネルギーは衰えない、6 静けさに帰る。
 加島祥造さんと帯津良一さんとの対談集です。帯津良一(1936-)さんはホリスティック医学の第一人者とのことです。ちょくちょく名前は見たことがありますが、読むのは初めてです。
 帯津さんも70歳を超えているようですし、加島さんは80歳を優に超えていますね。しかもお二人ともますます精力的に著作を出しているようですから、凄いもんです。
 加島さんのタオにしたがって生きる姿勢に帯津さんの話がうまくかみ合った対談になっていました。
 争いの時代が統合の時代に変わる兆しがある、との発言は少々楽観すぎる気もしますがね。
 なんといっても圧巻は、加島さんの女性に対する強い思いを持ち続けていることと、「魔羅のほうは、まだもし用いる機会があれば、という状態にどうやら保っている」との発言です。けっして枯れちゃいないですね。
 老人パワー恐るべし。

[PR]
by daisenhougen | 2007-11-30 07:28 | 読書-詩歌小説評論他

小林頼子「牛乳を注ぐ女」を読む

d0001004_974423.jpg 小林頼子「牛乳を注ぐ女―画家フェルメールの誕生―」を読んだ。
 ランダムハウス講談社、2007年10月03日第1刷、1,890円、184頁+8頁。
 目次を写しておきます。第一章 フェルメールの生涯、第二章 物語画家から風俗画家へ、第三章 《牛乳を注ぐ女》に注がれた眼差し、第四章 《牛乳を注ぐ女-様式と構図》、第五章 《牛乳を注ぐ女》という主題、エピローグ 一六六〇年代以降のフェルメール。
 著者の小林頼子(1948年-)さんはフェルメール研究では日本の第一人者です。目白大学教授とのことです。
 今、開催中の「フェルメール《牛乳を注ぐ女》とオランダ風俗画展」に合わせて出版された本のようです。
 ということで、徹底的に「牛乳を注ぐ女」にこだわった本です。
 フェルメールが物語画家から風俗画家へ転進し、まさにこの「牛乳を注ぐ女」で「絵画の力」というべきものを掘り当て、その後の傑作群に繋がるとの推論を展開しています。
 この一枚の絵を彩色、光の処理、幾何学的透視法、構図、図像の系譜といった多方面から詳細に論じています。
 非常に説得力があります。さすがにフェルメールの専門家だけあります。目から鱗といった指摘がいっぱい詰まっていました。
 これを読んでは、もう一度「牛乳を注ぐ女」を見ておかないわけにはいきませんね。
 会期は12月17日までです。わたし的には今週末がラストチャンスですね。

[PR]
by daisenhougen | 2007-11-29 07:07 | 読書-詩歌小説評論他

川上弘美「東京日記2 ほかに踊りを知らない。」を読む

d0001004_14472230.jpg 川上弘美「東京日記2 ほかに踊りを知らない。」を読んだ。
 平凡社、2007年11月20日初版1刷、1,260円、四六版、151頁。
東京日記 卵一個ぶんのお祝い。」に続いての「東京日記2」です。「東京人」2004年5月号から2007年4月号までの連載分です。イラストは門馬則雄さんです。
 昨年は「夜の公園」、「ざらざら」、「ハヅキさんのこと」、「真鶴」と4冊も小説集出版したのに、今年はもっかゼロですね。唯一の著作が書評集でした。そっちをパスしましたので、今年になって川上弘美さんを読むのは初めてということになります。
 本格的な小説とはいえませんが、日記とも、エッセーとも、小説ともつかない奇妙な川上ワールドを愉しませてもらいました。
 一日分だけ写してみます。

 十二月某日 晴
 おおみそか。
 年賀状を書きながら、来年の目標を考える。二つ、思いつく。
 一つは、「よくうがいをする」。
 もう一つは、「くつしたを裏返しにははかない」。
 とても難しい目標だけれど、守れるよう頑張ろうと、強く決意する。

 そうなんですね。そろそろ年賀状を書かなくてはならない時期なんですね。いくらなんでも川上さんみたいに年賀状を大晦日まで持ち越さないようにしましょう。
 こういった目標はいかにも川上さんらしくてイイですね。わたしも、来年用に肩に力の入らない目標考えたいです。
 小説の出版はいつになるんでしょうね。

[PR]
by daisenhougen | 2007-11-28 07:46 | 読書-詩歌小説評論他

ジャック・ケルアック「オン・ザ・ロード」を読む

d0001004_1211035.jpg ジャック・ケルアック「オン・ザ・ロード」を読んだ。
 河出書房新社、2007年11月30日初版、2,730円、四六版、455頁。Jack KEROUAC ON THE ROAD
 池澤夏樹個人編集による「世界文学全集 全24巻」の第一弾です。翻訳も半世紀ぶりの新訳で青山南さんの翻訳です。
 世界文学全集を読もうなんて高校生以来かもしれません。はたして最後までついて行けるんでしょうか。
 今回は20世紀の文学が中心のセレクションです。わたしにとっては、ほとんどが初めて読む作家達です。
 今回のジャック・ケルアック(1922-1969)はアメリカのビート世代を代表する詩人・小説家とのことです。この「オン・ザ・ロード」は1957年に刊行されたとのことです。
 アメリカがまだまだ若かったという印象ですね。体制を突破する活力に満ちています。黒人や南米への憧れが強く出ています。
 そして若く活力に満ちています。アメリカ大陸を3度も横断するんですもんね。
 読んでいると、アメリカが初めて独自性を主張する作品の誕生に立ち会っている気がしてきました。アメリカが文学の世界でも世界制を獲得し、文化の最前線に飛び出してきた証しのような作品ですね。
 こういったハチャメチャを臆面もなく書き切るパワーは凄いです。時代を切り開く力に満ちた作品でした。同年代で同時代に読んだらしびれるような作品ですね。


[PR]
by daisenhougen | 2007-11-28 07:26 | 読書-詩歌小説評論他

大岡信「新折々のうた総索引」を読む

d0001004_21145080.jpg 大岡信「新折々のうた総索引」を読んだ。
 岩波書店 (岩波新書)、2007年10月19日第1刷、693円、新書版、144頁+129頁。
 「新折々のうた」1から9までの初句索引と作者経歴です。たぶんこの索引で調べることなどなさそうですが、一応一揃え揃えておきたいので買ってしまいました。これで「折々のうた」からの全21冊全てが揃ったことになります。
 「“折々のうた”と連句の骨法」といった講演記録が収録されていました。1980年の講演のようです。 以前も読んだことありそうな気もするんですが、定かではありません。
 まさに「折々の歌」が最も充実していた時。正、続編頃の解説ですね。単なる短詩形文学の名作を並べただけではないんです。選者の強烈な選択意識こそ読み取って欲しい。短詩系文学の歴史の中から選択し、並べることのの中に文学があるとの強烈な宣言ですね。
 でも、延々と連載が続いている内にこういった強烈な意識は薄れてきたように見えます。
 近年は最近刊行された短詩系文学を幅広く紹介してくれる場となっていました。ちょっとこの講演の内容とは違ってきていました。なぜ、「新折々のうた総索引」に収録したんでしょうね

[PR]
by daisenhougen | 2007-11-27 07:18 | 読書-詩歌小説評論他

映画「オリヲン座からの招待状」を見る

d0001004_16104271.jpg 昨日(11月25日)「109シネマズ」で映画「オリヲン座からの招待状」を見た。
 2007年、日本、東映。
 監督:三枝健起、原作:浅田次郎、出演:宮沢りえ、加瀬亮、宇崎竜童、田口トモロヲ、中原ひとみ、樋口可南子、原田芳雄。
 ずいぶんコマーシャルやってるなぁ、と思っていたら、30日で上映打ち切りとのこと。宮沢りえファンとしては見逃すわけにはいけませんので、慌てて見てきました。
 なんとガラガラでした。見ていたのは、わたし含めて11名ぽっきり。これでは打ち切りもしょうがないですね。
 映画全盛時代から斜陽に変わり、その間ずーっと映画館を守ってきたといった話です。日本版のニューシネマパラダイスみたいな作りですね。
 泣かせる話ですし、今流行の昭和30年代が舞台ですし、出演者も芸達者ぞろいを揃えています。そして上原ひろみのピアノも素晴らしいです。
 こんなにてんこ盛りに揃っているんですが、映画としての出来は感心しません。
 何というんでしょう。薄っぺらなんですね。話に深みがないんです。監督に力量がないとこうなってしまうという見本みたいな映画でした。

 宮沢りえさんはますます綺麗になってますね。楚々とした感じが素敵です。京都弁が似合いますね。
 わたしにとっては、りえさんが綺麗に撮られてるだけで満足しちゃいました。

[PR]
by daisenhougen | 2007-11-26 07:10 | 鑑賞記-映画

映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」を見る

d0001004_722753.jpg 昨日(11月24日)「MOVIX」で映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」を見た。
 2007年、日本、東宝。
 監督:山崎貴、原作:西岸良平、出演:吉岡秀隆、堤真一、小雪、堀北真希、もたいまさこ、三浦友和、薬師丸ひろ子。
 昨年、日本アカデミー賞受賞のアンコール上映で「ALWAYS 三丁目の夕日」を遅ればせながら見ました。
 今回、続編ということで見てきました。
 冒頭、東京が破壊され、東京タワーが倒れ、人々が逃げ回るといったシーンからスタートです。何なんだ何なんだ思わせるところは、結構うまいですね。
 後は、全作と同じ登場人物が、懐かしさと、笑い、涙を誘うといった作りは同じです。
 ちょっと、あざとい作りですが、乗せられてしまうぐらい巧い作りでした。
 観客の入りも良いようです。
 新たな伏線じみた話もいろいろ盛り込まれているようなので、第三作もありそうですね。

[PR]
by daisenhougen | 2007-11-25 07:21 | 鑑賞記-映画

吉本隆明「よせやぃ」を読む

d0001004_10454447.jpg 吉本隆明「よせやぃ」を読んだ。
 ウェイツ、2007年09月30日初版1刷、1890円、四六版、336頁。
 5回にわたるインタビューが収録されています。教育について―第一回雑談会2005年07月31日、人間力について―第二回雑談会2005年09月11日、自意識について―第三回雑談会2005年11月06日、歴史を流れるようにするとは―第四回雑談会2006年04月16日、時代の自意識について―第五回雑談会2006年6月18日。
 変な5人組が、あんまり自分に引きつけた質問を連発しています。読者は吉本さんの話が聞きたいのであって、変な5人組の個人的な悩みを聞かされてもしらけてしまいます。
 吉本さんが精一杯対応しているのが痛々しい気持ちになりました。
 唯一の取り柄が、最近の吉本さんは元気を取り戻しているのがわかることです。
 あとがきに「私の職業関係の日常生活はゆったりしているほうだと思う。だが脳の動きはグーグル・アースの人工衛星のように今のところフル回転していると考えている。(中略)そのうち世界中の地域の観念形態(世界思想)の動きがある同一のかたまりと見えるところまでいけたらと願望している」と書いてありました。
 脳の動きがフル回転とは頼もしい限りです。
 こういった座談や語り下ろしといった形ではなく、本格的な著作が新たな展開として期待できるかもしれませんね。

[PR]
by daisenhougen | 2007-11-24 07:45 | 読書-詩歌小説評論他

木村凌二「地中海世界ローマ帝国(興亡の世界史04)」を読む

d0001004_14225227.jpg 木村凌二「地中海世界ローマ帝国(興亡の世界史04)」を読んだ。
 講談社、2007年08月20日第1刷、2,415円、四六版、396頁。
 目次を写しておきます。第1章 前一四六年の地中海世界、第2章 世界帝国の原像を求めて、第3章 イタリアの覇者ローマS・P・Q・R、第4章 ハンニバルに鍛えられた人々、第5章 地中海の覇者、第6章 帝政ローマの平和、第7章 多神教世界帝国の出現、第8章 混迷と不安の世紀、第9章 一神教世界への大転換、第10章 文明の変貌と帝国の終焉。
 著者の本村凌二(1947-)さんは西洋史学専攻で東京大学教授とのことです。
 なんといっても千年を超えるローマの歴史をたった1巻で書くなんて無理ですね。かの「ローマ人の物語」は15巻でしたからね。
 ということで、宿敵カルタゴを破った前146年からローマ史の白眉、カエサルといったところが中心にならざる得ないのはやむを得ないでしょうね。
 おまけとして、多神教からキリスト教への転換について論じるのが精一杯のようでした。
 コンパクトにローマの歴史を復習するには良かったです。

[PR]
by daisenhougen | 2007-11-23 07:22 | 読書-詩歌小説評論他

坂上孝・後藤武「〈はかる〉科学」を読む

d0001004_19312566.jpg 坂上孝・後藤武「〈はかる〉科学 計・測・量・謀…はかるをめぐる12話」を読んだ。 中央公論新社(中公新書)、2007年10月25日発行、924円、290頁。
 目次を写します。はじめに(坂上孝)、第1章 はかることの革命―メートル法の成立(坂上孝)、第2章 キログラムの再定義―単位の普遍性をめざして(藤井賢一)、第3章 環境をはかる―一技術者の立場から(瀬田重敏)、第4章 アフォーダンスという単位―肌理よ情報(佐々木正人)、第5章 古代シュメールでどのように土地が測られ、穀物が量られたのか(前川和也)、第6章 風水で国土をはかる―気と脈であらわす朝鮮の古地図「大東輿地図」の表現と思想(渋谷鎮明)、第7章 空からはかる―考古学とリモートセンシング(渡部展也)、第8章 身体から都市へ―空間をはかるル・コルビュジエ(後藤武)、第9章 音をはかる―音響学の歴史的変遷(橋本穀彦)、第10章 “美”をはかる―音の文化の諸相をめぐって(藤井知昭)、第11章 罪の重さをはかる―ダンテの『神曲』地獄篇にみる罪と罰(山田慶児)、第12章 メタファーで世界を推しはかる―認知意味論の立場から(柳谷啓子)、おわりに―“はかれないこと”に注がれる人間の情熱(長島昭)。
 中部大学で2004年から3年間にわたる研究会からの出版で、その研究会は文系理系を問わずさまざまな専門の人が集まっていたようです。
 かなり幅広い議論がなされたようです。知的好奇心をそそりますね。
 でも反面、脈絡が無いねと言われそうなとこが弱点かも・・・・。

[PR]
by daisenhougen | 2007-11-22 07:30 | 読書-詩歌小説評論他