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2008年07月読書記録

 2008年07月の読書記録です。
 今月読んだのは10冊どまりでした。
 松井冬子さんの画集はわたしのお宝ゲットといった感じですね。大泰司紀之さん、園田茂人さんの著作はさすが学者さん、良い仕事してますね。専門家の素晴らしい仕事を拝見したおもいです。
 週刊本は「対決展」に合わせて展示される巨匠の読み残し分を読みました。でもまだまだ残ってます。せめて年内には読み終えたいですね。
 しかも性懲りもなく、新たな週間本に手を付け始めました。本当についていけるんでしょうか。
 図録は1冊どまりでした。今月10冊も買って1冊ですからね。以前からのを含めればまだ読んでないのは何冊残ってるんでしょう。

 評価は次の通りです。◎は「最高」、◇は「良かった」、△は「まあまあ良かった」、×は「ちょっとねえ」。週刊本及び図録には評価は原則付けません。あくまでも独断の勝手な評価です。読んだときのコメントはブログの該当投稿を参照してください。
 ネグリさんの著作は下巻読んでからにします。
 では、一覧リスト。

 書籍
△四方田犬彦「四方田犬彦の引っ越し人生」(交通新聞社)
◇「特装版 松井冬子画集」(エディシオン・トレヴィル)
△「美仏巡礼(日経おとなのOFFムック)」(日経ホーム出版)
△山際素男「チベット問題」(光文社新書)
△四方田犬彦・也斯「往復書簡 いつも香港を見つめて」(岩波書店)
△安田次郎「走る悪党、蜂起する土民(全集 日本の歴史 第7巻)(小学館)
△中沢新一「狩猟と編み籠 対称性人類学Ⅱ」(講談社)
◇大泰司紀之・本間浩昭「カラー版 知床・北方四島」(岩波新書)、
◇園田茂人「不平等国家 中国」を読んだ(中公新書)、
△岡田温司「肖像のエニグマ― 新たなイメージ論に向けて― 」(岩波書店)

 週刊本
-「週刊アーティスト・ジャパン28長谷川等伯」(デアゴスティーニ)
-「週刊アーティスト・ジャパン42池大雅」(デアゴスティーニ)
-「週刊アーティスト・ジャパン17与謝蕪村」(デアゴスティーニ)
-「週刊アーティスト・ジャパン20伊藤若冲」(デアゴスティーニ)
-「週刊アーティスト・ジャパン34曾我蕭白」(デアゴスティーニ)
-「週刊世界の美術館 第1号 ルーブル美術館(1)」(講談社)
-「週刊世界の美術館 第2号 オルセー美術館(1)」(講談社)

 図録
-「図録 イタリア美術とナポレオン展」(アプトインターナショナル)

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by daisenhougen | 2008-07-31 07:21 | 読書記録(まとめ)

2008年07月鑑賞記録

 2008年07月の月間鑑賞記録です。
 07月に出かけて見てきた(聴いてきた)展覧会、映画、コンサート等をまとめてあります。
 今月訪れることができたのは19の展覧会でした。まぁなんとか善戦しましたね。特に今月は群馬県の高崎まで遠征して美術館2つと博物館を制覇できたのが良かったです。
 今月は心に残る素晴らしい展示が目白押しでした。
 ずらりと並んだ木喰さん微笑みに魅せられました。革命前夜のロシア美術も凄かったですね。人間の心性を覗き込むようなエミリーさんも新鮮でした。ウィーンの静物画も読み解く楽しみのある興味深い展示でした。辻さんプロデュースのカザリ展はもちろん充実してましたね。偶然発見したサスキア・オルドウォーバースさんは追っかけしたい作品ですね。明確な輪郭が掴めなかったコローはようやく素晴らしさが解った気がしました。町田久美さんははるばる高崎まで訪ねた甲斐がありました。久しぶりの舟越さんももちろん素晴らしかったです。
 こんなにいっぱい素晴らしい展示がありましたが、そんな中でも極めつけは「対決-巨匠たちの日本美術」展ですね。この対決は日本美術のエッセンスがぎっしり詰まってましたね。

 映画は1本しか見ることができませんが、ポール・ハギス節全開の見応えある作品でした。

 コンサート、その他は今月はありませんでした。

 評価基準はいつもと同じで、◎は「最高」、◇は「良かった」、△は「まあまあ良かった」、×は「ちょっとねえ」です。再訪は評価マークはつけません。あくまでも小生の主観で、かってな評点です。それぞれのコメントはブログの該当投稿を参照してください。
 それでは一覧です。

展覧会
◇「生誕290年 木喰展 ー庶民の信仰・微笑仏」(そごう美術館)
△「大正の鬼才 河野通勢展」(松濤美術館)
◇「青春のロシア・アヴァンギャルド」(ザ・ミュージアム)
◇「エミリー・ウングワレー展」(国立新美術館)
◇「ウィーン美術史美術館所蔵 静物画の秘密」(国立新美術館)
◇「KAZARI 日本美の情熱」(サントリー美術館)
△「英国美術の現在史 ターナー賞の歩み」(森美術館)
◇「サスキア・オルドウォーバース」(森美術館)
◎「対決-巨匠たちの日本美術」(東京国立博物館)
△「二体の大日如来像」+「六波羅蜜寺の仏像」(東京国立博物館)
△「フランスが夢見た日本」(東京国立博物館)
◇「コロー 光と追憶の変奏曲」(国立西洋美術館)
△「イタリア美術とナポレオン展」(いわき市立美術館)
△「こどもとおとなの美術入門たねとしかけ」(群馬県立近代美術館)
△「富田文隆展」(群馬県立近代美術館)
△「オバケが出たゾ~ -描かれた妖怪たち-」(群馬県立歴史博物館)
◇「町田久美─日本画の線描」(高崎市タワー美術館)
◇「舟越桂 夏の邸宅」(東京都庭園美術館)
△「4人が創る「わたしの美術館」展」(横浜美術館)

映画
◇「告発のとき」(TOHOシネマズ)

 コンサート
 なし

 その他
 なし

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by daisenhougen | 2008-07-31 07:11 | 鑑賞記録(まとめ)

岡田温司「肖像のエニグマ― 新たなイメージ論に向けて― 」を読む

d0001004_21271065.jpg 岡田温司「肖像のエニグマ― 新たなイメージ論に向けて― 」を読んだ。
 岡田さんといえば西洋美術史の第一人者として多くの著作を出していますし、わたしも「マグダラのマリア」(感想はこちら)、「処女懐胎」(感想はこちら)、 「『ヴィーナスの誕生』視覚文化への招待」(感想はこちら)そして池上英洋さんとの共著「レオナルド・ダ・ヴィンチと受胎告知」(感想はこちら)といった具合にだいぶお世話になってます。
 岡田さんの著作に中では入門的な本ばかりですが、わたしにとってはどの著作も目から鱗といった具合に、読む度に多くのことを教えてもらいました。
 そして最近、岡田さんは再び立て続けに著作を出します。いずれも敷居の高そうな本ですので躊躇したしたのですが、哲学と精神分析の本はパスして美術論の方を覗いておくことにしました。
 でも残念ながら、わたしにはまったく歯が立ちませんでした。
 西洋美術論あるいは論争史についてのかなり豊富ね知識がないと全くついていけない著作ですね。とりわけヴァザーリについてなどは、彼の著作とそれに対する長い期間の絵画論争についての知識がない素人にはどうしようもありませんでした。
 他も宮川淳、モランディ、マニエリスム、ナンシーといった面々に対する知識なしには歯が立ちません。
 唯一、わたしにも愉しむことができたのは、ダ・ヴィンチの肖像画「白豹を抱く貴婦人」についての評論ぐらいですね。
 「自画像はモデルの心を写し出す」、「肖像画は画家の心を写し出す」そして「肖像画は見るものの心を写し出す」。ああ、何が何だか分けがわからなくなりますね。
 「肩越しの肖像画」見たかったですね。
 イメージの原義は「肖像(イマーゴ)」だとか、エニグマの意味が「謎」だなんてことがわかって嬉しがってる自分のレベルの低さに呆れてしまいますね。
 いずれにせよ、わたしにはハードルが高すぎて撃沈してしまった著作でした。

 目次:プロローグ イメージの中へ――宮川淳再訪、第Ⅰ部 肖像という魔術(第1章 眼差しと微笑み――レオナルドの肖像画の秘密、第2章 静物の肖像――モランディの壜たち)、第Ⅱ部 イメージは誰のものか(第3章 「だが君,それをどう我々の意味にあてはめるつもりかね」――ヴァザーリのヴェッキオ宮神話画装飾と『議論集』、第4章 ジョルジョ・ヴァザーリと表象の「病」――「奇矯」なるものの系譜学のために、第5章 マニエリスム論再考――解釈された「マニエラ」、第6章 芸術の自己免疫化を超えて)、第Ⅲ部 肖像のエニグマ(第7章 肖像の脱構築――ジャン=リュック・ナンシー『肖像の眼差し』の余白に、第8章 肖像のパラドクス)、エピローグ 現代の反ヴァザーリ主義/「ヴァザーリ」を裏切るヴァザーリ。
 岩波書店、2008年6月27日第1刷、3,885円、四六判、318頁。 

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by daisenhougen | 2008-07-30 07:26 | 読書-詩歌小説評論他

園田茂人「不平等国家 中国」を読む

d0001004_11215022.jpg 園田茂人「不平等国家 中国」を読んだ。
 現在の中国社会については、経済的な重要性が高まるにつれて、いろんな立場から論じられています。
 北京オリンピック直前ということもあって、中国関連の著作もたくさん書店に並んでますね。
 この本も中国は不平等国家でどうしようもない国だよなどど、どちらかといえば最近多く見られる反中国の立場を強引に主張する著作かなぁ、なんて思って読んでみました。
 とんでもありませんでした。
 実証的な学者の力を示したしごくまっとうな著作でした。

 まず、現在中国を導き出したのは1978年から始まった改革・開放政策で、これを著者はサブタイトルにあるように「自己否定した社会主義」ととらえ、これ以降猛烈な勢いで市場経済化が進んだとしています。
 このあたりまでは一般的な認識ですね。

 でも、この後からがこの著者の独壇場となります。
 実際に著者自身が中国で実施した地道な社会調査のデータを駆使しながら、極めて実証的に現代中国の階層構造を分析しています。
 しかもアジア各国の社会調査のデーターと比較することにより、現代中国の階層構造が浮かび上がってくる仕掛けです。
 それを学歴、都市と農村、ジェンダー、中間層といった視点で分析してくれてます。
 今の中国がデーターから見事に浮かび上がってきます。
 みごとなもんですね。
 今まで、こういったアンケート形式によるフィールド調査の有効性についてはチョット疑問を持っていましたが、今回の著作を読んでその認識は間違いであると認めざる得ません。

 そして中間層が増加しているとはいっても、その中核は特権化した官僚の比率が大きいので、民主化に直接結びつくことはない。
 更には現代中国を「過去へ進化する社会主義」と捉えて、現在の高学歴化で特権化する官僚たちは科挙制度による伝統的な官僚制度に近づいているとしていました。
 民主化の動きについての動きをやや弱く見ているようですね。
 でも、中国社会の不平等がこれほど急速に拡大し、特権化した共産党官僚の利権構造が固定化してくると、いかに伝統的に科挙の国とはいっても、官僚の特権構造に支えられた共産党一党支配がこのまま継続ししていくことは無理だと思います。
 後はその破綻が急速に起こるのかソフトにシフトしていくかだと思います。

 いずれにせよ、地道な社会調査のデータからこういった分析までにいたる手際は見事でした。さすがに中国階層研究の第一人者だけのことはありますね。

著者の園田茂人(1961-)さんは比較社会学専攻で早稲田大学教授とのことです。
 目次:序章 階層化する中国社会、第1章 自己否定する社会主義―市場経済化のパラドクス、第2章 復活する学歴社会―不平等を生み出し、隠蔽する力学、第3章 激増する農民工―繋がり、分断される都市と農村、第4章 女性のなかの階層分化―男女平等主義の曲がり角、第5章 富裕化の社会的帰結―都市中間層は民主化をもたらすか、終章 中国社会はどこへ行くのか。
 中央公論新社(中公新書)、2008年05月25日発行、777円、新書版、200頁。

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by daisenhougen | 2008-07-29 07:20 | 読書-詩歌小説評論他

大泰司紀之・本間浩昭「カラー版 知床・北方四島」を読む

d0001004_813817.jpg 大泰司紀之・本間浩昭「カラー版 知床・北方四島―流氷が育む自然遺産」を読んだ。
 夏の休暇に知床に行ってみようと思ってます。そんな時はやっぱり知床といえば反応してしまいますね。カラー写真の美しい本が目に入ったので、思わず買ってしまいました。
 知床半島から北方四島にかけての素晴らしい自然の姿やそこに生息する動物や植物の姿などが綺麗な写真で紹介されています。
 さすがにカラー版をうたってるだけのことはありますね。
 鯨やラッコのダイナミックな写真を眺めるだけでも楽しい本です。

 でも、この本に書かれた内容も大変説得力のあるものでした。綺麗な写真付きの観光案内本ではありません。
 豊富な知識と知見に裏打ちされた、地球環境を考える切っ掛けを与えてくれる本でした。しかも大上段に構えるのでなく、具体的にオホーツクの海から考えている姿勢が素晴らしいです。
 かつて世界中のよってたかった乱獲によって絶滅寸前になったラッコが、ソ連占領によって開発から取り残されたおかげで、絶滅を免れただけでなく、近年ようやく1万頭にまで快復してきた。ところが喜んでいるのもつかの間、ロシアの資本主義化によって天然資源の再開発と水産資源の乱獲が始まりつつあるとこのとです。再び絶滅の危機をむかえる可能性もあるんだそうです。
 それを防ぐ為に、著者は次のような貴重な提言をしています。
 「知床の世界自然遺産の範囲をウルップ島まで拡張するという提案です。拡張によって、日本とロシアが責任を分かち合い、生態系を保全するとともに、北方四島周辺での漁業を持続可能に形に変えていくことができるのではないか」ということです。
 単なる自然保護だけでなく、漁業との両立まで見据えた素晴らしい提言だと思います。
 
著者の大泰司紀之(1940-)さんは獣医学専攻の北海道大学名誉教授で、本間浩昭さんは毎日新聞の記者とのことです。
 目次:はじめに、第1章 流氷が育む生態系(北の海の動物たち、シャチを閉じ込めた流氷、南半球の海鳥をも養う豊饒の海、流氷が運ぶ動物たち)、第2章 海と陸との意外なつながり(サケ、ヒグマ、植物の“三角関係”、エゾシカの激増と生態系の変貌、世界一高密度なシマフクロウ)、 第3章 地球に残された「最後の秘境」(ラッコの楽園、シャチとクジラたちの海、繁栄する海鳥たち、人間を恐れないアザラシ、トドの興亡)、第4章 生態系に迫る脅威(海峡を渡るタンチョウ、“国境”の密漁者たち、海鳥と海獣類にも及ぶ密漁の影響、国後島の金鉱開発、サハリン沖で油が流出すると…)、終 章 自然遺産を守るために(世界遺産「知床」の拡張構想、「監視療法」としてのエコツアー、持続可能な漁業)、おわりに。
 岩波書店(岩波新書)、2008年5月20日第1刷、1,050円、新書版、196頁。

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by daisenhougen | 2008-07-28 07:00 | 読書-詩歌小説評論他

「4人が創る「わたしの美術館」展」を見る

d0001004_1473737.jpg 昨日(07月26日)「横浜美術館」で展覧会「4人が創る「わたしの美術館」展」を見た。
 横浜美術館のコレクションを4人の有名人の選んでもらって展示しようといった企画のようです。自前のコレクションの展示ですから、ある意味お手軽企画ですね。
 最初は小説家の角田光代さんが選んだコーナーです。
 「人が絵画という手段を通して、特定の宗教を越えた大きな意味合いでの〈神〉に触れようとしたことが感じられる、という視点」から選んだとのことです。
 ところどころに角田さんが作品から触発されて書いた「物語」も張り出されてました。
 わたしにはあんまり波長の合わない展示でした。

 次が写真家の荒木経惟さんが選んだコーナー。
 「日本画を中心とするコレクションから作品を選定」し「「模写・複写・盗作」というテーマ」で選んだとのことです。
 いやぁー。さすが荒木さんです。一気に面白くなりました。ひねりにひねった選択ですね。
 最初が下村観山によるラファエロの模写からスタートですからね。自分の「作緊縛」シリーズを展示したり、中島清之「喝采」の展示には後ろのスピーカーからちあきなおみの「喝采」が流してみたりとやりたい放題ですね。更には鏑木清方などの雑誌の挿絵や口絵の美人画を展示しながら、それといっしょに自分で写真に撮って拡大して展示したり、その隣には女性の顔を大きく拡大して100枚も並べたりとアラーキーワールドでしたね。

 そしてタレントのはなさんの選んだコーナー。
 「日常生活の空間で、側に置いて眺めていたいような親近感が見出せる作品を選定」したとのことです。
 ちょっとオシャレでかわいい小品といった作品が並んでました。女の子が好きそうな作品ばかりですね。まぁ、こういったのも有りかなぁと妙に納得してしまいました。

 最後が学者というか今やタレントといった方が良いような茂木健一郎さんの選んだコーナー。
 「美術作品に表現された顔や身体に注目し、そこに浮かび上がる人間の本質を探」るとのことです。
 ベーコンやセザンヌそして松井冬子と幅広いこの美術館のコレクションの特色をうまくセレクトしているように思えました。
 わたし的には松井冬子さんの「世界中の子と友達になれる」に再会できただけでも嬉しかったですね。

 常設展示では新収蔵品がまとめて展示してありました。柳幸典さんなどのいきのいい作品が並んでました。
 しばらく貸し出し中で不在だった、ダリなどのシュルリアリスム関連の作品も戻って定位置に展示してあったのも嬉しかったですね。
 写真コーナーは「特定の場所/匿名の場所-現代の風景画」として原田正路、石内都、金村修、磯田智子の4名の組写真が展示してありました。
 石内都さんてこういった暗い風景写真からスタートしたんですね。

 企画展と常設展あわせて「横浜美術館」コレクションの多彩さを充分堪能出来ました。

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by daisenhougen | 2008-07-27 07:06 | 鑑賞記-展覧会

「舟越桂 夏の邸宅」を見る

d0001004_9552492.jpg 昨日(07月26日)「東京都庭園美術館」で展覧会「舟越桂 夏の邸宅」を見た。
 2003年に「東京都現代美術館」で開催された「舟越桂展」で初めて舟越さんの作品に出会い、衝撃を受けたことが思い出されます。それ以来の本格的な展覧会ですから、期待が高まりますね。 そして猛暑の中にもかかわらず、多くに人が訪れていました。しかも若い人から年配の方まで幅広い年齢層の人が来ていました。根強いファンがたくさんいるようですね。
 「1980年代はじめから木彫彩色の人物像によって日本の現代彫刻をリードしてきた舟越桂(1951―)は、近年謎めいた両性具有のスフィンクスのシリーズを手がけ、彫刻家として新たな表現領域を切り開きつつあります。この展覧会では各時期から厳選した珠玉の作品に加え、新作を含むスフィンクス・シリーズの果敢な挑戦をまとめて紹介します。
 舟越桂は、彫刻と同じくドローイング、版画も重要な創造の領域と考えています。かれにとってドローイングは彫刻制作のための単なる習作にとどまらず、一つの完結した世界を構成しています。一方、1987年イギリス留学時に制作を始めた版画では、ドライポイント、アクアチント、リトグラフ、木版などさまざまな技法を駆使し、彫刻に従属しない自由な表現をつくりだしています。本展ではこの三つの領域に等しく光を当て、彫刻19点、ドローイング約40点、版画約20点により表現者舟越桂の全体像に迫ります」とのことです。
 建物に入って直ぐから、スフィンクスのお出迎えです。一気に舟越ワールドが始まります。
 受付を済まして、ホールにはいると「森に浮くスフィンクス」がドーンと鎮座しています。
 これらのスフィンクス像、デッサン、版画などが渾然一体となって、この美術館の各部屋に展示してあります。
 これらの作品は、アール・デコ装飾のこの美術館の雰囲気にとけ込んでいます。舟越さんの作品展示としてはベストマッチの方法だと思いました。
 今回の展示は近作のスフィンクス像が中心の展示でした。「東京都現代美術館」の時にように各時期の代表作が網羅的には展示されていませんでした。
 わたし的にはリアルに彫り込まれた肖像彫刻の作品も大好きなので、そちらの作品ももっと多く展示して欲しかった気もします。
 舟越さんとしては、ゆったりしたスペースでじっくり近作を見てもらいたいということのようですね。
 最近の舟越さんは表現の方向を大きく変えてきているよう思います。あくまでリアルな具象彫刻ではあるのですが、具体的な対象を写すことではなく、もっと幅広い表現を求めているようです。
 でも、なぜ両性具有の裸体のスフィンクス像なんでしょう。しかも執拗なまでにこのテーマにこだわっているんでしょう。

 とにもかくにも、外の暑さを忘れて、たっぷり舟越ワールドに浸ることが出来ました。

 図録買ったので、読んでから感想続けます。

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by daisenhougen | 2008-07-27 07:00 | 鑑賞記-展覧会

「週刊世界の美術館 第2号 オルセー美術館(1)」を読む

d0001004_954012.jpg 「週刊世界の美術館 第2号 オルセー美術館(1)」を読んだ。
 こちらからは通常価格の580円です。全巻買い続けるとけっこうな値段になりますね。でも、値段はともかくとして、完結の2010年まで2年間も買い続ける根気が続くかの方が問題ですね。
 さすがオルセー美術館。印象派中心の有名どころのコレクションは凄いですね。
 目次:<上階ギャラリー必見のベスト3>ベスト1 「日傘の女」モネ、今さら聞けない名画の秘密、ベスト2 「ムーラン・ド・ラ・ギャレット」ルノワール、ベスト3 「オヴェールの教会」ゴッホ、比べてわかる!名作の裏側「踊るジャンヌ・アヴリル」ロートレック、名画ギャラリー、見落とせないこの一点「アポロンの二輪馬車」ルドン、上階ギャラリーの歩き方、画家の生涯 クロード・モネ、モネの頃、日本では、名画に隠されたメッセージ 娼婦、オルセー界隈の美術散歩。
 講談社、2008年08月07日発行、580円、A4変形、35頁。

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by daisenhougen | 2008-07-26 06:59 | 読書-詩歌小説評論他

「週刊世界の美術館 第1号 ルーブル美術館(1)」を読む

d0001004_19501612.jpg 「週刊世界の美術館 第1号 ルーブル美術館(1)」を読んだ。
 またまた新しい週間本が始まりましたね。今度は世界の美術館を80巻で紹介とのことです。
 「週刊アーティスト・ジャパン」がいまだ読み終えていないので、さんざん迷いました。開くこともなく積み上がるだけになりそうな気もします。
 結局は、定期購読ではなく書店で一冊ずつ買って見ることにしました。果たしてどこまで付いていけるでしょうか。
 美術館毎の名画集としてはけっこう愉しめる内容です。
 ところで同じ題名の週間本が2001年頃に刊行されていましたね。その時は100巻でしたから、構成とかが変わったのでしょうが、その辺りは全く説明がありませんね。

 目次:<ドノン翼2階必見のベスト3>ベスト1 「モナ・リザ」レオナルド・ダ・ヴィンチ、今さら聞けない名画の秘密、ベスト2 「ナポレオンの戴冠」ダヴィッド、ベスト3 「サモトラケのニケ」、比べてわかる!名作の裏側「民衆を導く自由の女神」ドラクロワ、名画ギャラリー、見落とせないこの一点「ジネヴラ・デステの肖像」ピサネッロ、ドノン翼2階の歩き方、画家の生涯 レオナルド・ダ・ヴィンチ、ダ・ヴィンチの頃、日本では、名画に隠されたメッセージ 大天使ガブリエル、ルーヴル界隈の美術散歩。
 講談社、2008年07月24日発行、290円、A4変形、35頁。
              
 一応全巻の構成を写しておきます。
【第 1号】ルーヴル美術館 [1](フランス)
【第 2号】オルセー美術館 [1](フランス)
【第 3号】ウフィツィ美術館 [1](イタリア)
【第 4号】ヴァティカン美術館 [1](ヴァティカン)
【第 5号】ウィーン美術史美術館 [1](オーストリア)
【第 6号】プラド美術館 [1](スペイン)
【第 7号】エルミタージュ美術館 [1](ロシア)
【第 8号】メトロポリタン美術館 [1](アメリカ)
【第 9号】大英博物館 [1](イギリス)
【第10号】アムステルダム国立美術館(オランダ)
【第11号】ルーヴル美術館 [2](フランス)
【第12号】オルセー美術館 [2](フランス)
【第13号】ロンドン・ナショナル・ギャラリー[1](イギリス)
【第14号】ニューヨーク近代美術館 [1](アメリカ)
【第15号】東京国立博物館(日本)
【第16号】ヴァティカン美術館 [2](ヴァティカン)
【第17号】プラド美術館 [2]と『ゲルニカ』(スペイン)
【第18号】オーストリア美術館(オーストリア)
【第19号】ピカソ美術館(フランス)
【第20号】ウフィツイ美術館 [2]とサンマルコ美術館(イタリア)
【第21号】ルーヴル美術館 [3](フランス)
【第22号】エルミタージュ美術館 [2](ロシア)
【第23号】オランジュリー美術館(フランス)
【第24号】テイト・ギャラリー(イギリス)
【第25号】オルセー美術館 [3] とモロー美術館(フランス)
【第26号】ベルリン美術館 [1](ドイツ)
【第27号】ゴッホ美術館(オランダ)
【第28号】パリ国立近代美術館(フランス)
【第29号】大英博物館 [2](イギリス)
【第30号】ボストン美術館 [1](アメリカ)
【第31号】ルーヴル美術館 [4](フランス)
【第32号】シカゴ美術館(アメリカ)
【第33号】エジプト国立博物館(エジプト)
【第34号】シャガール美術館とコート=ダジュールの美術館(フランス)
【第35号】ピッティ美術館とアカデミア美術館(イタリア)
【第36号】ナショナル・ギャラリーとフィリップス・コレクション(アメリカ)
【第37号】ロートレック美術館(フランス)
【第38号】ロンドン・ナショナル・ギャラリー2(イギリス)
【第39号】ウフィツイ美術館 [3]とフィレンツェの教会(イタリア)
【第40号】アルテ・ピナコテーク(ドイツ)
【第41号】ルーヴル美術館 [5]とロワールの古城美術館(フランス)
【第42号】ダリ美術館とミロ美術館(スペイン)
【第43号】ウィーン美術史美術館 [2](オーストリア)
【第44号】マルモッタン美術館とロダン美術館(フランス)
【第45号】国立西洋美術館 [1](日本)
【第46号】クレラー=ミュラー美術館(オランダ)
【第47号】メトロポリタン美術館 [2](アメリカ)
【第48号】プティ・パレ美術館と中世博物館(フランス)
【第49号】ブレラ美術館と『最後の晩餐』(イタリア)
【第50号】故宮博物院(中国)
【第51号】フィラデルフィア美術館(アメリカ)
【第52号】プラド美術館 [3]とティッセン美術館(スペイン)
【第53号】ボルゲーゼ美術館と国立絵画館(イタリア)
【第54号】奈良国立博物館 [1](日本)
【第55号】ベルン美術館とクレー・センター(スイス)
【第56号】ノイエ・ピナコテークとレンバッハハウス美術館(ドイツ)
【第57号】韓国国立中央博物館(韓国)
【第58号】コートールド美術館(イギリス)
【第59号】プラハ国立美術館(チェコ)
【第60号】京都国立博物館(日本)
【第61号】アカデミア美術館とサンジョルジョ・マッジョーレ教会(イタリア)
【第62号】五島美術館と根津美術館(日本)
【第63号】パリ市立近代美術館とギメ美術館(フランス)
【第64号】奈良国立博物館 [2]と正倉院(日本)
【第65号】ベルリン美術館 [2](ドイツ)
【第66号】東京国立近代美術館 (日本)
【第67号】ニューヨーク近代美術館 [2]とグッゲンハイム美術館 (アメリカ)
【第68号】立故宮博物院(台湾)
【第69号】ドレスデン美術館(ドイツ)
【第70号】大原美術館(日本)
【第71号】ベルギー王立美術館とアントワープ王立美術館(ベルギー)
【第72号】ムンク美術館(ノルウェー)
【第73号】アテネ国立美術館とクノッソス宮殿(ギリシア)
【第74号】トプカプ宮殿博物館(トルコ)
【第75号】ヴェルサイユ宮殿美術館(フランス)
【第76号】ブリヂストン美術館と東京の美術館(日本)
【第77号】バーゼル美術館(スイス)
【第78号】ボストン美術館 [2](アメリカ)
【第79号】陜西歴史博物館と兵馬俑博物館(中国)
【第80号】サントリー美術館と出光美術館(日本)


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by daisenhougen | 2008-07-26 06:49 | 読書-詩歌小説評論他

「町田久美─日本画の線描」を見る

d0001004_1034040.jpg 昨日(07月24日)「高崎市タワー美術館」で展覧会「町田久美─日本画の線描」を見た。
 さてこちらが今回、高崎を訪れた目的の展覧会です。
 こちらの美術館も初めて訪れました。高崎駅前のビルの中の2フロアーを使った美術館です。駅前とはロケーションは抜群ですね。
 さて展示ですが、まず最初に「第1部 日本画の線描」として、この美術館所蔵の日本画が展示してありました。
 最初に上村小園「京美人図」、「小野の図」と繊細で美しい美人画のお出迎えですからドキドキしてしまいますね。
 その他にも小林古径、伊東深水、下村観山、福田平八郎といったところから片岡珠子まで18点と点数は少ないですが、けっこう充実した展示でした。
 町田久美さんだけの展示だと思ってましたので得した気分です。町田久美さんへのプロローグとして線描をキーワードとしての展示のようです。
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 そして4Fのフロアーの最後になってようやく「第2部 町田久美」として本命の町田久美さんの展示に移ります。
 町田久美さんといえば2006年に「東京都現代美術館」で開催された「MOTアニュアル2006 No Border「日本画」から/「日本画」へ」で初めて拝見して、日本画の概念が一気に変わったのが思い出されます(その時の感想はこちら)。
 このNo Border展は凄い展示でしたね。今をときめく日本画家達が勢揃いしてましたからね。
 さて久々に町田久美さんの作品世界にどっぷりと浸かることが出来ました。
 わたし以外には見ている人はほとんどいない独占状態でしたので、じっくり時間をかけて拝見しました。
 初期の「小僧」、「ソテツ」といった作品から「深夜帯」、「登山」、「関係」、「来客」といった大作、そして最新作「入場」、「優しい人たち」まで37点展示してありました。
 独特の線描と奇妙なアングルが特徴ですが、研ぎ澄まされた繊細な意識が画面いっぱいに広がっています。
 遠目で見ると、単に奇妙なアングルだけが目につきますが、そばからじっくり作品に向き合うと、日本画独特の繊細な筆使いがわかります。まがう事なき日本画です。
 わざわざ高崎まで見に来た甲斐のある充実した展覧会でした。
 なんで高崎で開催なのと思ってましたが、町田さんの出身地なんですね。納得。

 図録買ったので、読んでから感想続けます。

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by daisenhougen | 2008-07-25 07:20 | 鑑賞記-展覧会