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雑誌「ユリイカ2009年5月号 特集:クリント・イーストウッド」を拾い読み

d0001004_8503157.jpg 雑誌「ユリイカ2009年5月号 特集:クリント・イーストウッド」(青土社)を拾い読みした。
 「グラン・トリノ」の感動の余韻がさめやらぬ中で、クリント・イーストウッド特集雑誌を手に入れました。
 巻頭は蓮實重彦×黒沢清の重鎮同士の対談「イーストウッドは何度でも甦ってしまう」からスタートです。さすがに唸らせる指摘が満載でした。
 でも、この特集号の目玉はなんといってもクリント・イーストウッドご本人へのインタビュー「イーストウッド、『グラン・トリノ』 を語る」ですね。
 準備中の次回作の進行具合も語ってくれてます。主演はモーガン・フリーマン、マッド・デイモンでネルソン・マンデラを描くようです。今から公開が楽しみです。
 青山真治、稲川方人、中条省平、蓮實重彦、丹生谷貴志といった一癖も二癖もある面々が力のこもった論考が収録されていました。
 それらの中でも、一番参考となったのはアメリカ文化が専門の越智道雄さんの「老人とフロンティア」でした。
 アメリカの政治状況など目から鱗の話が満載でした。思弁的な論考よりズーッと興味深かったです。
 なんせこの作品の題名となっているフォードの「グラン・トリノ」はシャーシーに問題があり、腐食に弱く、中古価格が低い、オールドカーとしても商品価格が低いと定評がある。主人公がこれにひとしお入れ込むのは、自分と車との出来の悪さでの同一化を表しているというんですから、まったく思いもかけない指摘でした。
 専門家おそるべしですね。
 巻末のクリント・イーストウッド監督作品ガイドも資料として有り難かったです。

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by daisenhougen | 2009-05-31 06:49 | 雑誌など

映画「グラン・トリノ」を見る

d0001004_21204934.jpg 昨日(05月29日)「109シネマズ」で映画「グラン・トリノ」を見た。
 今年はイーストウッド監督作の当たり年です。「チェンジリング」を見たばかりと思っていたら(その感想はこちら)、続けてイーストウッド作が公開とはうれしい限りです。
 そして、その作品はイーストウッドが主演している上に、とびっきりの極上品でした。
 わたし的には勝手に今年のベストワンに決めてしまいました(まだ、半分も過ぎていないのに気の早い話ですがね・・・)。
 それぐらい素晴らしい作品です。



d0001004_2121257.jpg わたくし、最後のシーンでは不覚にも涙が流れてしまいました。
 もちろんイーストウッドの作品ですから、お涙ちょうだいのような甘っちょろい作品ではありません。
 ものづくりは衰退し、白人コミュニティは浸食され、暴力が偏在し、自尊心すら失ったようなアメリカ社会の現状が淡々としかも冷徹に描かれています。
 その描写には甘い部分はまったくありません。
 絶望的なアメリカの状況を徹底的に描ききっています。
 それを主人公の老いと重ね合わせることによって、さらに絶望が深まってくるようです。
 でも、その絶望が希望に変わる可能性を示してくれるのが、ほかならぬ白人コミュニティを浸食しているように思える移民たちの中にあるのかもしれません。
 そのささやかな再生への思いがラストシーンに込められているようにおもいます。

d0001004_21211273.jpg いまだ人間的なぬくもりに満ちたモン族の家族に最も大事にしていた愛犬と愛車「グラン・トリノ」を託し、暴力以外の方法で暴力に立ち向かうことによって。
 この作品がイーストウッドが主演としての最後の作品になるようですが、役者人生をキッチリと締めくくる傑作となっていると思います。
 
 2008年、アメリカ、ワーナー・ブラザース、原題:GRAN TORINO。
 監督・製作:クリント・イーストウッド、出演:クリント・イーストウッド、ビー・バン、アーニー・ハー、クリストファー・カーリー、コリー・ハードリクト、ブライアン・ヘーリーほか。


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by daisenhougen | 2009-05-30 07:20 | 鑑賞記-映画

「ネオテニー・ジャパン-高橋コレクション」を見る

d0001004_2118151.jpg■「ネオテニー・ジャパン-高橋コレクション」を見る
 昨日(05月29日)「上野の森美術館」で展覧会「ネオテニー・ジャパン-高橋コレクション」を見た。
 九州、北海道と回った後、ようやく東京へ巡回してきました。
 なんせ現代日本の屈指のアーチストが勢揃いですからね。最初にそのメンバーを写しておきます。 会田誠、青山悟、秋山さやか、池田学、池田光弘、伊藤存、小川信治、小沢剛、小谷元彦、加藤泉、加藤美佳、工藤麻紀子、鴻池朋子、小林孝亘、佐伯洋江、さわひらき、須田悦弘、高嶺格、束芋、千葉正也、照屋勇賢、天明屋尚、できやよい、奈良美智、名和晃平、 西尾康之、町田久美、Mr.、三宅信太郎、村上隆、村瀬恭子、村山留里子、山口晃。 
 クラクラするぐらいのラインナップですね。
 これだけのアーチストの作品を個人のコレクターが収集してるんですから、驚くしかないですね。
 今回の展示は「「neoteny=幼形成熟の意」をキーワードに、90年代以降の日本の現代美術にみられる特徴―幼さ、カワイイ、こどものような感性、マンガ、 アニメ、オタク、サブカルチャー、内向的、物語性、ファンタジー、過剰さ、日常への視線、技術の習熟、細密描写、巧みなビジュアル表現 など、日本の現実や若者の心象風景とリンクした世代のアーティストたちが生み出してきた新たな世界を多角的に読み解きます」とのことです。

d0001004_21181414.jpg さて、展示の口開けは鴻池朋子さんからです。鏡面を張りつけた狼、平面作品、映像作品と鴻池さんの多様性が解るコレクションです。
 奈良美智さんもあの個性的な子供が3点も並んでました。村上隆さんは天井につるして「Mr. DOB」があり、なぜか場所を変えて数点の展示。会田誠さんの大作2点は再見ですね。山口晃さんはかなり充実していますね。町田久美さん、佐伯洋江さん、束芋さん・・・・。
 もうもう書ききれないぐらい素晴らしい作品が勢揃いでした。
 どれもそれぞれの作家の代表作といえるものが並んでました。

 今回は上野地区の展覧会(阿修羅展とルーヴル展)を再見しようとしたのですが、それぞれ40分、1時間待ちという信じがたい状況になっていましたので、あっさりパス。
 こちらの展覧会だけにしました。
 大正解でした。
 これだけ充実した大作揃いでは見る方も気力充実してないとそのパワーに立ち向かえませんからね。
 でも、こちらの展示がかなり空いていたのは残念なことです。もっと多くの人が現代日本アートに目を向けて欲しいものですね。

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by daisenhougen | 2009-05-30 07:17 | 鑑賞記-展覧会

酒井忠康「早世の天才画家」を読む

d0001004_1434896.jpg 酒井忠康「早世の天才画家」を読んだ。
 副題が「日本近代洋画の十二人」というように、大正・昭和期活躍した12名の洋画家が論じられています。
 萬鉄五郎、岸田劉生、中村彝、小出楢重、村山槐多、関根正二、前田寛治、佐伯祐三、古賀春江、三岸好太郎、靉光、松本竣介。
 日本洋画界のビックネームばかりですね。
 何とその共通点は早世したことですから驚きです。
 そしてその早世はけっして偶然ではなく、近代化の奔流で必然的なことととらえています。
 非常に興味深い視点でピックアップしています。
 深く追求していけば、かなりのことが言えそうなくくりかもしれません。
 ただ、この著作はかなり長い期間にわたって書かれた文章をまとめた形であり、更にはその時々の求めに対応しているために、この主題をキッチリ追求しているわけではありません。
 どちらかといえば、個々の画家についての論文集でしたね。
 一部書き下ろしを加えたりしているようでしたが、もう少しこのテーマを深く論じて欲しかった気もします。
 
 著者の酒井忠康(1941-)さんは世田谷美術館長とのことです。
 目次:まえがき、一 雲のある自画像―萬鉄五郎、二 写実の森のなかで―岸田劉生、三 運命の画家―中村彝、四 心象の回路―小出楢重、五 宿命の十字路―村山槐多、六 幻視の画家―関根正二、七 造形の思索者―前田寛治、八 半開きの戸口―佐伯祐三、九 抒情詩圏の画家―古賀春江、十 透明な響きを―三岸好太郎、十一 呪術師の部屋―靉光、十二 暗い歩道に立つ―松本竣介、あとがき、初出一覧、収録作品制作年・所蔵元一覧。
 中央公論社(中公新書)、2009年04月25日発行、987円、新書版、356頁。

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by daisenhougen | 2009-05-29 07:03 | 読書-詩歌小説評論他

「図録 やなぎみわ マイ・グランドマザーズ」を読む

d0001004_1405318.jpg 「図録 やなぎみわ マイ・グランドマザーズ」を読んだ。
 こちらの展覧会も見てからだいぶ時間がたってしまいましたね(展覧会の感想はこちら)。
 忘れてしまう前に図録を眺めてみました。
 最初にやなぎみわさん自身による言葉が書いてありました。
 写しておきます。
 「新たな祖母たち、久闊の祖母たちが一同に会したこの時を、祝福したい。グランドマザーズは、若い日の急勾配の苦しい山越えで見えた一瞬の晴れ渡る稜線、仙境のごとき雲海のようなもので、刻一刻と移り変われど、その時にしか現れない祖母の姿がここにある。半世紀を生き延びて、幾山河を越えた頃、本物の老女となってまた再び出会えることを祈ります。」
 PART1は「My Grandmothers」が完全収録されています。
 文章もじっくり読んで、展覧会を思いかえすことができました。
 丹羽晴美「マイ・グランドマザーズ-共鳴する記憶」、デイヴィット・エリオット「女性の四年期」と2つの論文が収録されていました。
 PART2は「Works1994-2009」ということで「マイ・グランドマザーズ」シリーズ以外のやなぎみわ作品のダイジェストです。
 こちらは、わたし的にはめっけ物の部分でした。
 この図録1冊でやなぎみわさんの全体像を見返すことができました。
 PART3は植松由佳「やなぎみわ、まなざしの先にあるもの」、シリーズ解説、展覧会歴、作品リスト、主要参考文献といった具合に至れり尽くせりでした。。

 発行:淡交社、2009年03月24日初版、2,600円、B5判変型 144頁

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by daisenhougen | 2009-05-28 06:59 | 読書-展覧会図録

「図録 アーティスト・ファイル2009-現代の作家たち」を読む

d0001004_13581129.jpg 「図録 アーティスト・ファイル2009-現代の作家たち」を読んだ。
 展覧会を見てからだいぶ時間がたってしまいましたが、遅ればせながら図録を眺めて見ました(展覧会の感想はこちら)。
 ガッチリした段ボール製の外箱に9冊の作家別に分冊された図録が入っています。
、参加者のペーター・ボーゲルス、平川滋子、石川直樹、金田実生、宮永愛子、村井進吾、大平実、齋藤芽生、津上みゆきのの各氏にそれぞれファイル009から017と番号が振られていました。2008年の第1回展からの連番のようです。
 どの分冊も学芸員が巻頭に解説を書いて、作品を掲載、巻末には略歴、主要文献、出品作品といった順序で全員32ページずつ平等に作られています。
 かなり資料的な側面が強い作りですね。
 今度、齋藤芽生さんの作品にはいつ出会えるんでしょうかね。

 編集・発行:国立新美術館、印刷:アイワード、2009年、2,000円、32頁*9分冊

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by daisenhougen | 2009-05-27 06:57 | 読書-展覧会図録

魯迅「故郷/阿Q正伝」を読む

d0001004_13521291.jpg 魯迅「故郷/阿Q正伝」を読んだ。
 今月の古典再読は魯迅(1881-1936)です。
 藤井省三さんの新訳ということですので、この機会に読んでみることにしました。
 魯迅の作品を読んだのは、もはや数十年の遙か昔ですから、初読と一緒かもしれませんね。
 今回の文庫では「吶喊」と「朝花夕拾」から16編が選ばれています。ただ収録順が変則的で「吶喊」の作品が前後に分割されていました(何でこんな編集にするのでしょうか)。
 さて作品ですが、王朝崩壊による近代化の奔流の中で生きる知識人と庶民の姿が鮮やかに切り取られています。
 古き時代に対する愛惜と断罪の揺れる思いが伝わってきます。
 作品としては「阿Q正伝」と「狂人日記」のインパクトは飛び抜けていましたね。
 まぁ、魯迅の場合は中国語における口語表現の導入といった側面があるので、翻訳文ではそのあたりについてはまったくお手上げです。
 そのあたりを差し引いたとしても、古典的風格を帯びた作品達でした。

 訳者は藤井省三(1952-)さん。
 目次:訳者まえがき、吶喊より「孔乙孔(コンイーチー)」、「薬」、「小さな出来事」、「故郷」、「阿Q正伝」、「端午の節季」、「あひるの喜劇」、朝花夕拾より「お長と『山海経(せんがいきょう)』」、「百草園から三味書屋へ」、「父の病」、「追憶断片」、「藤野先生」、「范愛農(ファンアイノン)」、付録――吶喊より「自序」、「兎と猫」、「狂人日記」、解説 藤井省三、年譜、訳者あとがき。
 光文社(光文社古典新訳文庫)、2009年04月20日初版第1刷、800円、文庫版、341頁。

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by daisenhougen | 2009-05-26 06:51 | 読書-詩歌小説評論他

「図録 朝鮮王朝の絵画と日本」を読む

d0001004_13503345.jpg 「図録 朝鮮王朝の絵画と日本」を読んだ。
 収録論文は日本と韓国の研究者たちによる8編が収録されています。表題だけ写しておきます。 洪善杓「朝鮮王朝後半期の絵画活動と傾向」、鄭于澤「韓国仏画の展開―法古創新」、板倉聖哲「朝鮮王朝前期の瀟湘八景図―東アジアの視点から」、橋本慎司「室町絵画と朝鮮王朝の絵画」、石附啓子「鄭?の「真景」―鄭?筆<朴淵瀑図>を中心に」、福士雄也「朝鮮絵画と近世の日本絵画」、中田利枝子「岡山県内所在の朝鮮王朝時代の仏画について」、五十嵐公一「仙仏奇踪と朝鮮絵画」。
 朝鮮絵画の基礎知識の全くないわたしにはハードル高い論文が多かったですが、日本絵画との関わりを論じた部分は興味深かったです。
 特に福士雄也さんの論文では若冲の作品との関連を詳しく扱っていたのには興味ひかれました。 図版は326点収録されていて、わたしが仙台展で実際に拝見した作品の倍も収録されていました。 実際に拝見できなかったのは悔しいですが、図版と解説で我慢しておくしかないですね。
 巻末には作品解説、関連地図、朝鮮絵画史年表、朝鮮絵画史研究文献表、出展リストが収録されていました。

 発行:読売新聞社、制作:リーブル、2008年11月01日発行、2,900円、322頁。

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by daisenhougen | 2009-05-25 06:49 | 読書-展覧会図録

「朝鮮王朝の絵画と日本」を見る

d0001004_11572347.jpg 今日(05月24日)「仙台市博物館」で展覧会「朝鮮王朝の絵画と日本」を見た。
 朝鮮王朝の絵画の全貌を明らかにする日本初の試みということで、昨年の栃木でのスタート時から注目していたのですが、静岡への巡回もは見逃してしまい、ようやく仙台でキャッチできました(この後は岡山へ巡回だそうです)。
 「この展覧会では、朝鮮王朝時代の山水画や仏画・民画をはじめ、日本で影響を受けた宗達や若冲ら名だたる近世画家たちの作品もあわせて紹介します」とのことです。
 展示は第1部朝鮮絵画の精華(第1章朝鮮絵画の流れ:山水画を中心に、第2章仏画の美 高麗から朝鮮王朝へ、第3章絵画と工芸、越境する花鳥の美、第4章「民画」の誕生)、第2部(第5章交流の形―朝鮮通信使の果たした役割、第6章日本画家のまなざし―日本絵画に与えた影響)といった区分です。

d0001004_11573446.jpg まず第1部のコーナーは朝鮮絵画がずらりと並んでいました。
 わたしにとって朝鮮絵画をこんなにまとめて拝見するのは初めてです。
 山水画から仏画、花鳥画、そして民画と幅広いジャンルが網羅されていました。
 ただ、正直なところ、中国絵画との違いはほとんど判別できませんでした。中国絵画の知識が少ない上に、朝鮮絵画はまっさらな状態ですから当然かもしれませんね。
 日本絵画で描かれた画題との共通性がハッキリ解ったぐらいでしょうか。
 日本絵画を理解するには中国絵画と朝鮮絵画の影響をキチンと見きわめるだけの眼力が必要なことが痛感させられた展示でした。
 第2部は最初に江戸時代の朝鮮通信使に関する展示です。
 中国と正式な交流がない時に、アジアとの唯一の正式外交関係であった朝鮮通信使を正面から取り上げています。
 この部分だけでも充分一つの展覧会となるレベルの展示でした。
 そして最後が朝鮮絵画が日本絵画に与えた影響を正面から取り上げています。
 わたし的にはこのコーナーがダントツに興味深かったです。
 副題が「宗達、大雅、若冲も学んだ隣国の美」ということですから、朝鮮絵画とそっくりの作品やあきらかに影響を受けたような作品がずらりと展示されていました。
 室町から江戸にかけての朝鮮絵画の影響力の強さは半端じゃなかったのが解る展示でした。
 もちろん若冲さんの作品が展示されていたのが一番うれしかったです。
 この時期は3点の展示でした。
 まず「松樹群鶴図」。こちらは初めて拝見します。初期作ですのであんまり若冲らしさは強く出ていない感じでした。
 一緒に並んで「隠元豆・玉蜀黍図」。このあたりは若冲さんそのものの愉しい図柄でした。京都の若冲展以来の再会でした。
 そして今回の展示全体のメインデッシュ「樹花鳥獣図屏風」。
 残念ながら左隻だけの展示ですが、存在感はぬきんでていました。
 こちらも森美術館で拝見して以来です。わたしにとっては若冲さんを初めて意識した記念すべき作品です。再見できて良かったです。
 この展覧会は、展示リストによると250点の展示ですが、3回に分けての展示ですので、ギリギリ間に合ったこの最終の展示替えでは160点ほどの展示でした。
 若冲さんも皆勤で訪れれば5点見れたようですが、残念でした。
 いずれにしても、3つの展覧会を同時に見たようなずっしりと充実した展覧会でした。

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by daisenhougen | 2009-05-24 20:56 | 鑑賞記-展覧会

宮永美知代「美女の骨格」を読む

d0001004_1156990.jpg 宮永美知代「美女の骨格」を読んだ。
 美術解剖学なる学問分野があるんですね。その「超」入門書ということですから、門外漢としては読まないわけにはいけませんね。
 美術解剖学とは人体の解剖学的構造を学び、芸術制作に活かそうという学問のようです。
 日本における創始者が森鴎外とはチョット驚きでした。
 ただ、内容的にはチョットとりとめがない感じでした。柔らかめの新書ということを意識しすぎたのかもしれませんね。
 例えば、残された頭蓋骨から生きていた当時の顔をかなり正確に再現できるといったトピックも、これだけ簡略化した説明ではあんまり説得力がありませんでしたね
 縄文系と弥生系の代表がそれぞれ宮崎あおいと藤原紀香といったことも、かなり興味深い話題ですが、その根拠がさっぱりわかりません。これじゃぁ、チョット困ってしまいますね。
 おそらくそれぞれに対して深い考察と裏付けがあると想像するのですが、もう少しキッチリ書いて欲しかったですね。
 美術解剖学の入門書としてあんまり欲張ったテーマを羅列したために、かえって読者に魅力が伝わらなかった気がします。
 著者の宮永美知代(1957-)さんは美術解剖学を専攻で東京芸術大学美術学部助教とのことで す。。
 目次:はじめに 骨が美を語る「美術解剖学」、第1章 美しさの秘密は“骨”にあった、第2章 絵画は骨格で読み解くと面白い、第3章 「美人画」が教えてくれる美の変遷、第4章 “美女の境界線”はどこにある?
 青春出版社(青春新書)、2009年5月15日第1刷、977円、新書版、197頁。

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by daisenhougen | 2009-05-23 06:55 | 読書-詩歌小説評論他