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小田部雄次「皇族」を読む

d0001004_16335511.jpg 小田部雄次「皇族―天皇家の近現代史」を読んだ。
 明治以降の近現代史には歴代の天皇は欠かせない存在です。
 ですから、この時代を扱った歴史書を読めば、それぞれの天皇の行動の記述や考え方の考察が必ずと言っていいほど含まれています。
 でも、その天皇をとりまく最も近しい存在である「皇族」については、天皇の行動に直接関係すること以外はあまり触れられていませんね。
 この著作はその「皇族」を正面から扱ってくれています。
 新書といいながら500頁に迫らんとする大著です。
 近世皇族として伏見宮系皇族が何百年も前に別れた系統の末裔であることから始まり、それぞれの皇族の成立から廃絶までのドラマを網羅的に扱っています。
 詳細な系統図から婚姻関係、更には外遊の記録や皇族の金銭状況まで記述されています。
 まさしく皇族について知ろうと思ったら、この著作にあたれば糸口ぐらいは見つかりますといった作りになってます。
 血脈を唯一のよりどころとする天皇制がいかに脆弱な基盤の上に立っているか、そしてその血脈を維持するためにその範囲を含めて時代毎に多くの軌道修正をしてきたことが良くわかりました。
 著者の小田部雄次(1952年-)さんは日本近現代史専攻で静岡福祉大学教授。
 目次:はじめに、序章 十一宮家の皇籍離脱-伏見宮系皇族の解体、第一章 近代皇族の誕生、第二章 法制化される皇族-男系・傍系・配偶者、第三章 謳歌と翳り-近代国家の成立期、第四章 昭和天皇の登場-軍国主義の跫音、第五章 戦争の時代、第六章 皇籍離脱と新憲法、第七章 天皇・皇族の戦後、終章 これからの皇族、あとがき、主要参考文献。
 中央公論新社(中公新書)、2009年06月25日発行、1,029円、新書版、472頁。

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by daisenhougen | 2009-08-04 06:33 | 読書-詩歌小説評論他

四方田犬彦「音楽のアマチュア」を読む

d0001004_14141168.jpg 四方田犬彦「音楽のアマチュア」を読んだ。
 四方田さんの守備範囲の広さにはいつも驚かされているのですが、今度はなんと音楽にまで触手を伸ばしてきましたね。
 2005年11月から2009年03月まで「一冊の本」に連載されたとのことで、abc順に39項目が取り上げられています。
 取り上げられているのは、クラシックはもちろん、ジャズ、ロック、民族音楽、そして現代音楽と何でもござれといったとこです。
 そしてその音楽愛好の起源たるや、かなりの部分が高校時代というんだから、四方田さんの早熟ぶりは凄いですね(もちろん膨大な読書や映画も同時にこなしているようですしね)。
 アマチュアなどと謙遜した位置を強調していますが、実際はかなりヘビーな論述が展開されています。音楽論といっても思想的な味付けがキーとなっています。このあたりはやっぱり四方田さんらしいですね。
 これだけ幅広い音楽を取り上げてはいるのですが、不思議にこの音楽を聴いてみたいという気にはなりませんでした。このあたりがアマチュアなんでしょうか・・・。

 目次:音楽の希有について、アリ・アクバル・ハーン、「アリラン」、アルバート・アイラー、ヨハン・セバスティアン・バッハ、ビートルズ、ジェフ・ベック、バルトーク・ベーラ、ジョルジ・ベン、ルチアーノ・ベリオ、ジョン・ケージ、ジョン・コルトレーン、キューバ、マイルス・ディヴィス、ボブ・ディラン、クツィ・エルゲネ、モートン・フェルドマン、ブリジット・フォンテーヌ、ガムラン、フィリップ・グラス、グレン・グールド、ジミ・ヘンドリックス、ロバート・ジョンソン、ウム・クルスーム、カラオケと替え歌、河内音頭、オリヴィエ・メシアン、モロッコ、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト、ザ・ピーナッツ、ローリング・ストーンズ、ロマ、ニーノ・ロータ、アーノルド・シェーンベルク、高橋悠治、ジョゼッペ・ヴェルディ、リヒャルト・ワーグナー、ヤニス・クセナキス、フランク・ザッパ。
 朝日新聞、2009年07月30日第1刷、2,415円、四六版、376頁。

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by daisenhougen | 2009-08-03 07:13 | 読書-詩歌小説評論他

傳田光洋「賢い皮膚」を読む

d0001004_13431592.jpg 傳田光洋「賢い皮膚─思考する最大の〈臓器〉」を読んだ。
 現代科学の最前線を生き生きと伝えてくれる素晴らしい著作に出会えました。
 しかもなんと皮膚学の最前線です。
 皮膚は全て合わせると3kgにもなり、肝臓や脳よりも大きな最大の臓器であるといった事から始まり、皮膚は脳と同じ機能を持っているといった最新の研究成果までが開陳されています。
 かなり専門的な記述が続きますが、ところどころに化粧会社の研究員ならではのおもしろトピックもはさんであるので、わたしみたいな文系人間にも読み通すことができました。
 科学者の探求プロセスも生き生きと伝えてくれてますし、皮膚に関する蘊蓄も仕込むことができた愉しい読書でした。

 著者の傳田光洋(1960年-)さんは分子工学専攻で資生堂研究所主任研究員とのことです。
 目次:はじめに、第1章 皮膚の様々な様相、第2章 表皮と角層、第3章 皮膚は自律している、第4章 皮膚が感じる、第5章 身体と皮膚、第6章 情報処理システム、あとがき、参考文献。
 筑摩書房(ちくま新書)、2009年07月10日第1刷、756円、新書版、213頁。

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by daisenhougen | 2009-08-02 07:42 | 読書-詩歌小説評論他

CD「Chet Baker In Tokyo」を買う

d0001004_134068.jpg CD「Chet Baker In Tokyo」を買った。
 わたくしのジャズに対しする経験は極めて貧弱です。
 一時期、マイルス・デイビスのトランペットやキース・ジャレットのピアノ・ソロに熱中した事はあります。でも、ジャズ全般に入れ込んだということはありませんでした。
 そんな程度のジャズ享受者ですから、チェット・ベイカー(1929年-1988年)についてはほとんど無関心で通り過ぎてきました(幾つかの演奏は聴いたかもしれませんといった程度ですね)。
 先月読んだ辺見庸さんの「美と破局 (辺見庸コレクション3)」の中で、辺見さんがあれほど熱く語ってるんですから、辺見ファンとしては聴いてみないわけにはいけません。
 さて、はじめて買ったチェット・ベイカーのCDは辺見さんも言及していたように、死の前年、1987年の来日公演のライブ録音です(6月14日の昭和女子大学人見記念講堂での録音とのこと)。
 演奏メンバーはChet Baker(Trumpet&Vocals)、Harold Danko(Piano)、Hein Van De Geyn(Bass)、John Engels(Drums)とのことです。
 いやー懐かしいですね。遙か昔のジャズが熱かった頃を思い出してしまいました。
 多分1987年といえばジャズは時代の最先端の音楽ではなくなっていたような頃だと思うのですが、まだまだ残り香ぐらいは感じられますね。 
 なにはともあれ「My Funny Valentine」なんて聴いていると、遙か若き日が甦ってきました。

 Disk1
 1. Stella by Starlight
 2. For Minors Only
 3. Almost Blue
 4. Portrait in Black and White
 5. My Funny Valentine

 Disk2
 1. Four
 2. Arborway
 3. I'm a Fool to Want You
 4. Seven Steps to Heaven
 5. For All We Know
 6. Broken Wing

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by daisenhougen | 2009-08-01 07:39 | CD・DVD・ビデオ