一昨日(10月03日)「世田谷美術館」で展覧会「小堀四郎と鷗外の娘 ひと筋の道」を見た。
小堀四郎(1902-1998)さんという画家の作品を見るのははじめてでした。ヴィンタートゥール展のチケットで無料で入場できたので、と言ったことで拝見することになりました。 「世田谷文学館」で開催中の「父からの贈りもの―森鷗外と娘たち展」との連携企画とのことです。 小堀四郎さんは鴎外の次女、森杏奴(あんぬ)と結婚した縁で、こういった企画とあいなったようです。 ご本人の小堀四郎さんは小堀遠州の子孫で、芸大で藤島武二の指導・薫陶を受け、同期には猪熊弦一郎、小磯良平といった日本洋画界のスターが揃っているというような輝かしい血筋と師弟・交友関係をほこっているようです。 しかもフランス留学をしたにもかかわらず、画壇の争いに巻き込まれることを嫌って、一線から身を引いたそうですから、いってみれば「高等遊民」みたいなものだったのかもしれませんね。 作品的には、戦前までは特別これといった個性が感じられません。わたし的にはほとんど素通りといった作品たちでした。いかにも時代に取り残された作品にしかうつりませんでした。 でも、戦後から晩年にかけて画風が一転します。 わたしには、どんどん惹きつけられる作品が増えてきています。 特に「東北・北陸取材旅行」と区分された1960年から1976年にかけての作品や「自然の神秘」と区分された晩年の1977年から1990年にかけての作品はまがうことなき小堀四郎さん独自の表現が現れていました。 大地とか夜空とか、無限の自然界を丸ごと捉えようとしている作品に感動しました。 「無限静寂」の連作などは特に心に残りました。 60歳過ぎてついに表現の核心をつかんだんですね。 絵を売って生活したわけではないので、ひたすら自分の表現を追求できたのかもしれません。 今回の展示は、遺族から2001年に100点もの寄贈を受けた中からの60点の展示だそうです。今回がまとめて展示するのははじめてとのことです。 一括展示されるきっかけが義父の鴎外と言うことですから、どこまでも義父には頭が上がりませんね。 今回の展示で小堀四郎さんという画家の再評価が進むのではないかと言う気がします。鴎外の娘婿としてではなくね。
by daisenhougen
| 2010-10-05 06:40
| 鑑賞記-展覧会
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