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岩井克人「会社はだれのものか」を読む


 岩井克人「会社はだれのものか」(平凡社)を読んだ。
 前著「会社はこれからどうなるのか」の続編ですね。第一部がこの題名をめぐる論文で、第二部が小林陽太郎、原丈人、糸井重里との対談が収められています。
 会社と企業の違いから論じ始め、法人概念の歴史に遡り、会社が株主のものであるという一面的な理解が法理論上は誤りであると主張しています。法人=会社の「ヒト」と「モノ」の二重構造を明らかにすることで、株主主権主義の誤謬を論じてます。
 さらには会社にとっては人こそ資本であり、金融資本主導のグローバリゼーションの進行する中、21世紀はお金没落の世紀であるとのパラドクス的主張は説得力があります。
 今回の著作は前作の成功に気を良くして、2匹目のドジョウを狙って急遽まとめたようですが、ちょっと内容は薄い感じですね。日本経済復活の応援団的著作にも読めてしまうところもちょっとイヤですね。
 啓蒙書も良いですが、やっぱり岩井さんの主張をもう少し緻密にもっと本格的に論じた会社論やグローバル化した資本主義の未来についての著作を出版して欲しいですね。

by daisenhougen | 2005-09-06 09:30 | 読書-詩歌小説評論他
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