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吉本隆明「13歳は二度あるか」を読む

 吉本隆明「13歳は二度あるか―「現在を生きる自分」を考える」(大和書房)を読んだ。
 吉本さんの思想を中学生向けに啓蒙的に語った本。第1章「新聞を読む、時代をつかむ」、第2章「社会と関わる、自分を生きる」、第3章「宗教とはなにか、法律や国家はどう成立したのか」、第4章「犯罪と死について、考えてみる」、第5章「戦争というもの、自分との距離」といった内容。
 最近の吉本さんはいかに平易に自分の思想を表現するかに腐心しているようだ。自分の思想を集大成して、若者に伝えたいという気持ちは理解できますし、それはそれで頑張ってもらいたいです。「教行信証」を書いた親鸞が「歎異抄」で根源的な言葉で自分の思想を語ったように、吉本さんにも啓蒙的で無いそういった著作を出してほしいですね。
 でも冒頭の発言が「中学生になったら新聞を読みましょう」というのにはビックリしました。吉本さんも優しくなりましたね。遙か昔のことですが、新聞の論説は信じちゃいけない、もっと根源的に考えろといった発言から吉本さんのファンになった一人として複雑な気持ちになります。もちろん吉本さんの意図は、世界の動きに目を向けろといったとこなんでしょうがね・・・・。
 時代に晒されている敏感な中学生だからこそ、平易で尚かつ根源的な言葉で吉本さんの思想を伝えて欲しいですね。

by daisenhougen | 2005-10-11 21:23 | 読書-詩歌小説評論他
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