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加島祥造「エッセンシャル タオ」を読む

 加島祥造「エッセンシャル タオ」(講談社)を読んだ。
 先日、加島さんの「肝―老子と私」を読んでいて、加島さんの訳した老子を再度読みたいと思っていたら、タイムリーに望みどおりの本が出版されました。
 前半が加島さんの訳した「老子道徳経」全81章の抜粋(全ての章が含まれています)、後半が加島さんによるタオイズムの解説といった構成です。
 自由な解釈による加島流の老子ですね。学問的な当否なんか超越しています。引退したお爺さんの自由な発想と解釈からの翻訳です。もしかしたら翻訳というより、老子に触発して書かれた新たな創作詩なのかも。
 今回はエッセンシャルと言うだけあって、かなり短縮されてある部分もあります。そのために、かえって理解しにくくなってる気がします。後半の解説を読むと、尚更そう感じてしまいます。短い章句の中に凝縮してある思想を更に抜粋するのは、ちょっと無理があるのではないでしょうか。
 そもそも加島さんの翻訳の良さは、老子の凝縮された思想が漢文の鎧の中で見えなくなってしまっているのを、英文を参照することによって、自由にパラフレーズし(たまには逸脱し)、老子の思想を生き生きとよみがえらせたことにあったのですから・・・。
 やっぱり、今度こそ自宅に行ったときに、加島さんの全訳本「タオ―老子」を持ってこなくては。

by daisenhougen | 2005-11-08 14:18 | 読書-詩歌小説評論他
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