笹原宏之「日本の漢字」(岩波新書)を読んだ。
目次を写しておきます。「漢字を受け入れる――日本の多様な文字体系」、「「圓」から「円」へ――俗字・国字の誕生」、「よく見る漢字」、「文字から見える社会」、「地名と漢字」、「一人だけの文字」、「日本人のための漢字とは」。 いわゆる国字(日本で作られた漢字)についての軽い読み物集です。略字の作られ方、初めて見るような国字の数々、漢字国圏の相互影響、誰も読めない幽霊文字の発生メカニズム等のおもしろいエピソードが満載です。 吉本隆明さんも名誉ある(?)勘違いによる誤記が、結果的には新しい漢字を創作し(?)、そのまま教科書に採用され、更には栄えあるunicode表に登録されたといった話は面白すぎますね。小生もずーっと昔に勁草書房の著作集で「日時計篇」を読んだ時に、辞書で調べることができなかった記憶があります。手元に現物がないので確認できませんが、ルビは振ってなかったと思います(多分)。今度、自宅に戻ったら確認してみます。ところで、残念ながらこのくろ(黑、玄)の字は、今回、このパソコンではうまく表示できませんでした。何故なんでしょうね。 この他にも日本人の漢字表現に関して幅広く話題を提供しています。学者さんが膨大な漢字についての知識(特に国字)の一部を開陳しましたといった感じでしょうかね。 そして著者の漢字フリークぶりが面白いですね。昆虫マニアや切手マニアやアイドルマニア、パソコンマニアとおんなじですね。対象が漢字だっただけですね。でも、それが職業にできたんですから羨ましいですね。 ただ、漢字フリーク以上のモノがあんまり感じられないのが少し食い足りないですね。小生にとって漢字学者といえば白川静さんを思い浮かべますが、白川さんの持っているようなオーラはありませんね(稀代の碩学と比較しては可哀想ですが・・・)。
by daisenhougen
| 2006-04-20 23:35
| 読書-詩歌小説評論他
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