前田恭二「やさしく読み解く日本絵画-雪舟から広重まで」(新潮社)を読んだ。「とんぼの本」シリーズの一冊です。
読売新聞日曜版に2001.1~2002.12まで連載されていた「絵と人のものがたり」(古美術編)をもとにした本で、作者の前田恭二さん(1964-)は読売新聞の記者とのことです。 日本絵画の巨匠十一人の生涯と、その代表的な作品を解説した入門書です。取り上げてある画家と作品は次の通り。 1.雪舟。《四季山水図》より「夏景」、《四季花鳥図屏風》、《慧可断臂図》、《四季山水図巻(山水長巻)》、《破墨山水図》、《天橋立図》、《秋冬山水図》より「冬景」。 2.狩野永徳。《上杉本 洛中洛外図屏風》、《花鳥図襖絵》より「梅図」、《唐獅子図屏風》、《檜図屏風》 3.長谷川等伯。《楓図》、《松に鴉・柳に白鷺図屏風》、《山水図襖》、《松林図屏風》。 4.俵屋宗達。《扇面貼付屏風》より「田家早春図」、《源氏物語関屋澪標図屏風》、《蔦の細道図屏風》、《蓮池水禽図》、《風神雷神図屏風》。 5.尾形光琳。《蹴鞠布袋図》、《燕子花図屏風》、《紅白梅図屏風》、《銹絵観鴎図角皿》。 6.英一蝶。《朝暾曳馬図》、《布晒舞図》、《四季日待図巻》、《雨宿り図屏風》。 7.池大雅。《楼閣山水図屏風》、《陸奥奇勝図巻》、《倣王摩詰漁楽図》、《十便帖》より「釣便図」。 8.円山応挙。《京洛中国図眼鏡絵図巻》より「四条南座」ほか、《大瀑布図》、《藤花図屏風》、《郭子儀図襖》。 9.伊藤若冲。《旭日鳳凰図》、《動植綵絵》より「南天雄鶏図」「雪中錦鶏図」、《竹図襖絵》、《菜虫譜》。 10.葛飾北斎。《冨嶽三十六景 山下白雨・神奈川沖浪裏》、《潮干狩図》、《北斎漫画》、《芥子図》。 11.歌川広重。《月に雁》、《東海道五拾三次 三島》、《名所江戸百景 亀戸梅屋舗》。 新聞記者らしく、学会の動向もふまえた、そつのない解説ですね。日本美術入門中の小生には日本美術の基礎知識を得る手引きにはなりました。 でも、取り上げたのが、なぜこの11人なのか、なぜここにあげた作品を取り上げたのかを厳しく問い返しているとは思えません。何となく有名であるとか、幅広くとか、新聞受けすから取り上げたと受け取られても仕方ありませんね。入門書だからこそ著者の熱気がほしかったですね。 でも、結構いろんなところを参考にさせてもらいました。日本美術入門の次のステップとして、著者の推薦する「新潮日本美術文庫」を全巻読んでみたい気になりましたしね。
by daisenhougen
| 2006-06-09 06:52
| 読書-詩歌小説評論他
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