尾崎彰宏「フェルメール(西洋絵画の巨匠5)」(小学館)を読んだ。
小生、フェルメール(1632-1675)の作品は2点しか見ていません。一昨年に「栄光のオランダとフランドル絵画展」で「画家のアトリエ(絵画芸術)」を見たのと、昨年に「ドレスデン国立美術館展」で「窓辺で手紙を読む若い女」を見ただけです。いずれも、その存在感には圧倒されました。でも、フェルメールについての本を読んだり、画集は買うことはなかったです。 ということで、今回、初めてのフェルメール画集です。17世紀オランダの画家、フェルメール。全「真作」37点から、その静謐な世界に隠されたドラマチックな謎に迫るとのことです。 他の巻と同じ構成です。鑑賞図版として「デルフトの眺望」、「絵画をめぐる愛と賞賛」、「手紙の悦び」、「フェルメールと東洋」、「歴史画から風俗画へ」及び名画を読み解くとして「絵画芸術の賞賛」といった区分でフェルメールの全絵画が掲載され解説が付いています。置物一つにもいろんな意味が込められているんですね。勉強になりました。 後は「光の理想郷を求めて」といった評伝、特集として「描かれた「手紙」」、「東洋への憧れ」で関連図版を豊富に載せて、フェルメールの時代を浮かび上がらせています。 著者の尾崎彰宏(1955-)さんは東北大学教授のようですが、単に存在感があるといった見方から、更に深い見方があることを教えてもらいました。 「描かれた手紙や絵の構図を注意深く観察すると、その静謐な雰囲気とは裏腹に、見るものをドキリとさせるような性的な暗示が込められていることに気づく。このきわだった対照性が、フェルエール芸術に永遠の輝きを与えているひとつの大きな要因である」。ごもっともです。
by daisenhougen
| 2006-07-24 08:12
| 読書-詩歌小説評論他
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