辺見庸「いまここに在ることの恥-恥なき国の恥なき時代に」(毎日新聞)を読んだ。
辺見さんの病後復帰の第二作です。前作の「自分自身への審問」は脳出血、癌に犯されて、病院の中で書いた著作ですが、こちらは退院後の著作です。 目次を写しておきます。炎熱の広場にて―痛み、ないしただ見ることの汚辱;口中の闇あるいは罪と恥辱について;邂逅―紅紫色の木槿のかげ;名残の桜、流れる花;書く場と時間と死―『自分自身への審問』の場合;一犬虚に吠え、万犬それに倣う―小泉劇場と観客の五年間;いまここに在ることの恥―諾うことのできぬもの。 半分以上は最終章の「いまここに在ることの恥―諾うことのできぬもの」です。毎日新聞で行われた講演をまとめたものです。前作に思弁的な著作と対になる感じですね。 人間として生きることは、根源的に「恥」であるとし、「恥を恥であると感じないこと」こそが最大の恥辱である断言している。ここから現代日本の恥知らずの状況を徹底的に論じています。まさに壮絶な本です。 特に天皇制についても、きっちり論じて、否定している本は最近ほとんど見かけないだけに、この孤独な戦いにはエールを送りたいですね。 辺見さんは嫌いなものとして闘病記と人生論をあげていますが、この本こそ本来の意味での闘病記と人生論である気がして、微笑ましい気分にありました。 ともかくも、落ち込んだ時に元気づけられる本です(まさに闘病記であり人生論ですね)。
by daisenhougen
| 2006-08-18 06:29
| 読書-詩歌小説評論他
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