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映画「弓」キム・ギドクを見る

d0001004_1774868.jpg 昨日(9月17日)「Bunkamuraル・シネマ」で映画「弓」を見た。
 2005年。韓国。監督:キム・ギドク。出演:チョン・ソンファン 、ハン・ヨルム 、ソ・ジソク 、チョン・グクァン。
 待望のキム・ギドク監督の新作です。 「春夏秋冬そして春」を見て以来、「サマリア」「うつせみ」といずれも期待以上の作品が続いています。今回もまたも素晴らしいファンタジィを作ってくれましたね。
 「釣り人を相手に船の上で暮らす孤独な老人と10年前、老人がどこからか連れてきて以来、船の上から一歩も出ないまま、もうすぐ17才になろうとしている少女」。この設定だけでキム・ギドクの独自な世界に引き込まれてしまいますね。現実と非現実のはざまといった得意な設定ですね。
 そして、この二人の結婚直前に一人の青年が舟を訪れ、一気にドラマは展開します。青年はキム・ギドクのインタビューによれば「外部からやってきた資本主義の顔をもっている」とのことです。そうです、単なる恋愛劇じゃないんです。
 少女は青年に惹かれ、青年と舟を離れようとしますが、老人が死のうとしているのを知り、舟に戻って、結婚式を挙げます。そして結婚式直後に老人は弓を天空に飛ばして、自殺してしまいます。
 最後の弓の落下と舟の沈むシーンは本当に素晴らしいですね。エロチックであり哀切であり、何とも言いようのないラストシーンです。伝統が資本主義に破れるシーンとも受け取れますね。もちろん、そんな観念的なこととは対極の映像美です。
 すべてのシーンにきっちりした意味あるいは寓意が込められていますね。それを読み解く楽しみを与えてくれる作品です。
 又、この作品も「うつせみ」と同じように二人ともほとんどセリフがありません。それでこれだけの内容を伝えるんだから大したもんですね。
 そのかわりに全編に響くヘグム(韓国二胡)の音楽が哀切ですね。キム・ギドクの音に対する鋭敏さは群を抜いていますね。
 今回もキム・ギドクの作品世界を堪能させてもらいました。韓国では試写会で上映されてと言う次回作「時間」はどんな作品なんでしょう。期待が高まります。

 キム・ギドク監督が韓国映画界から引退するなんて情報が朝鮮日報の日本語サイトに載っていましたが、ちょっと心配ですね。


by daisenhougen | 2006-09-18 06:07 | 鑑賞記-映画
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