「図録 浦上玉堂展」(千葉市美術館)を読んだ。展覧会見てからけっこう時間がたってしまいましたね。でも、展覧会も力が入ってましたが、この図録も力が入ってますね。
図版を解説を参照しながら眺めていると時間を超越してしまう気がしました。雨の日の時間を過ごすにはうってつけの図録でした。 論文として守安収「浦上玉堂の生涯」、佐藤康宏「南画/文人画/南宗画を横断する-浦上玉堂の画風変遷」、小林忠「浦上玉堂のパフォーマンス」が収録されていました。 いずれも力のこもった論文で、浦上玉堂に対してくっきりとした輪郭を与えてもらいました。 でも、それぞれの論文での微妙な評価の違いは面白いですね。守安さんと小林さんは浦上玉堂の音楽家や書家あるいは文人としての側面を重視するに対して、佐藤さんは徹頭徹尾、画家としての浦上玉堂一本で通そうとしています。 伝説あるいはお話しとしては、音楽を奏でるような即興画家としての側面の方が面白いでしょうが、わたしは佐藤康宏さんの主張に惹かれますね。 佐藤康宏さんは、「もっと知りたい伊藤若冲」を読んだだけですが、「鳥獣花木図屏風」を極めて低い評価をしたりと、個性を前面に出しているのが素晴らしいです。 わたしにとって、浦上玉堂さんの存在を知ったのは、今年の収穫のひとつです。もう少し調べてみたいですね。
by daisenhougen
| 2006-12-10 07:15
| 読書-展覧会図録
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