人気ブログランキング |

岡田温司「処女懐胎」」を読む

d0001004_11444158.jpg 岡田温司「処女懐胎―描かれた「奇跡」と「聖家族」」を読んだ。
 中央公論新社。中公新書。2007年01月25日発行。924円。新書版。300頁。
 目次を写しておきます。第Ⅰ章 マリアの処女懐胎、第Ⅱ章 無原罪の御宿り、第Ⅲ章 「養父」ヨセフの数奇な運命、第Ⅳ章 マリアの母アンナ。
 岡田温司(1954-)さんは西洋美術史専攻の京都大学大学院教授です。
 以前、「マグダラのマリア-エロスとアガペーの聖女」(中公新書)を読んで、非常に啓発されました。今回、その続編となれば読まないわけにはいけません。
 私たち非キリスト教徒にとって、キリスト教に対する違和感の一番大きいのはキリストの復活ですが、それと同じぐらい違和感を感じるのが処女懐胎ですね。罰当たりの野蛮人には、いくらなんでも信じようがないです。
 その処女懐胎にまつわるキリスト教徒の思考過程を、絵画作品をとおして、そして歴史的変遷を交えながら極めてスリリングに解読をおこなっています。
 いやーキリスト教の核心に触れる思いですね。こういったディープなあたりは、なかなか書いてある本にめぐり会いませんからね。いままで漠然と不思議に思っていた事が、だいぶわかってきた気がします。
 更にはマリア信仰やその夫ヨセフへの信仰、そしてマリアの母アンナへの信仰が、如何に起こり、どう展開していったかを、こちらも絵画に即して読み解かれています。
 寝取られた哀れなヨセフが聖家族の中心となり信仰の対象へなっていく過程や、聖書にほとんど記述すらないアンナが聖親族の中心となり信仰の対象となる過程は、興味ぶかかったですね。いままで感じていた疑問もはらしてくれます。
 ヨーロッパ絵画の伝統はキリスト教とともにあったことを、あらためて強く認識させられました。
 こういった本を読むと、西洋絵画を見たときに、単に色遣いが綺麗だとか、描写が緻密だなんて面だけで判断したら、とんでもない読み違えをしてしまいますね。

by daisenhougen | 2007-02-21 06:44 | 読書-詩歌小説評論他
<< 「図録 ギメ東洋美術館所蔵 浮... 「一太郎2007バージョンアッ... >>