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森谷公俊「アレクサンドロスの征服と神話」を読む

d0001004_944543.jpg 森谷公俊「アレクサンドロスの征服と神話」を読んだ。「興亡の世界史」シリーズの第二回配本です。このシリーズとしては第01巻です。
 講談社。2007年1月17日第一刷、2,415円、四六判、382頁。
 目次を写しておきます。第1章 大王像の変遷、第2章 マケドニア王国と東地中海世界、第3章 アレクサンドロスの登場、第4章 大王とギリシア人、第5章 オリエント世界の伝統の中で、第6章 遠征軍の人と組織、第7章 大帝国の行方、第8章 アレクサンドロスの人間像、第9章 後継将軍たちの挑戦、終章 アレクサンドロス帝国の遺産。
 著者の森谷公俊(1956-)さんは古代ギリシア・マケドニア史専攻で帝京大学の助教授とのことです。
 アレキサンダー大王といえば、2005年の始めにオリヴァー・ストーン監督で「アレキサンダー」なんて映画見た覚えがあります。少々大味な映画だったといった印象でした。ゲイの映画なんて言われていましたね。
 でも、この本を読んでみると、映画でのこの戦闘はこういった意味だったんだとか、今になって理解できる部分もあります。もう一度映画を見れば、印象も変わるかもしれません。そういった意味で、この本も歴史読み物として楽しんで読むことができました。
 でも、著者の主眼とすることは、英雄譚としての歴史を描くことではありません。
 ギリシャ文明を東方世界に広め、ヘレニズムの先駆けとなったアレクサンドロス。そのアレキサンドロスへの礼賛に隠された西洋文明至上主義にたいする異論ですね。
 ヘレニズムの思想は、ギリシャ文明そしてそれに続く西洋文明は東方文明に優越している事を内に秘めたおり、19世紀のヨーロッパによる帝国主義と一緒に作り上げられた。この優越思想を突き崩すために、アレキサンドロスの軌跡を冷静に見つめ直そうとの意図は非常にすばらしいと思いました。
 部分的にはチョット首をかしげたくなる部分もありましたが、アレキサンドロスを理想的な英雄から相対化して、西洋中心主義の旗手から解放する作業はもっともっと進めてほしいですね。

by daisenhougen | 2007-03-23 07:44 | 読書-詩歌小説評論他
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