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『桜が創った「日本」』を読んだ

 佐藤俊樹著『桜が創った「日本」』(岩波新書)を読んだ。
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 そろそろ桜の季節になるし、桜を見るのは好きだが、桜についての知識でも仕込んでおこうと言う軽い気持ちで購入。ちょうど田舎に帰る電車の空き時間にあわてて買ったので、副題の「ソメイヨシノ起源への旅」とあり、口絵の写真からちょっと堅めのガイドブックと勘違いしてしまった。
 ところが読んでみると、けっこう深い内容を論じている。もちろん桜好きなんていいながら、全く基礎知識のない小生にはソメイヨシノが幕末から明治の始めに姿を現し百年少しの歴史しかないこと、オオシマザクラとエドヒガンの交配でできたこと、増殖法はすべて接ぎ木や挿し木によるいわゆるクローンであることなど、この本では当たり前の知識に驚いてしまう。全く自分の無知に恥じ入るばかり。これで桜好きなんて聞いてあきれるわい。
 もちろんこの本の主題はそんなことではない。著者は比較社会学と日本社会論専攻の学者さんのようで、ソメイヨシノの登場と普及を「ソメイヨシノ革命」と命名して、日本近代100年を桜とからめて縦横無尽に論じている。桜と日本の関わりを二ひねりして提示してくれていて、けっこうスリリングである。頭の悪い小生には要約する自信がないので、興味を持った人は自分で読んでください。
 もう少しで桜の季節である。今年は何ヶ所見て回れるのかなぁ。ソメイヨシノ以外も見に行かなくては。
by daisenhougen | 2005-03-13 09:53 | 読書-詩歌小説評論他
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