四方田犬彦「詩集 人生の乞食」を読んだ。
書肆山田、2007年06月20日初版一刷、2,730円、菊変、192頁。 いやぁビックリしました。四方田さんが詩集を出していたなんて。まったく知りませんでした。でも、カバーする領域の広い人ですね。 あとがきによれば、十五歳のときに手掛け、中断していた詩作を四十歳にさしかかろうとした頃に再開したとのことです。 今回の詩集に収録されているのは15編で、1992年から2006年にかけて同人誌「三蔵」に掲載された作品を中心とのことです。年に1篇のペースです。多作家の四方田さんにとっては異例の遅いペースですね。 収録されている詩篇の題名を写しておきます。人生の乞食、ハジィージャ、チュピミルロ、137、水の上を歩く、パンのみにて生きる、クラウス・キンスキーに献げるオード、パレスチナ・スウィート、悲嘆の文法、正名、Electric Shadows、摩滅の賦、ゴルゴン、アレフの盲目、Fe。 詩と言いながら、やっぱり四方田さんですね。世界各地の旅の知見、映画、思想、神話、文学、絵画等々幅広い断片が盛り込まれています。そしてどれも比較的長い作品です。まがうことなき四方田さんの世界ですね。 帯に書いてあった文を写しておきます。 動物はなぜ人間より幸福に見えるのか。 乞食の道を選ぶことは、少しでもその幸福に 近づいてゆくことだ。 生きるのに乞食の道があるように、詩にも 乞食の道があるはずだ。
by daisenhougen
| 2007-09-15 21:11
| 読書-詩歌小説評論他
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