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四方田犬彦「日本のマラーノ文学―Dulcinea roja」を読む

d0001004_10244960.jpg 四方田犬彦「日本のマラーノ文学―Dulcinea roja」を読んだ。
 人文書院、2007年12月10日初版1刷、2,100円、四六判、233頁。
 目次を写しておきます。ドゥルシネーア赤、李香蘭の喪われた家、立原正秋という問題、寺山修司―朝鮮人のふりをすること、中上健次の詩、中上健次―路地の映像、劇作家としての松田優作、帷子耀、宋敏鎬のブルックリン体験、玄月―土地の凋落、アイドルの終わり―『パッチギ!LOVE & PEACE』、ここで突然、プルースト、川村湊を批判する―生まれてもそこは異郷、後記。
 四方田さんの著作が昨年の年末に3冊も出版されましたが、手つかずで年越してしまいました。なんとか1月中には読み終えたいですね。
 ということで、まず一冊目です。
 巻頭に収録された、ほぼ書き下ろしの「ドゥルシネーア赤」は非常に力のこもった論文です。セルバンテスの小説「ドン・キホーテ」から書き起こし、出自を隠して生き延びるユダヤ人を侮蔑的に呼ぶマラーノ=豚を他者性として「マラーノ性」と概念化してクローズアップしています。そしてドンキホーテに登場する理想の女性ドゥルシネーアにユダヤの仄めかしを見いだしています。
 さらに日本の藤村の小説「破戒」の読みを通して、日本のマラーノ文学にまで射程を伸ばしています。
 かなり刺激にとんだ論文でした。
 ただ、それ以外の収録された論文はチョット期待はずれでした。かなり長期にわたって発表されたこともあるんでしょうが、なにか無理してかき集めた感じが残ります。
 在日朝鮮人、被差別部落出身者の表現を日本のマラーノ文学として新ジャンルを主張するにはあまりにも弱いですね。
 もっと本格的に書き下ろしか何かで、徹底して論じて欲しいです。かなり魅力的な概念なんですから。

by daisenhougen | 2008-01-10 22:24 | 読書-詩歌小説評論他
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