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堤未果「ルポ貧困大国アメリカ」を読む

堤未果「ルポ貧困大国アメリカ」を読む_d0001004_10544318.jpg 堤未果「ルポ貧困大国アメリカ」を読んだ。
 だいぶ売れているようで、店頭では品切れ状態が続いていて、ようやく入手できました。
 アメリカ社会の現状レポートで、前半は貧困と肥満の関係、民営化による悲惨な現実、そしてべらぼうな医療費で貧困そうに転落する様子が克明に描かれています。
 そして後半に入ると貧困層の若者が戦争の前線の兵士となって戦争の直接の担い手になっているばかりか、戦争の民営化によって貧困層が戦争にかり出されていく様子が描かれています。貧困層の創出と民営化が徴兵制の代替とはひどいですね。
 いずれも特に目新しい情報ではなく、いろんな本や雑誌、TVなどで報道されています。でも、こういった風にアメリカの貧困層といったくくりでレポートされるとインパクトありますし、いろいろ考えさせられます。
 アメリカの対するイメージとしては、最近少し陰りは見えつつあるとはいっても、一人勝ち状態で世界をリードし続けており、それは徹底的な民営化であり、その源泉は起業家精神あふれる自由な風土といったとこでししたね。
 でもこの本では、その底辺にあるアメリカの陰の部分をクローズアップしています。
 特に医療費のべらぼうな高さと、一旦病気になると、貧困層に転げ落ちてしまう様は超大国アメリカのとは思えないほどの悲惨さです。
 
 岩波書店(岩波新書)、2008年02月15日第3刷(2008年01月22日第1刷)、735円、新書版、212頁。
 著者の堤未果さんは生年月日未詳ですが、国際関係論を専攻して、現在はアメリカ関係のジャーナリスト兼ニュースキャスターのようです。
 目次:プロローグ、第1章 貧困が生み出す肥満国民、第2章 民営化による国内難民と自由化による経済難民、第3章 一度の病気で貧困層に転落する人々、第4章 出口をふさがれる若者たち、第5章 世界中のワーキングプアが支える「民営化された戦争」、エピローグ。

by daisenhougen | 2008-02-24 07:00 | 読書-詩歌小説評論他
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