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「若松孝二 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」を読む

「若松孝二 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」を読む_d0001004_12565920.jpg 「若松孝二 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」を読んだ。
 先日見た映画「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」の公式ガイドブックとのことです。なんと朝日新聞からの出版です。
 まず最初に映画でもチョット流れていた、森恒男の遺書が大きな活字で載ってます。
 次に無期懲役で服役中の吉野正邦の獄中からの手紙です。事件の当事者として事件当時になぜ殺人を容認したかを、はじめて語り始めたようです。この文章だけでも貴重です。
 死刑判決を受けた坂口弘の短歌も収録されています。ほんの十数首詩歌収録されてませんが、哀切そのものです。昨年、出版もされているようですのでぜひ読んでみようと思います。
 この本の中心は「1960→1972―<連合赤軍>全記録」です。
 「前史」、「発火」、「炎上」、「野火」、「鬼火」、「織火」、「硝煙」、「業火」、「銃火」といった区分で写真と年譜形式で事実関係を詳細に記述してあります。
 映画では早くてなかなかわからなかった部分も、この本では関連性が良く解ります。ガイドブックを超えた力のこもった作りです。おそらく60年代以降の学生運動の基礎資料となるものだと思います。
 その他にも映画のメーキング写真、出演者のコメント、監督インタビュー、元活動家と監督の座談会など盛りだくさんです。
 浅野線潜、雨宮処凛、植垣康博、喜多匡希、桑原茂夫、椎井友紀子、塩見孝也、重信房子、杉本真一、鈴木邦男、田原総一郎、趙博、飛騨信彦、中谷健太郎、橋本勝彦、平岡正明、船戸与一、吉川俊治、前沢虎彦、三上治、森達也、雪野健作、四方田犬彦といった人たちの短い寄稿がところどころに差し込まれています。なんとまぁすごい人たちですね。
 最後に映画のシナリオまで掲載されています。映画を見ていてチョット聞き取れなかった部分も解らなかった部分も確認できました。
 でも若松監督は浅間山荘の撮影に自分の山荘を使って、ついには撮影で壊してしまったんだそうですね。気合いの入れ方が違いますね。

 朝日新聞社、2008年02月28日第1刷、1,470円、A4版、217頁。
 

by daisenhougen | 2008-04-16 07:00 | 読書-詩歌小説評論他
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