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「図録 岡鹿之助展」を読む

d0001004_2122401.jpg 「図録 岡鹿之助展」を読んだ。
 収録されてる論文は貝塚健「岡鹿之助-または、絵空事の重さ」だけですが、かなり力のこもった力作です。
 まず最初に岡本さん本人の文章からこの画家の特質を次のように総括しています。
 すなわち「色相の形の連鎖から画面全体を構成すること」、「具象絵画でも創造の本質に迫れると確信していたこと」、「文学的要素を排し造形言語のみで表現しようとしたこと」、「自然の創造物よりも優っているような絵画を目ざしていたこと」。
 次に1927年、29歳の作品「セレニテ」(後に「滞船」と改題)に岡の独自表現の完成を見て詳細にその特色を論じています。
 すなわち「複数の視点の存在」、「遠近法の無視」、「文脈の無視」が全体としてその作品に幻想性を現出させているとしています。
 更には「雪の発電所」、「村の発電所」、「遊蝶花」の代表作を通じて岡作品の特色を詳しく分析しています。
 岡鹿之助作品の特色についていろいろ教えてもらいました。
 図版には解説も付いていて、作品理解に役立ちました。
 実際の展示では作品解説も無く、その上年代順ではなかったのでチョッと途惑ったのですが(展覧会の感想はこちら)、これらの解説で少しは補うことができました。
 じっくり何度も何度も見返してしまいました。
 巻末には資料として、「第一次フランス滞在期書簡」「パリ短信 一九三一-一九三九年」といったのも付いてましたし、詳細な文献目録と年譜も付いてる、資料価値もある図録でした。
 ここで仕込んだ知識を持って、もう一度訪れたいですね。

 発行:ブリヂストン美術館、製作:エディタス、2008年、188頁。

by daisenhougen | 2008-05-15 06:50 | 読書-展覧会図録
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